工藤 春代先生の研究概要

『フードシステムと日本農業（改訂版）』
新山陽子編著（放送大学教育振興会、2022年）

現在の食生活は豊かで多様性に富む一方で、農産物・食品の生産現場に目を向けると、農業従事者の激減や生産コストをカバーできない価格問題などがあり、今後の安定的な供給が危ぶまれます。生命を支える食料品の持続的な供給には何が必要でしょうか。本書は、フードシステム分析という枠組みを用い、生産・製造・流通・消費の各段階の現状と関係を構造的に捉え、フードシステムの存続と関係者の共存について考えます。

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『食品添加物はなぜ嫌われるのか : 食品情報を「正しく」読み解くリテラシー』
畝山智香子著（化学同人、2020年）

健康や食品安全をめぐっては多くの情報があふれており、なかには誤解を招く情報もあります。本書では添加物だけでなく、オーガニックや表示偽装の問題なども取り上げられています。なかでも、和食が健康的かや、ヨーグルトなどプロバイオティクスの健康表示に根拠があるのかを題材に、情報の読み解き方や研究のあり方を解説する章には、いわゆる常識とは異なる驚きの事実がたくさんです。

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『ゴルギアス』
プラトン著、加来 彰俊訳（岩波書店、1967年）

解説本を読むより、翻訳であってもそのものに触れてみる方がいいと思ったのは、大学時代に出会えたプラトンの対話篇のおかげです。話題や対話相手が変わりながら、幸福や生き方という本質的な問いへと議論が深まっていく、本書の劇的な展開は小説のように面白いです。師ソクラテスへのプラトンの思いにも胸を打たれます。現実の問題で悩みがつきない時、時間も空間も大きく異なる世界から力をもらえることがあるかもしれません。

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