教員紹介
- 学芸員
日本人は、視覚型表現に非常に優れているようです。歴史的にみても絵巻や絵本、浮世絵は、世界的にも注目されるジャンルですし、写真、マンガやアニメ、ビデオゲームと時代は推移しても世界を牽引してきました。これらの対象をデジタル技術を応用して、大量に集積した情報から比較分析する手法を使ってパズルのように結論を導き出します。海外の美術館や博物館、あるいは個人コレクターによって所蔵されている研究資源も数多くあるため、海外調査が多い点も魅力的です。
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地中に埋没した遺跡(遺構・遺物)などの考古資料は、確かに文字資料(文献史料)には及ばないほど、歴史的事象を表すには多弁ではありません。しかし地中に刻まれた遺跡は歴史的な重要性の多寡に関係なく、歴史的な事実の反映であることに疑いはありません。この点が考古資料における最大の利点であると言えます。こうした物質資料から歴史的な重要性を導き出す学問研究分野が考古学です。
日本列島には、3~4万箇所もの中世の山城などの城郭遺跡があります。既に文字資料が存在していた時代でも、これらの膨大な数の構造物の比較検討を通していくことで、文字資料だけでは解き明かせない中近世史の解明を目指しています。
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朝鮮半島から稲作が伝わったときに縄文時代から弥生時代に変化すると一般的には考えられています。しかし、縄文時代には1万3千年間の歴史があり、実は日本列島内部において稲作を必要とするような社会にゆっくりと自ら変化していくのです。縄文人が弥生人へと自らを「変化」させていく長大なドラマを、土器や石器、住居や墓、食料や環境・災害、人口変化など様々な角度から研究しています。長い時間をかけて変化していく歴史を見ていくと、環境変化や災害が変化のきっかけになっていて、歴史の根本には自然と人間との関わりがあることを実感できるのも面白いと思います。水中考古学や美術家との地中再現展示プロジェクトも行っています。
COLUMN
「今」と地続きの縄文時代。 土の下に眠る“宝者”から謎を読み解く。
考古学・文化遺産専攻
矢野 健一
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