京都キャンパスの現状と課題
3章では京都キャンパスの学部・研究科の構成や立地条件、敷地概要など、キャンパスを構成する基本条件の確認を行う。これらキャンパスの現状を把握した上で、キャンパス計画や整備における課題を抽出する。
3.2これまでのキャンパス整備の取り組み
3.2.1これまでのキャンパス整備
立命館大学では、これまでも新たな教学展開、過ごしやすいキャンパス創造に向けたキャンパス整備を進めてきた。
- ①立命館大学の学びのシステムを支える整備
- 学習者が中心となる教育を-学びのコミュニティの創造-、学生同士で学びあうシステム、学習者の視点から教育力強化を推進(FD:Faculty Development)などの教学システムを支える施設整備を進めている。
- ②教学改革、授業スタイルの多様化に対応する教室整備
- 大規模・固定座席の教室だけでなく、中規模、小規模教室やPBL型授業に対応可能な教室の需要に合わせ、教学展開とともに、整備を進めている。
- ③学生数増への対応
- 新学部の設置に合わせ、教室や食堂など学生数の増加に対応した整備を進めている。
- ④教員数増への対応
- 学部新設、教学展開などに伴う、教員数の増加に対応した整備を進めている。
- ⑤多様な学びの場や居場所づくり
- ぴあら、学部ラウンジ、コモンズなど、学生の自主的な学びや研究、活動を行える環境の整備を進めている。
- ⑥QOLの向上
- 女子学生、女性教職員の増加により、安全・安心に加えてアメニティの充実に配慮した整備を進めている。近年新棟建設時には快適性を求めた整備に取り組み、よりキャンパス全体のQOL向上につながるよう配慮している。
- ⑦安全・安心への対策
- 防犯対策として、警備員の配置、見通しの確保、キャンパス内へ防犯カメラの設置やトイレの改善を進めている。また、キャンパス全面禁煙にも取り組んでいる。バリアフリー対策として、スロープや昇降機の設置、多目的トイレの設置を進めている。
- ⑧耐震対策
- 衣笠キャンパスでは、安心・安全のため、耐震改修を優先的に実施し、おおむね整備を終了している。未耐震建物は2棟であり、現図書館は平井嘉一朗記念図書館(新棟B)建設後解体が決定しており、学生会館が未耐震建物として残っている。
- ⑨近隣への配慮
- 衣笠キャンパスでは、近隣の良好な住環境を維持できるよう、通学経路の指定等に取り組んでいる。
- ⑩R2020前半期のキャンパス計画
- これまで、キャンパス全体の整備計画の検討を行ってきている。現在、アカデミックプランや経営戦略、建築の専門的検討などに基づき、2011年度に提示した「キャンパス計画」をベースに整備内容の優先順位を設定し、R2020の既存キャンパス整備を進めており、キャンパスマスタープランの検討作業も継続して進めている。
3.2.2R2020前半期(2011-2015)の既存キャンパス整備計画
R2020のアカデミックプランとあわせ既存キャンパスの整備方針が学内外に対して明確に提示された。右記の内容はR2020前半期の主な整備計画を示す。今後はキャンパス整備の方針を学内外へ広く打ち出すことにより、学生、教職員の満足度につなげ、国内外からの優秀な学生や研究者の獲得、学園の発展に貢献することがますます重要となる。
■原谷グラウンド第3尚友館
竣工年月:2012年11月
■修学館耐震補強工事
2013年1月終了
■小松原駐輪場整備
竣工開始年月:2014年3月
供用開始年月:2014年4月
■交通アクセス関連
市バス臨時便・新路線整備
R2020基本目標の達成に向けた立命館大学の前半期(2011-2015)の主な整備目標
- 既存キャンパスの整備
- 衣笠キャンパスは、歴史と文化の都市・京都から世界へ発信する伝統と創生の人文社系キャンパスを、びわこ・くさつキャンパスは、世界水準の教育・研究、知見、技術を創出し、世界・地域へ発信するイノベイティブ・キャンパスをめざします。 それぞれのキャンパスで教室スペースの拡充、学部・研究科の教学改革への対応、教員研究室の増室、課外活動設備の充実、飲食やアクセス条件など、キャンパスの質的アメニティ向上をすすめます。
①衣笠キャンパスの主要な再整備計画
- 新しい学習図書館を建設。
- 学部基本施設の整備。
- 学生会館の整備。
- 近隣地に国際教育寮を建設。
②びわこ・くさつキャンパスの主要な再整備計画
- 理工学分野施設の拡充。
- 体育施設の拡充。
- 近隣地に国際教育寮を建設。
- キャンパス緑地の再生を計画的に継続。
新キャンパスの開設に向けて
大阪いばらきキャンパスの2015年開設をめざします。社会・地域・人間の現在と未来の課題にこたえる諸科学の教育研究キャンパスをめざします。
①経営学部、経営学研究科、政策科学部・政策科学研究科の新キャンパスにおける新展開。
②研究所・研究センターと大学院の一体的拠点の形成。
③大阪・梅田の大阪キャンパスも活用した社会人・大学院教育の新たしい取りくみの展開。
④国・地方自治体・地域・産業との連携による施設・スペースを活用、立命館の研究と社会連携のフロントライン機能の実現。
⑤立命館大学と世界をつなぐ海外大学オフィスなどの誘致。
⑥地域と連携・調和したキャンパスづくり。
「未来をつくるR2020 -立命館学園の基本計画-前半期(2011年度から2015年度)の計画要綱 補正版」より
■京都衣笠体育館
主用途:体育館(憩いの広場、駐輪場併設)
延べ面積:9,409.49㎡
階数:地上2階/地下2階
竣工年月:第1期2012年11月、第2期2013年 9月
供用開始年月:第1期2013年2月、第2期2013年9月
■究論館
主用途:大学院共同研究室、リサーチコモンズ
延べ面積:3716.93㎡
階数:地上3階
着工年月:2014年4月
竣工年月:2015年2月
供用開始年月:2015年4月
■インターナショナルハウス大将軍
主用途:国際寮(一部セミナー、研究者滞在用スペースあり)
延べ面積:5,417.82㎡
階数:地上4階
寮室数:190室
ドミトリールーム(短期宿泊室、4人部屋)数:12室
ゲストルーム(研究者用居室)数:5室
竣工年月:2015年8月
供用開始年月:2015年9月
■平井嘉一郎記念図書館
主用途:図書館(1Fにカフェ設置検討中)
延べ面積:14,585.27㎡
階数:地上3階/地下2階
着工年月:2014年1月(2013年9月より旧体育館解体開始)
竣工年月:2015年12月
供用開始年月:2016年4月
※平井嘉一郎記念図書館の上記内容は2015年4月時点のものである。建設計画、竣工時期などは打合せにより変更されることがある。
3.2.3R2020後半期(2016-2020)の既存キャンパス整備計画
■清心館(大規模改修)
カリキュラム改革に合わせ、文学部の基本棟である清心館を全面的にリニューアルしました。歴史ある外観の趣は残しつつ、ゾーニングを再編し、内装を一新すると共に、老朽化した各種設備の更新を行い、より多様で、より充実した教学を展開できる空間の整備を目指しました。
出逢い・交わり
コモンズ:RiLICC(リリック)
Ritsumeikan Letters International and Creative Commons
学部、学域、専攻、クロスメジャーの枠組みを超えた「学びの実践と挑戦の空間」。
「文=ことば」を通じて互いに響き合い、重なり合うことで生まれ続けるエネルギーを床面に波紋パターンで表現し、過去から未来へと続く知の集積や、個の集合が1つの流れを生み出す姿を、緩やかな曲線を描く天井のルーバーで表現。波紋とルーバーの緩やかな曲線が相まって人の流れをコモンズへと導きます。
過去から未来へと続く知(=天井ルーバー)を支えるコモンズ中央の柱は「文の柱」と位置づけ、文の歴史の象徴として文を学ぶ意識を喚起します。
くつろぎ
アメニティ施設
多様な学び
教室・共同研究室等
ICT設備の充実を図るとともに、アクティブラーニングに対応可能な小教室、研究成果の発表に対応可能な大教室、文学部の特色ある授業メニューに対応した機能的な教室(ラーニングシアター、多目的教室)等、多様な教学の展開を可能にするバリエーション豊かな教室を整備しました。
伝統色を基調としたテーマカラーを各フロアに設定し、下階から上階に向けてグラデーションで展開。什器等にアクセントとして用い、各フロアに特徴を持たせています。
各専攻における深い学びの展開の場は上層階でゾーニングを再編。共同研究室を3階に、地域研究学域の実験実習施設を4階に各々集約して配置し、より集中して学べる環境を整備しました。
建物概要
竣工:1977年
延べ面積:7,483.75㎡
階数:地下1階/地上4階+塔屋
着工年月(改修):2019年4月
供用開始年月:2020年3月