立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • 判決文を数多く読んで答案をイメージし
    鍛えられた言語能力を活かして在学中合格。
    日本初、視覚障害の裁判官を目指す。

    堀田 零生さん

    甲南大学法学部出身
    既修者コース修了(2025年度)
    2025年司法試験合格

「全盲でも法律なら音声で読める」
えん罪救済ボランティアも経験。

小学生の頃、自分と同じ全盲の弁護士がいると知った堀田さん。目を治す研究をする医師に憧れながら、医学部での実習が難しいなどの理由であきらめていたが、法律なら点字や音声で読むことができると淡い希望を持つようになった。さまざまな経験を経て、通信制高校を卒業する頃には進学も就職も難しいと感じるようになっていたが、視覚障害者向けの職業訓練校で、弱視で司法書士試験に合格した人がいると知ったことが、堀田さんの法曹への思いに再び火をつけた。

法学部への入学は2020年。コロナ禍によるオンライン授業、データによるテキスト配布が、結果的に堀田さんの追い風となった。初めての通学路や大学という場所に慣れるまでに要する時間、点字ではない文字(墨字)で印刷されたテキストやレジュメを、音声読み上げ可能なデータでもらうための交渉が不要となり、スタート期に自宅で勉学に専念する時間がとれたからだ。勉強が軌道に乗ると、研究者や弁護士によるえん罪救済プロジェクトに学生ボランティアとして参加。「実務を通して多くのことを学び、私も法曹を目指したいと思うようになりました。」

経済的な理由から奨学金制度のある法科大学院を探す中で、障害があることを相談した際に親身になって話を聞いてもらえたこと、学生の背中を押してくれる雰囲気を感じて選んだのが立命館だった。

奨学金制度

入学試験成績優秀者を対象とした「立命館大学法科大学院奨励奨学金制度」など多様な奨学金制度を設け、数多くの支給実績があります。

誰かのために頑張っている人を守り
応援できる法曹になりたい。

法科大学院の授業は「実務面を意識しつつ、理論面もしっかり抑え、広い範囲をカバーする内容だったと思います」と振り返る。テキストデータを音声で聴き、パソコンで答案を書くことに関しては不便はなかったが、教材を揃えることには苦労した。紙ベースで本を購入した上で、版元にデータでの提供を依頼する必要があるからだ。立命館の図書館には、本をテキストデータ化してもらえるサービスがあるので「時間はかかっても、少しずつデータを集めながら勉強することができました。」

受験勉強の中で、堀田さんが重視したのが判決文を読むことだ。「文章形式の面で最も参考にすべき法律文書だが判決文だと思い、数多く読むことで答案のイメージをつくっていました。」身振り手振りに頼らず、すべての物事を言語によって理解し、伝えてきた堀田さん。文章作成の力には自信があったため、完全な答案を書く練習よりも、問題をどのように処理するかに力点を置き、答案の構成を考えるだけにとどめて、限られた時間の中で処理する問題の数をこなしていった。

「どうしてこんなに面倒くさいことをやっているんだろう」と弱気になることもあったが、先生、友人、家族など「これまでお世話になった人、応援してくれた人に、自信をもって会いに行ける自分になりたい」との思いが堀田さんのモチベーションを支え、在学中の合格を果たした。

修習後は、裁判官を希望したいという。「日本には、まだ視覚障害の裁判官がいません。裁判の手続きが紙ベースで行われることも原因の一つだったと思います。しかし、DX化によりこの点が解消されるなら、視覚障害者にも裁判官への可能性が広がると思っています。学部時代のえん罪救済プロジェクトの中で、裁判官に対する疑問もあったので、内部から実際のところを知りたいという思いもあります」話す。どの道に進むことになっても「私は人の善意に救われて生きてきたので、一生懸命誰かのために頑張っている人を守り、応援できる法曹になりたいと思っています。」