立命館大学図書館

   
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「第10回:知の扉を叩け!」長島 修 先生(経営学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 内田(経営学部3回生)

長島 修 先生

長島 修 先生の研究概要

―― 先生が学生時代に影響を受けた本はありますか?

心に強く残っている本は、島崎藤村の「夜明け前」です。明治維新の時代が舞台の小説で名望家である主人公が、時代の荒波に翻弄されながら、神社を再興する物語です。時代の変わり目に、誠実に生きようとすればするほど追い込まれる主人公に共感しました。4回生のときだったか、小説の舞台になったお寺にも実際に行って泊まったりもしました。島崎藤村の有名な作品は全部読みましたよ。

―― 基礎演習では先生から専門書を中心に薦められていたことが印象に残っていたので、小説の紹介をいただけたことが意外でした。

専門書は各授業やゼミなどで紹介された本を素直に読むことが大事だと思いますよ。専門書も大切ですが、それ以上に、大学時代は思想形成の大事な時期ですから、小説も読むことをお勧めしますね。物事を深く考えたり、行き方の指針になったり、目には見えない大きな力になります。

―― 先生のお薦めの本はありますか?

専門書も大切ですが、やはり、積極的に文学や小説を読んで欲しいと思います。特に、ドストエフスキーやトルストイといった世界の名作がいいですね。専門書なら、アダム・スミスの国富論などがいいと思います。しかし、国富論は古典的なものなので、一人で読むことは大変難しいです。学生がサークルなどを作って集まって読むべきですね。

―― 難しい専門書はグループで読むことが重要かもしれませんね。大学生は回生が上がるにつれて論文を書くケースが増えていくと思いますが、先生は論文を書く際に、どのように図書館を利用していますか?

学生時代の卒論では植民地時代朝鮮の地主制をテーマにしました。当時、このテーマの文献は少なく、国立国会図書館に通いました。公立図書館にもいい文献がありました。公立図書館でいい資料を見つけてきたときに教授に褒められたことを鮮明に覚えています。立命館大学の図書館は非常に優れているので、学部生レベルの論文を書くには十分すぎるぐらいだと思います。それ以上の論文を書こうとするなら、貴重な文献は持っている大学が限られるので、複数の大学を併用することをお薦めします。

―― 図書館の使い方で複数の大学の図書館を利用するというのには気がつきませんでした。

やはり、大学によってある資料とない資料があります。図書館には大学ごとの色も出てくるので複数の大学図書館に行く事をお薦めします。

―― 図書館への要望はありますか?

立命館大学の図書館には、是非30年・50年・100年先のことを考えた蔵書構成にしてほしい。立命館大学が一流になるためには、数十年後に図書館がどうあるべきか展望をもって、今どのような資料を集めるべきか考えてほしいです。それから、今は例えば有価証券報告書もデジタル化されていますが、将来も引き出せるかどうか保証がないですよね。デジタル化された資料がオンラインで見られなくなったらどうするのかという問題について、今はあまりにも無防備です。難しい問題ですけども、考えていかないといけないですよ。

―― 学生ライブラリースタッフ、職員が一丸となって将来の図書館について考え、実行に移す必要がありますね。貴重なご意見ありがとうございます。

―― 最後に学生へのメッセージをお願いします。

立命館大学の図書館はとても充実しています。本当に、これ以上ないくらい充実しています。開館時間もデータベースもスタッフも大変利用しやすいものになっています。至れり尽くせりのサービスがいろんなところにころがっていて、学生にとってこんなに親切な図書館はありません。しかし、学生の中には検索しても借りに行かず、目当ての図書が画面上で貸出中になっているとすぐにあきらめてしまう学生もいます。図書館というのは、自分でトントンと戸を叩かないと開かない場所です。自分で戸を開いて中に入っていかないと、図書館の本当の意味もありがたさもわかりません。レストランでメニューが目の前にあるのに料理を頼まないようなものですよ。もったいない!あわせて公立の図書館もうまく利用すれば、こんなに便利すぎていいのかというくらい、とても快適な学習環境になります。公立の図書館は、市民へのサービスという、大学図書館とは別の使命を負っています。両方を使い分けるといいですよ。

―― 確かに、待っているだけでは図書館は知識をくれないですよね。学生は図書館の便利さに甘えているのかもしれません。今回はインタビューにご協力いただきありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

夜明け前 / 島崎藤村作 岩波書店 1969
国富論 / アダム・スミス著 ; 杉山忠平訳 岩波書店 2000-2001