立命館大学図書館

   
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「第57回:今の時間を大切に」久保 幹 先生(生命科学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 雲川

2017.06.08

―先生の研究分野について教えてください。

私の専門は、環境科学・環境微生物学です。中でも、それらの分野を展開させながら食糧生産や環境浄化、そして一部農業にも役立たせる研究をしています。

―その分野に興味を持ったきっかけはなんですか。

実は、私は大学に入学するときは化学系を専門としていました。そして、研究室に配属される時に、抗生物質を作る微生物など生物科学の分野に興味を持ち始めました。研究室で研究しているうちに微生物の培養やスクリーニングのような技術に魅力を感じるようになりました。また、当時は遺伝子組み換えの技術が盛んでしたので、遺伝子組み換えばかりやっていた記憶があります。しかし、アメリカに行って環境や微生物の感染について学ぶうちに、一匹の微生物を追いかけるよりも集団の微生物を追いかける方が役に立つのではないか、またむしろ一匹の微生物だけ研究することだけでは正しいことはわからないのではないかと思うようになりました。そこで、環境微生物など微生物をマスで扱ってみようと思うようになりました。これが、今の分野を研究するようになった転機であり、きっかけですね。多種多様な微生物を扱うことは難しいですが、それを実現することが本当の意味で環境科学、生物科学を理解することだと私は思います。一匹の微生物では出来ないことが集団になれば実現できることもあり、とても難しいことですが、面白いですね。

―先生は普段どんな本をよんでいますか?

いろいろ読みますが、小説はあまり読みません。人類はどうして生きているのか、人類の進化についての本をよく読みますね。地産地消や里山についての本は、新聞広告などに載っていたら、とりあえず買います。あと、政治・経済の本も読みます。家に書斎があるのでそこで読みますね。日経ビジネスは毎週読んでいます。

―先生のお薦めの本を教えていただきたいです。

『元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法』、『野菜の裏側 本当に安全でおいしい野菜の選び方』の2冊です。

―学生時代にはどんな本を読まれましたか?

啓蒙本をよく読んでいた気がします。あとはエネルギーに興味があったので、『エネルギー:危機の実態と展望』をよく読んでいました。研究分野に関する本は研究室において、それ以外の本は家にあります。ノートやルーズリーフはなくすことが多いですが、本は残るものなので、大切にしています。読みたくなったときに、手元にあると便利ですよね。

―本からどのような影響を受けましたか?

私は世の中のニーズがどうなっているかを本や新聞から探り、ビジネス感覚をつけています。「世の中が何を欲しているか」という課題設定をして、それを本や新聞から調べます。あと、新聞を毎日読みますね。研究室で購読しているものとして、日経新聞、読売新聞、日経産業新聞を読んで、なるべく思想が偏らないようにしています。大学に入学したときに新聞の定期購読を始めました。当時はネットがなかったため、新聞かテレビで情報を得ていました。大学時代には、先生から「4回生になったときには各全国紙の論調の違いが分かるようになっておきなさい」と言われていましたので、1誌ずつ研究室で学生同士、まわし読みしていました。

―先生は普段図書館を利用していますか?また、図書館に何か要望はありますか?

昔は文献を探すのによく利用していたのですが、今はネットがあるから利用する機会は少なくなりました。論文も全て研究室で取れるようになりましたし。メディアセンターにある、ライフサイエンスアカデミックラウンジは、寄付を募った上で私が作りました。リラックスして本をゆっくり読める場所が立命館にはあまりなかったので。そんなゆったりしたスペースでゆっくり本を読める環境を立命館にもっと作りたいですね。あと、芸術などの文化が好きなので、アートの研究がしたいと思いますね。でも、研究も芸術だと思います。だから、絵や本に囲まれたところで、ゆったりソファーに座ってコーヒーを飲みながら本を読む空間が欲しいですね。学生に対して、豊かな環境と思ってもらえるような図書館であって欲しいですね。

―大学時代に熱中していたことはありましたか?

熱中したというと難しいですね。楽しかったという記憶が一番ありますね。大学時代は遊んだりみんなでわいわいしたりしていました。麻雀をしたり、学科の仲間と一緒にソフトボールをしたりしていました。また、大学時代は正課の授業や勉強で忙しかったですね。180単位くらい取らないといけなかったので。実験は毎日あって夕方からしていました。4回生になって研究室に入ってからは研究ばっかりしていましたね。

久保 幹 先生(生命科学部)

―先生が今特に熱心に取り組んでいることや、将来取り組みたいことはありますか?

日々、学生教育や人材育成が大学教員としてのファーストミッションですので、全力で取り組んでいます。勉強を教えるのではなく人を育てるところが良いですね。これは大学教員にしかできない重要なことだと思います。あとは研究ですね。悪くいうと金儲けをすることになりますけど、お金が回っていかないと役に立たないですし。売り上げ100億円くらいのビジネスをしたいとずっと思っています。具体的な方法としては、特許をとり、分析、サービスを展開し、商法をするといった感じですかね。ただ自分の興味のためだけに研究するのは良くないと思いますね。

―最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。

私は学生に、「立命館大学で勉強している」という意識や誇りを持って欲しいと思います。この大学で勉強している時間、そして与えられている空間を楽しみ、それらを充実させて欲しいです。私自身、学生時代はあまりお金が無かったですが、とても豊かな時間だったという記憶があります。なので、もし過去に戻れるとしたら学生時代に戻りたいですね。こんな時間は今しかないと思うので、今という時間を大切に使って欲しいと思います。これが、立命館大学の伝統を後輩へと受け継いでいくことではないかと、私は思います。この空間を一緒に共有している時間を大切にしてほしいです。また私自身も、立命館大学が学生にとってプライドをもって母校と言ってもらえるような大学にしていきたいですね。

―本日はありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

『野菜の裏側 本当に安全でおいしい野菜の選び方』、河野秀郎、東洋経済新報社、2010年
『元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法』、ジャック・シェーファー、マーヴィン・カーリンズ(著)、栗木さつき(訳)、大和書房、2015年
『エネルギー 危機の実態と展望』、バリー・コモナー(著)、松岡信夫(訳)、時事通信社、1977年