教員紹介

  • 儀礼・祭り

日本文学研究学域

「京都」イメージの歴史的変遷と日本漢文学
キーワード :
禅林文学、漢画系画題、京都学

中本 大教授

所属専攻:
日本文学専攻
専門分野:
日本中世文学、和漢比較文学
上代以来、明治維新に至るまで、日本は中国に学ぶことで自国の文化を確立してきました。常に中国を見つめながら独自性や美意識を育んできたのです。中国文化受容の窓口は各時代の最先端研究拠点でもありました。なかでも、すべての機能が首都・京都に集中した室町時代、外国文化受容の拠点は五山と呼ばれた禅宗寺院でした。足利幕府と固く結びついた五山は、中国に学ぶことで自身の美意識を培ってきました。私は現在、五山文学や室町水墨を検討しながら、当時の日本や京都の特質を明らかにすることと同時に、当時の「京都のすがた」を通して五山文学の本質を明らかにするという二つの視点で研究を進めています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

文学部、とくに文学研究のテーマや方法は、誰かから強制されることは決してありません。自らが悩み、自ら選択することが研究の第一歩です。自分自身と向き合わなければならない文学研究の醍醐味を一緒に味わいましょう。

もっと見る閉じる

日本文学研究学域

『古事記』『続日本紀』『琴歌譜』歌謡と王権儀礼
キーワード :
神話、古代、歌謡

藤原 享和教授

所属専攻:
日本文学専攻
専門分野:
日本神話、上代歌謡
奈良時代の文学や王権儀礼を研究しています。『古事記』の文体は原則としてやまとことば(漢字以前の純粋な日本語)ですが、中国語の文字(漢字)で記されているため地の文の正確な読みは現在もなおわからないところが多くあります。しかし、『古事記』の中でもうた(歌謡)の部分は一字一音式のいわゆる万葉仮名表記が用いられており、ほぼ正確に1300年以上前のことばのまま味わうことができます。『続日本紀』や『琴歌譜』所載の歌謡は、歌われた儀式の場が明確で、宮廷儀礼の中で歌謡が担った機能(天皇統治の思想や宴に組み込まれた時の政治的演出効果等)を歴史的実体的に分析できます。これらが上代歌謡研究の大きな魅力です。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

昔高校で助動詞「り」はサ変の未然形か四段の已然形に接続するから「サ未四已(さみしい)」と覚えると学習しました。その後命令形接続説が優勢になったり已然形接続説が盛り返したりしています。教科書は長年の研究の成果の凝縮ですが教科書に書かれていることも最新の研究で覆ることがあります。大学は学生も教員もその研究を行う場なのです。

もっと見る閉じる

日本史研究学域

芸能の流行が人々にもたらす影響
キーワード :
新興芸能、芸能者、身分、集団

辻 浩和教授

所属専攻:
日本史学専攻
専門分野:
日本中世史、文化史、芸能史
今様や蹴鞠、猿楽といった芸能はもともと庶民の芸能でした。しかし、それらが流行すると関心を示す貴族や武士が増え、彼らの好みに合わせて芸の中身も変わりました。また、そうした芸能を専門とする芸能者たちが優遇されるようになると、彼らの芸や仕事の方法、組織・集団も変わっていきます。このような芸能の流行が人々にもたらす影響に関心があり、芸能を通じた文化的ネットワーク、身分を超えた交流を可能にする空間や場のしくみ、芸能実践の思想的背景などについて研究しています。芸能の流行と階層間移動に着目することで中世文化を動態的にとらえ、なぜ中世の人々が文化や芸能に熱中したのかを解き明かすことができるのではないかと思っています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

そんなに昔のことを研究して何になるのかとよく聞かれます。しかし遠い時代だからこそ、我々とは異なるものの見方、考え方に驚くことが多いのです。遠い時代の人々の目を通してはじめて、自分が当たり前だと思っていたことが実はそうでないことに気づきます。そうした自己の相対化にこそ、歴史を学ぶ意味があると思います。

もっと見る閉じる

日本史研究学域

原始古代の土器と交流
キーワード :
土器生産、農耕、国家形成

長友 朋子教授

所属専攻:
考古学・文化遺産専攻
専門分野:
日本考古学、民族考古学
弥生から古墳時代には、水稲農耕の普及、王権の成立、古代国家形成過程の解明など、日本の歴史を知るうえで重要な研究テーマが豊富にあります。私は、弥生・古墳時代を、ものづくりや食文化、海外との交流関係から研究しています。考古学的研究を軸としながら、民族学的調査をおこなったり、共同研究者らと理化学的分析と考古学研究成果を総合化するなど、時には学域を超えて研究を進めるなかで、視野がひらけ疑問の解けたときの喜びはひとしおです。過去の人々の生活の痕跡や墓、そこに残された物から歴史を再構築する楽しさを、ともに感じてみませんか。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

今現在の皆さんの問題意識の中から、研究課題は見えてきます。皆さんの見慣れた風景や生活する空間の地下には、歴史が眠っています。教科書では学ばない歴史を掘り起こしてみませんか。発掘調査をしたり東南アジアの土器づくり民族調査をしたり、フィールドワークを皆で一緒にすると楽しさも倍増します。皆さん、一緒に楽しみませんか?

COLUMN

何の変哲もない石に
価値を見つけるのが考古学の醍醐味

考古学・文化遺産専攻

長友 朋子

もっと見る閉じる

東アジア研究学域

古代兵学思想の源流をさぐる
キーワード :
銀雀山漢墓竹簡、古代兵書、兵陰陽

石井 真美子教授

所属専攻:
中国文学・思想専攻
専門分野:
古代中国思想、出土文献
『孫子』等の古代兵書について研究しています。『孫子』は今から2500年ほど前に書かれたものですが、戦に関する極意がつまっていて、後世の兵書に大きな影響を与えました。「いかに効率よく勝利をおさめるか」に加え、前提として「戦わないことが最善」の重要性が説かれています。戦乱の時代において、従来の大義名分を掲げる立場とは異なり、実際の経験にもとづき「戦とは騙し合いである」「戦には多大な出費と犠牲がともなう」と現実主義の立場で説き、結果としてむしろ反戦の内容になっているのが奥深い点です。最近は古代兵法の一種である、呪術を応用した「兵陰陽」について、実際のどの地理・風習等に源流があるのかを研究しています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

世界は皆さんが思っているよりずっと広く深いものです。私の研究分野である古代中国についても、日々新たな資料の発見があり、学説が変わっています。大学ではぜひ多くのことを貪欲に学び、固定観念や利害等に縛られずに、広い視野を育んでほしいと思います。

もっと見る閉じる

東アジア研究学域

中国唐王朝の政治を宮殿の構造・機能を中心に解明
キーワード :
唐王朝、宮城、御前会議

松本 保宣教授

所属専攻:
東洋史学専攻
専門分野:
中国史、隋唐五代史
三国時代から始まる戦乱の世は、軍事・政略に秀でたカリスマ的皇帝の登場とその退場により、国土は統合と分裂を繰り返し、短命な王朝の興亡が相次ぎました。6世紀以降、全土を統一した隋唐王朝も、その余韻が色濃く残り、隋の煬帝・唐の太宗・則天武后など、個性が強すぎる面々が権力闘争の限りを尽くしました。
しかし、唐王朝も半ばごろから、資質の優れた指導者に頼る政治から、制度を固めることによって、安定した国家を維持する方向へ変質していきます。
現在の私の研究は皇帝の御前会議を舞台に、そこで演じられた皇帝・宰相・官僚・宦官達による生々しいやりとりを解明することにあります。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

中国は有史以来、膨大な記録と歴史書を編纂してきました。それは少しばかりの訓練で、容易に読解できます。つまり豊穣な歴史の宝庫にアクセスできる環境が、皆さんの前に広がっているのです。一歩踏み出して、現代日本とは異質な文化・文明を体験しましょう。それは、いわば時空を離れた異世界への旅といえます。

もっと見る閉じる

国際文化学域

新たに生まれた文明との出会い
キーワード :
キリスト教、東ローマ帝国、異文化理解

小林 功教授

所属専攻:
ヨーロッパ・イスラーム史専攻
専門分野:
ビザンツ帝国、地中海世界
わたくしはビザンツ帝国について研究しています。地中海沿岸を支配していたビザンツ帝国は7世紀、イスラームの拡大によって急激に領域を縮小させていきました。イスラームはビザンツ帝国の人々にとって、最初はまったく未知の存在で、「彼らは何者なのか」もわかっていませんでした。しかしそのような状況から長い期間をかけて、徐々に彼らへの認識を深めていったのです。その間、幾度もの戦争や対立がある一方で、交易などで徐々につながりが生まれ、互いにさまざまな影響を与えあいました。激変する状況の中で、ビザンツ帝国やイスラームの人々がどのように生き、つながっていったのか研究することが、わたくしの現在の課題です。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

現在、世界はさまざまな面で激しく変化しつつあります。自分たちにとってなじみがない、あるいは未知の存在に対しても単純に拒否し、避けるだけではなく、対話して、認識していくことが不可欠です。立命館大学文学部での学びを通じてみなさんは、未知の存在との対話のためのツールを手に入れることができるでしょう。

COLUMN

世界の今後を理解する上で不可欠の
「イスラーム」を深く学ぶ

ヨーロッパ・イスラーム史専攻

小林 功

もっと見る閉じる

国際文化学域

船も人も漂流して:人類学というビーチコーミング術
キーワード :
大衆的図像、複製技術

中村 忠男教授

所属専攻:
文化芸術専攻
専門分野:
文化人類学、説話学
もともとは南インドやパキスタン西部でヒンドゥー教の巡礼を研究していました。ところが、辺境の聖地にもかかわらず、国外から来た巡礼者に遭遇することが多く、そこからインド洋全域におけるインド系移民の移動=ディアスポラを研究することになりました。おかげで、パキスタン沖合にある孤島の聖地の調査中に、古代からあるダウ船の漁船をチャーターしたところ、エンジン不調で半日ほど漂流し、漁師から「心配するな、たぶんオマーン(アラビア半島)には着くから」と慰められ、インド洋交易の現実を痛感する羽目に。こうして、現在ではインド洋東部域にあるアンダマン諸島の植民地化とその表象をめぐる人類学的研究をおこなっています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

共に、頭と体を使って考えましょう。「問い」を産出すように日常をサヴァイヴしていきましょう。

COLUMN

文化人類学は、“石蹴り遊び”。 思いがけない発見が待っている。

文化芸術専攻

中村 忠男

もっと見る閉じる