第Ⅱ章
学園共創のプロセスとしての全学協議会のあり方
―2022年度以降の議論の積み重ねを踏まえて―
第1章では、社会・大学環境の変化や学部生・大学院生の学びをめぐる状況、そしてR2030後半期という節目の中で、2026年度の全学協議会が持つ意義と位置づけを整理してきました。
本章では、2022年度の公開全学協議会以降に重ねられてきた議論を踏まえ、学園共創が、学生・大学院生と大学がそれぞれの立場や役割の違いを踏まえながらも、大学の「いま」と「これから」について対等な議論を志向し、教学づくり・大学づくりに関わっていく関係性としてどのように具体化されてきたのかを整理します。そのうえで、全学協議会、全学協議会代表者会議、五者懇談会、各種懇談等が、それぞれどのような役割を担い、相互にどのように連動してきたのかを確認します。
本章に入るにあたり、本稿で用いる「学園共創」と、学友会が提起し展開してきた「学園共創活動」との関係などを整理します。本稿で用いる「学園共創」は、大学が学生との対話や協働を通じて、教育・研究、学生生活、課外自主活動等の改善・改革を進めていく考え方を指します。一方、学友会が提起し展開してきた「学園共創活動」は、学友会が主体的に学生の意見を集約し、大学との協議・懇談を通じて教学づくり・大学づくりに関わってきた活動です。以下では、2022年度以降の議論経過を踏まえながら、両者の関係を整理します。
2022年度の全学協議会では、学費・財政政策をめぐる議論を通じて、学生・大学院生が教学・大学づくりにどのように参画していくのかが重要な論点として確認されました。学友会は、学費額そのものの是非を問うことにとどまらず、学費使途としての教学や大学づくり等の政策・施策について、決定への同意ではなく、学友会の参画機会として双方の情報共有や議論を行う場を継続的に設置することを求めました。これを踏まえ、大学は、学費・財政政策に関わる学友会との議論の場を設けることに加え、学生・大学院生と教学や大学づくりに関わる多層的な議論の場を設けることを表明しました。
この議論は、学費を負担する学生の立場から大学に要求を届けるという従来の関係にとどまらず、その学費を原資としてどのような教学条件や学生生活環境を整え、現在および未来の学生にとってどのような大学をつくっていくのかを、学生自身も大学づくりの当事者として考える方向へと議論を展開させるものでした。大学があらかじめ答えを用意して提示し、その是非を問うのではなく、大学と学生がより対等な立場でアイデアや考えを交換し、施策の検討・具体化につなげていくプロセスの必要性が確認された点に、2022年度の議論の重要な到達点があります。
その到達点を踏まえ、2023年度第1回全学協議会代表者会議において、学友会は、従来の「要求実現運動」から「学園共創活動」へと活動の位置づけを転換し、学費額そのものの是非を問う議論にとどまらず、学費を原資としてどのような教学等が展開されるのか、教育や研究のあり方にどのように関わるのかを議論していく姿勢を表明しました。
ここでいう「学園共創活動」は、学友会が主体的に学生の意見を集約し、大学との協議・懇談を通じて、教学づくり・大学づくりに関わってきた活動です。そこでは、学生生活上の目前の課題に限らず、学びのあり方、学生生活、課外自主活動、キャンパス環境、さらには未来の学生を視野に入れた教学・大学づくりなど、学生が自らの問題意識に基づいてテーマを設定し、大学に意見を届け、協議を重ねてきた点に大きな意義があります。
2024年度には、学友会による学園共創活動が、各学部自治会による五者懇談会、キャンパス懇談会、教学部・学生部・財務部等との懇談を通じて展開され、個別具体的な課題と将来的な課題の双方を扱う活動として発展してきたことが確認されました。大学としても、こうした学友会の取り組みを高く評価するとともに、R2030チャレンジ・デザインの具体化にあたっては、初期段階から学友会・院生協議会連合会と連携し、学生が掲げる課題と大学の政策・計画との結びつきについて議論を行うことで、学園共創活動を含む学生参画のプロセスをより実質的なものにしていく必要があることを確認しています。
また、院生協議会連合会は、大学院生の研究・学修環境、経済的支援、修了後のキャリア形成などの課題について、大学院生の声を集約し、大学との協議を通じて改善につなげていく取り組みを進めてきました。2024年度以降は、組織体制の整備、各研究科院協との連携、キャンパス交流会の実施、全学的な大学院生アンケートなどを通じて、大学院生の実態や課題を把握し、大学とともに改善方策を検討する基盤を強化してきました。
こうした院生協議会連合会の取り組みは、学友会が展開してきた「学園共創活動」と同一のものではありませんが、大学が本稿でいう「学園共創」に通じる重要な実践です。特に、大学院生自身が研究環境やキャリア形成に関わる課題を可視化し、大学と協議しながら改善につなげようとしている点は、次世代研究大学の実現に向けた大学院生の参画として重要な意味を持ちます。
概念上、本稿でいう「学園共創」は、学友会が展開してきた「学園共創活動」に加え、院生協議会連合会が大学院生の声を集約し、研究環境、経済的支援、キャリア形成等の課題について大学と協議・改善を進めてきた取り組みも含みうる広い考え方です。それは、学友会や院生協議会連合会の主体的な活動を大学の施策の一部として位置づけるという意味ではありません。学友会の学園共創活動も、院生協議会連合会による院生自治・院生参画の取り組みも、それぞれの構成員の主体性に基づく独自の活動であり、大学としての学園共創とは相互に関係しながらも同一ではありません。
したがって、本章では、学友会が展開してきた「学園共創活動」と、院生協議会連合会が進めてきた大学院生の声の集約、研究環境・経済支援・キャリア形成に関する協議・改善提起の取り組みを、それぞれの主体性に基づくものとして区別しながら整理します。そのうえで、大学としては、これらの取り組みを、学生・大学院生との対話や協働を通じて教学・研究、学生生活、課外自主活動等の改善・改革を進める「学園共創」の重要な基盤として受け止めます。
なお、「学園共創」や「学園共創活動」等の用語の使い方や、その共通理解については、学友会・院生協議会連合会・大学等の各パートでの議論や、今後の全学協議会における議論を通じて、引き続き確認し、更新していくべきものです。本稿での整理は、現時点での到達点を言語化するものとして位置づけます。
以上を踏まえ、本章では、大学の「いま」と「これから」を考える機会を、学生・大学院生と教職員がそれぞれの立場や経験を持ち寄りながら形づくっていく対話と協働のプロセスとして学園共創を捉えます。全学協議会、全学協議会代表者会議、五者懇談会、テーマ別懇談会、キャンパス懇談会、研究科単位での懇談等を通じて進められてきた経過を振り返りつつ、その到達点と課題を踏まえ、2026年度の全学協議会が果たすべき役割を整理します。
目次Index
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第Ⅰ章
2026年度全学協議会の意義と位置づけ
―これからの立命館大学を考えるために―
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第Ⅱ章学園共創のプロセスとしての全学協議会のあり方
―2022年度以降の議論の積み重ねを踏まえて―
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第Ⅲ章2022年度から2025年度における立命館大学の取り組みについて
―学び・研究・学生生活の充実に向けたR2030前半期の歩み―
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第Ⅳ章R2030後半期に向けた教学・研究・学生生活の重点施策
―学部生・大学院生との対話を踏まえ、「いま」を充実させつつ「これから」の展開を構想する―
- 第Ⅴ章R2030期間の財政運営と立命館大学の2027年度以降の学費・財政政策について
- おわりに2026年10月に開催される公開での全学協議会に向けて

