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Campus Master Plan

部門別課題の把握とフレームワークプランの検討

chapter5では、目指すキャンパスの実現に向けて、検討・配慮すべき内容を部門別にフレームワークプランとして示す。フレームワークプランは、概ね15~30年程度の中長期的なキャンパス全体の整備方針に基づく計画である。どのようなアカデミックプランにおいても配慮すべき考え方や対応可能な考え方について述べている。

5.5緑地

5.5.1衣笠キャンパスにおける緑地の現状

衣笠山を背景に望む衣笠キャンパスの特徴を活かし、周辺の緑との調和や空間的な連続性を確保し、四季を感じられる潤いあるキャンパスづくりを目指す。また、憩い・集い・賑わうキャンパスに相応しい緑地計画を行う。

そこで、緑地計画について次の4つの考え方に沿って、検討を行う。また、前述の5.4キャンパスデザインの考え方に配慮する。

①衣笠山への緑の連続性の確保

衣笠山への緑の連続性に配慮した植栽計画を行う。また、キャンパス内外からの衣笠山への眺望確保のため、建物配置や建物高さなどについても配慮が必要である。

写真5-5-1 キャンパスの航空写真(2009年5月時点)
写真5-5-1キャンパスの航空写真(2009年5月時点)
写真5-5-2 緑をまもり育てる中央広場
写真5-5-2緑をまもり育てる中央広場
写真5-5-3 緑を増やす西側広場
写真5-5-3緑を増やす西側広場

②京都の植生や気候・環境に適した植栽計画

京都の気候・環境に適した樹種の選定を行う。さらに、涼しい「日陰」づくり(広葉樹の植栽)により夏の暑さに配慮し、暖かい「ひなた」づくり(落葉樹の植栽)により冬の寒さに配慮する。

写真5-5-4 図書館・至徳館間の通路
写真5-5-4図書館・至徳館間の通路

③賑わいと潤いある緑地空間の提供

植栽計画は場所毎に特徴を持たせ、歩いて楽しい歩行空間やリラックスできる憩いの空間など、目的や用途に応じた植栽計画を行い、建物内からの緑地への眺望にも配慮する。

前述の「5.3パブリックスペース」や「5.4キャンパスデザイン」の方針を踏まえ、特にランドスケープデザイン、眺望・景観・借景の考え方に配慮し、賑わいと潤いを創出する屋外空間の検討を行う。

写真5-5-5 中央広場
写真5-5-5中央広場

④適切な維持管理

既存樹木は可能な限り保全する。ただし、病気や寿命、樹木の状態に応じて伐採することもある。また、キャンパスの再整備において保全が難しい場合は、移植の可能性を検討する。

良好な緑地の空間を維持していくには、場所や樹種に応じた、維持管理方法の検討が必要である。

風致地区や眺望空間保全区域の基準を含む京都府や京都市の緑地計画の方針を遵守し、さらによりよい環境づくりを目指す。

写真5-5-6 充光館南側通路
写真5-5-6充光館南側通路

5.5.2緑地整備の取り組み方針

緑地計画の考え方に基づき、衣笠キャンパスにおいて、具体的に取り組む3つの方針を示す。

【緑をまもりそだてる】

《保全する緑》

  • 既存の樹木は可能な限り保全する。
  • 周辺環境との調和や空間的連続性を考慮し、きぬかけの路沿いの法面の緑や等持院などに接する緑など、特にキャンパス外縁部の豊かな緑は保全する。
  • 「区民の誇りの木」のイチョウなど、特長ある樹木を保全する。

《増やす緑・つくる緑》

  • オープンスペースを整備し緑豊かな広場を増やすことで、衣笠山から等持院までの緑の連続化を図る。
  • 正門から中央広場に至るグリーンプロムナードは、豊かな緑を拡充する。
  • 建物周辺部や現状で緑が少ない箇所については、積極的に緑化する。

【キャンパスを活性化する広場】

  • キャンパスの骨格である南北軸と東西軸の中核を担う広場の整備により、わかりやすいキャンパス空間をつくる。
  • 中央広場は将来ともその広がりを保持し、また災害時における広域避難場所としての機能も継続する。
  • 西側広場は、東西軸の中核をなす広場で、将来的にキャンパスモールとして四季を感じる植栽がある空間とする。
  • 東門前の広がりを保持する。

【地域とともに育てるキャンパス】

  • 豊かな緑は大学の誇りであるとともに地域の誇りでもあり、大学と地域とが協力して緑を育成推進する場をつくる。
  • 周辺地域の住民や観光客にも開かれた空間としての意識を持った整備計画を行い、これに伴う適切な管理・運営方法を中長期的に検討し、構築する。
図5-5-1 緑の方針
図5-5-1緑の方針