2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第5回 10月31日 コンテンツのマルチ展開

白井勝也(しらい・かつや)先生

  株式会社小学館 最高顧問

 プロフィール

【生年月日】  1942年 生まれ

【略歴】     昭和43年 3月 立教大学 文学部 卒業

       昭和43年 3月 株式会社 小学館 入社

                  昭和56年 5月 ビッグコミックスピリッツ 創刊編集長

                平成  6年 5月 株式会社 小学館 取締役 就任

                  平成11年 5月     同    社     常務取締役 就任

                  平成13年 5月     同    社     専務取締役 就任

                  平成21年 5月     同    社     取締役副社長 就任

                  平成26年 5月     同    社   最高顧問 就任

       現在に至る

 講義概要

 編集者として数々の作品に関わり、コンテンツの権利ビジネスに精通する株式会社小学館最高顧問の白井勝也氏が、「コンテンツのマルチ展開」と題して講義を行った。コンテンツの展開について、著作権を中心に多角的にお話しいただいた。

 講義ではまず、コンテンツ産業の現状が話された。コミックや出版物など、一つのヒット作品に対して、テレビ(アニメ・ドラマ)・映画・音楽・キャラクター商品など多角的なコンテンツが展開される。デジタルコンテンツの増加により、パッケージ品が落ち込み、海賊版も横行するようになり、出版産業は縮小している。縮小を止める施策として、海賊版や違法コンテンツの取締り、コミックの海外展開とスマホなどのデジタル対応、クロスメディアの促進を上げた。

 海賊版が著作者・出版社の権利侵害となるのはもちろんだが、コミックやアニメの海外展開においても、その国の文化や宗教に合わせて内容が改変されることもある。その際にも、著作者の許諾は必須である。権利を持つだけでなく、その権利を守り、ヒット商品を長く続けることが大切だと説いた。

 最後に今後は著作権の保護だけでなく、継承も課題となる。現在は、全ての人にビジネスチャンスがある時代である。読者が著作者に変ることもあり、その差はわずかである。インターネットのみに頼りきらず、本を読み、自分で考え、自分の言葉で表現できるよう、毎日をワクワクしながら取り組んでほしいと話し、講義を終えた。

 また、講義課題として「これから読みたい本、コミック」を上げた。受講生からは、具体的なタイトルのほか、伝記や自叙伝、感動できる本など、様々な内容が上がった。また、大学生になり本を読まなくなったという受講生もおり、白井氏の講義を契機に本を読みたいという声も多く上げられた。

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