2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第2回 10月9日

アニメ音楽のプロデュースとビジネス展開

佐々木史朗(ささき・しろう)先生

  株式会社フライングドッグ 代表取締役社長

 プロフィール

1982年 ビクター音楽産業株式会社(現 ビクターエンタテインメント)入社

    3年の大阪営業所勤務を経てアニメ音楽制作ディレクターとなる。

 

以降「AKIRA」「トップをねらえ!」「マクロスプラス」「マクロス7」「逮捕しちゃうぞ」「MEMORIES」「勇者シリーズ」「天空のエスカフローネ」「カウボーイビバップ」「X」「カードキャプターさくら」「ラーゼフォン」「人狼JIN-ROH」「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「創聖のアクエリオン」「マクロスF」「Panty & Stocking with Garterbelt」等の音楽プロデュースを担当。

 

2009年1月 株式会社フライングドッグ 設立

 講義概要

 数多くのアニメ作品の音楽制作を手がける株式会社フライングドッグ代表取締役社長の佐々木史朗氏が「アニメ音楽のプロデュースとビジネス展開」と題し、講義を行った。テレビアニメに使用される音楽がどのように作られるのか、アニメ制作の裏側を垣間見る講義となった。

 講義ではまず、ターゲットとする視聴者別にテレビアニメがどのような狙いを持って製作されるかを解説し、OP曲・ED曲もアニメ視聴者を意識した楽曲制作が行われると話した。子ども向けアニメや深夜放送枠のアニメに多いオーダーメイドによる楽曲は、番組ありきで制作されるため、固有名詞を歌詞に入れるなどアニメの顔となるような楽曲が制作される。タイアップによる楽曲は一般向けアニメに多く、放映時期に合わせJ-POPのアーティストを中心として曲が決められる。音楽制作には、番組内で流れるBGMや挿入歌も含まれる。BGMは1話(30分)内で15~20曲流れ、主人公やシーンに合わせて複数パターンが用意されており、表情や雰囲気の機微による間の補強や場面に応じた感情を表す役割がある。

また、ライブの興隆に伴い、アニメに出演する声優のコンサートやバーチャル・アイドルのライブが行われるようになり、新しい形のライブに可能性を見出しつつある。

 ヒットはクレバーさとクレイジーさをバランスよく兼ね備えることで生まれる。制作の現場においては“熱(熱さ)を持っている人”を希望すると話した。アニメは今やワールド・ワイドであり、長期間商売ができる仕事であると言及し、講義を終えた。

 講義課題として「現在、アニメだけに係らず、CDや配信という形で音楽をユーザーが有料で購入するというビジネスが成り立っていますが、これは将来的にどうなると考えますか?あなた個人としては、どうなって欲しいと思いますか?遠慮せずに忌憚のない意見を書いて下さい。」と提示した。受講生からは、配信への移行やCD再興に対する期待など様々な意見が上げられた。

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