2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第5回 5月8日  日本と世界の著作権事情

谷口 元(たにぐち はじめ)先生

  一般社団法人日本音楽出版社協会 専務理事

  株式会社東京谷口総研 代表取締役社長

 プロフィール

【最終学歴】 米国 テネシー州 ベルモント大学

コマーシャルミュージック学部卒業

【主要経歴】

1986年 8月 株式会社エイプリル・ミュージック 入社、出版部所属

(現 株式会社ソニー・ミュージックアーティスツ)

1994年10月  エイベックス・ディー・ディー株式会社 入社、国際業務担当部長

(現 エイベックス・エンタテインメント株式会社)

1995年 3月 株式会社プライム・ディレクション 取締役

1996年 7月 エイベックス・ディー・ディー株式会社 取締役国際本部国際部長

1998年 7月 社団法人音楽出版社協会 理事

2001年10月  社団法人日本音楽著作権協会 理事

2004年 6月   社団法人音楽出版社協会 常務理事

2005年 4月 エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社

 取締役 国際戦略室長  兼 知財戦略室長

2006年 5月 Avex Hawaii Inc.(在ハワイ) 取締役

2006年11月  Avex Asia Holdings Inc.(在香港) 取締役

                     Avex Taiwan Inc.(在台北)取締役会長

                     Avex China Co., Ltd(在北京)取締役会長

                     Avex Hong Kong Ltd.(在香港)取締役会長

2009年11月 社団法人音楽出版社協会 理事副会長

2009年12月 内閣府知的財産戦略推進本部コンテンツ強化専門調査会委員

2010年 4月 エイベックス・ミュージック・パブリッシング株式会社

 代表取締役社長

2010年 6月 社団法人音楽出版社協会 会長

(現 一般社団法人日本音楽出版社協会)

2010年 7月 財団法人音楽産業・文化振興財団 理事

2010年 9月 財団法人音楽産業・文化振興財団 副理事長

 (現 一般財団法人音楽産業・文化振興財団)

2012年 1月 国際音楽出版社連合(ICMP、在ブリュッセル)理事(現職)

2012年 3月 内閣府知的財産戦略推進本部

音楽産業海外展開促進タスクフォース委員

2012年 6月 一般財団法人渡辺音楽文化フォーラム 評議員(現職)

2013年 3月 株式会社アトス・インターナショナル 番組審議委員(現職)

2013年 8月 One Asia Music Inc.(在台北) 顧問(現職)

2014年 7月 一般社団法人日本音楽出版社協会 専務理事(現職)

       Global Mediators Pte.Ltd.(在シンガポール)顧問(現職)

2014年10月 株式会社東京谷口総研 代表取締役社長(現職)

2014年12月 東京スクールオブミュージック 顧問(現職)

2015年 1月 GoDigital Records, LLC(在ロスアンゼルス)プローカー(現職)

2015年 2月 SYN株式会社 顧問(現職)

                     ユナイテッドフューチャークリエイターズ株式会社 顧問(現職)

2015年 4月 産業能率大学 経営学部教授(現職)

                     株式会社AKS 顧問(現職)

 講義概要

 本講座の寄附元の一つである一般社団法人日本音楽出版社協会専務理事の谷口元氏が、「日本と世界の著作権事情」と題して講義を行った。音楽著作権について知識の無かった受講生にも解り易く解説され、著作権の役割と世界における日本の音楽産業について理解を深める講義となった。

 講義ではまず、音楽出版社の役割と音楽著作権について話した。音楽出版社とは音楽著作物のマネタイズを行っており、JASRACを始めとする著作権管理団体(会社)から分配された音楽著作物の使用料を権利者に分配している。録音音源売り上げは1998年をピークに右肩下がりだが、放送やビデオグラム使用料の増加、フェスなどの増加によるコンサート市場の急伸によって、JASRACにおける使用料徴収額は過去10年横ばいである。斜陽産業と言われるレコード産業だが、国内のマーケットが安定しているため、アーティストの海外進出が進んでいないのが現状である。

音楽環境の変化として、見栄えやグループ性など多様な付加価値の添付、TV、CMやインターネットの活用による宣伝へと人々に届ける方法に変化してきた。今後、インターネット上でマネタイズされるコンテンツには、音楽が付随する時代が来る。世界進出を見据えた際、ゲーム・映画などデジタルコンテンツに使用される音楽の果たす役割は大きい。

 海外市場については、2001年の知的財産推進計画の発表以降、クール・ジャパンとして音楽・アニメなどの文化の輸出が行われている。日本の音楽市場は世界第2位の規模を誇る。しかし、音楽のビジネス化を考えた際には、音楽との親和性の高いコンテンツと組み、クール・ジャパンとして海外へ進出することは不可欠であると言及した。

 受講生から挙げられた事前質問についても触れ、日本と世界の違いの一つとして著作権保護期間の違いを挙げた。最後に日本の音楽が海外展開する際の問題点を挙げ、それを打破する方法を受講生に問いかけ講義を終えた。受講生からは、海外進出において言語や海外への宣伝方法などが重要であると意見が上げられた。

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