教員紹介

  • 信仰

人間研究学域

体験を通して自己を学ぶ―新たな心の教育の探究
キーワード :
瞑想、催眠、滝行

福原 浩之教授

所属専攻:
教育人間学専攻
専門分野:
教育人間学、心理学
人生には、これまでの自らの歩みを振り返り、より深く自分を理解し、傷ついてきた自分の心を癒し、新しい自分を創造することが必要な時があります。新たな心の教育を模索する中で学生と共に創り上げてきた体験的教育人間学は、内なる促しに導かれつつ、自らの心と身体を通して体験的に自己の理解・癒し・再生に取り組んでいきます。当然、そのプロセスにはこれまで薄々感じていた認めたくない自分と直面したり、涙が枯れるほど泣いたり、今まで経験したことがないほど強い決断をしたりすることもあります。しかし、他人に依存することなく、自らの責任で取り組む主体的な自己変革こそ、青年期の心の教育の重要な課題であり、新しい研究領域です。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

人間研究の方法には、哲学的方法、科学的方法、体験的方法があります。私の研究室では、哲学と科学の基礎知識を習得し、各方法の効用と限界をよく理解した上で、体験的な人間の探究に入ることを推奨しています。

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日本文学研究学域

『古事記』『続日本紀』『琴歌譜』歌謡と王権儀礼
キーワード :
神話、古代、歌謡

藤原 享和教授

所属専攻:
日本文学専攻
専門分野:
日本神話、上代歌謡
奈良時代の文学や王権儀礼を研究しています。『古事記』の文体は原則としてやまとことば(漢字以前の純粋な日本語)ですが、中国語の文字(漢字)で記されているため地の文の正確な読みは現在もなおわからないところが多くあります。しかし、『古事記』の中でもうた(歌謡)の部分は一字一音式のいわゆる万葉仮名表記が用いられており、ほぼ正確に1300年以上前のことばのまま味わうことができます。『続日本紀』や『琴歌譜』所載の歌謡は、歌われた儀式の場が明確で、宮廷儀礼の中で歌謡が担った機能(天皇統治の思想や宴に組み込まれた時の政治的演出効果等)を歴史的実体的に分析できます。これらが上代歌謡研究の大きな魅力です。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

昔高校で助動詞「り」はサ変の未然形か四段の已然形に接続するから「サ未四已(さみしい)」と覚えると学習しました。その後命令形接続説が優勢になったり已然形接続説が盛り返したりしています。教科書は長年の研究の成果の凝縮ですが教科書に書かれていることも最新の研究で覆ることがあります。大学は学生も教員もその研究を行う場なのです。

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日本史研究学域

日本中世の政治と宗教
キーワード :
室町時代、寺社 

大田 壮一郎教授

所属専攻:
日本史学専攻
専門分野:
日本中世史、日本宗教史
日本史のなかで、室町時代はもっとも人気がありません。でも、国内外の観光客が京都を訪れると、金閣や銀閣を拝観し、禅寺の庭園を 散策し、お茶や生け花を体験するのが定番です。これらは全て室町時代の建築や発祥です。文化には詳しいのに、この時代の歴史を私たちはよく知りません。当時の京都は貴族だけでなく、武士や僧侶や商人達が一体となって政治・経済・文化を動かしていました。 そうした新しい社会がどのように構築されたのかに関心があり、とくに宗教の役割に注目しています。宗教研究というと、信仰や経典のイメージが強いですが、私の場合は宗教と政治・社会の関わりに重点を置きながら室町時代史を考えています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

少なくとも近代以前の日本史において京都および関西の重要性は言うまでもありません。史跡・文化財だけでなく、それらを研究する機関や展示する場所の数でも圧倒的です。現在に息づく伝統・文化も含め、この贅沢な環境のなかで日本史を学ぶことは貴重な経験となるでしょう。歴史の現場に立ちながら学問としての日本史を究めてみませんか。

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日本史研究学域

トランスナショナルな徳川思想史の構築をめざす
キーワード :
徳川思想、民衆思想史、民衆宗教史

桂島 宣弘教授

所属専攻:
日本史学専攻
専門分野:
日本思想史、徳川時代史
「鎖国」という言葉は、志筑忠雄が1801年にケンペル『日本史』を抄訳した際に用いたもので、「鎖国完成」といわれる寛永期には、その言葉すらありませんでした。しかもこの寛永期は、中国では明清王朝交替が進行しつつある激動期で、江戸幕府は「鎖国」どころか中国大陸の動向に気を配っていました。ところが、長い間、わたくしたちはこの時代を専らオランダなどヨーロッパとの関係において「閉ざされた鎖国の時代」と捉えてきました。何故でしょうか。近代以降の欧米中心主義で江戸時代を捉えることで、アジアの中に存在していた江戸時代が捉えにくくなっていたのです。わたくしの研究は、そうしたことがらを思想史的に再検討するものです。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

私たちの多くは、「日本人」として、「日本語」で生活しています。しかし、江戸時代まで、「日本人」「日本語」という意識は存在していませんでした。私の研究は、その形成過程を、東アジアを舞台に明らかにするものです。東アジアの人びとがどのように「日本」を見てきたのかを知ることで、「グローバルな歴史像」を共につくっていきませんか?

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日本史研究学域

日本古代の律令国家・王権と宗教
キーワード :
古代宗教、王権と宗教

本郷 真紹教授

所属専攻:
日本史学専攻
専門分野:
日本古代史、宗教史
伝統的な神祇信仰に依拠した権威を基盤とする日本の王権は、国家統治の手段として仏教の導入と興隆を図りました。一方で、政治的な目的とは別に、仏教のさまざまな効果に期待が寄せられました。病の治療や死者の追善、また仏教の付随した新たな知識や技術の導入などです。当然そこには、在来の信仰との調整が必要となり、特に王権を構成する人々が積極的にその効果を求める場合には、そのための新たな論理の構築が求められることになりました。このような経緯で奈良時代以後見られるようになったのが、神仏の混淆、さらには習合という現象です。私の研究は、その過程とそれぞれの段階での意義を究明することを目的としています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

大学での学びに必要なのは、「常識」や「通説」に疑問を抱くことです。これまで得た知識が果たして正しいものか、自分の問題関心に基づき、さまざまな分析視角・方法で、納得のいくまでその検証を試みて下さい。意外と真実は異なったものであるかも知れません。

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日本史研究学域

日本古代から東アジアを考える
キーワード :
往来する人びと、漢籍受容、術数文化、感性

水口 幹記教授

所属専攻:
日本史学専攻
専門分野:
日本古代史、東アジア文化史
私の研究の要点は、日本古代における文化の受容と選択にあります。たとえば、ある書物が中国から伝来したとします。それは史実ですし、歴史の一側面です。しかし、それが日本社会にとってどのような意味を持ったか、というのは別の問題です。その書物が果たして読まれたのか、読まれたとしたらなぜ読まれたのか、どのように読まれたのか、読まれなかったとしたらなぜ読まれなかったのか、そういった問題を問うことが重要なのです。文化が伝来し、受容し、取捨選択する際の軋轢・ズレこそが、双方の社会の様相をあぶり出し、東アジア文化の共通性と日本古代社会の独自性を明らかにするきっかけになると考えています。

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受験生へのメッセージ

「常識」は流行に過ぎず、「世間」は社会の一部に過ぎません。大学は、そういったものから離れ、自分の「好き」をとことん追究できる場所です。もし、あなたの「好き」に日本古代史・東アジア文化が含まれているならば、是非研究室を訪ねてください。一緒に楽しみながら考えていきましょう。

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日本史研究学域

戦乱の中世を城郭から読み解く
キーワード :
中近世城館、山岳霊場遺跡、海防遺跡、都城・官衙

岡寺 良准教授

所属専攻:
考古学・文化遺産専攻
専門分野:
日本考古学(歴史時代)
地中に埋没した遺跡(遺構・遺物)などの考古資料は、確かに文字資料(文献史料)には及ばないほど、歴史的事象を表すには多弁ではありません。しかし地中に刻まれた遺跡は歴史的な重要性の多寡に関係なく、歴史的な事実の反映であることに疑いはありません。この点が考古資料における最大の利点であると言えます。こうした物質資料から歴史的な重要性を導き出す学問研究分野が考古学です。 日本列島には、3~4万箇所もの中世の山城などの城郭遺跡があります。既に文字資料が存在していた時代でも、これらの膨大な数の構造物の比較検討を通していくことで、文字資料だけでは解き明かせない中近世史の解明を目指しています。

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受験生へのメッセージ

考古学は、遺跡を研究対象としたフィールドワークが主体となる学問です。頭だけではなく体を動かして野山を歩き、遺跡を発掘することで、新たな発見に出逢うことができるはずです。先人たちの研究に学ぶと共に、そこから新たな課題やテーマを見つけて、歴史の新事実を解明していきましょう。

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東アジア研究学域

古代兵学思想の源流をさぐる
キーワード :
銀雀山漢墓竹簡、古代兵書、兵陰陽

石井 真美子教授

所属専攻:
中国文学・思想専攻
専門分野:
古代中国思想、出土文献
『孫子』等の古代兵書について研究しています。『孫子』は今から2500年ほど前に書かれたものですが、戦に関する極意がつまっていて、後世の兵書に大きな影響を与えました。「いかに効率よく勝利をおさめるか」に加え、前提として「戦わないことが最善」の重要性が説かれています。戦乱の時代において、従来の大義名分を掲げる立場とは異なり、実際の経験にもとづき「戦とは騙し合いである」「戦には多大な出費と犠牲がともなう」と現実主義の立場で説き、結果としてむしろ反戦の内容になっているのが奥深い点です。最近は古代兵法の一種である、呪術を応用した「兵陰陽」について、実際のどの地理・風習等に源流があるのかを研究しています。

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受験生へのメッセージ

世界は皆さんが思っているよりずっと広く深いものです。私の研究分野である古代中国についても、日々新たな資料の発見があり、学説が変わっています。大学ではぜひ多くのことを貪欲に学び、固定観念や利害等に縛られずに、広い視野を育んでほしいと思います。

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