1.R2030後半期に向けた教学改革の方向性
R2030チャレンジ・デザインが掲げる「次世代研究大学」の実現と「イノベーション・創発性人材」の育成に向け、後半期の教学改革では、学部生・大学院生が自ら問いを立て、専門性を深めながら、異なる分野や社会との接点を通じて学びを広げていくことを重視します。
そのために、初等・中等教育から大学、大学院、社会へとつながる一貫した学びの接続、文理横断・学際融合・社会連携を含む全学教育の展開、教育の国際化、そして学びの可視化や個別的な学修支援を支える教育DXを、相互に関連する取り組みとして進めていきます。
これらは、大学が一方的に制度を整えるだけで完結するものではありません。学部生・大学院生が実際にどのような学びを必要とし、どのような経験を通じて成長を実感できるのかを確認しながら、学園共創のプロセスを通じて具体化していくことが重要です。
(1)一貫教育連携と探究から研究への接続
R2030後半期においては、小学校から大学院までを貫く一貫教育の枠組みを活かし、探究的な学びを大学・大学院での専門的な学修や研究へと接続していくことが重要です。高校段階で広がっている探究学習を、大学入学後の学びと切り離すのではなく、自ら問いを立て、資料やデータに基づいて考え、多様な他者と対話しながら深めていく学びとして連続的に捉える必要があります。
そのため、立命館学園のコンピテンシー・フレームワークを活用し、児童・生徒・学生・大学院生が自らの学びや成長を長期的に振り返る仕組みとして、Life & Career Reviewの導入を検討します。また、研究所・研究センターと連携した教育プログラムを充実させ、学部生が早い段階から研究の魅力や方法に触れ、大学院での研究活動を具体的に展望できる機会を広げていきます。
この取り組みを通じて、一貫教育の強みを、単なる学校段階の接続にとどめず、探究から研究へ、学びからキャリアへとつながる成長のプロセスとして具体化していきます。
(2)全学教育改革と社会と往還する学びの展開
R2030後半期の教学改革では、専門教育だけでなく、学部や分野を越えて学生の学びを支える全学教育の役割がいっそう重要になります。社会課題が複雑化し、AIやデータサイエンスの活用が広がる中で、学生には、自らの専門性を深めると同時に、異なる分野の知や方法に触れ、社会との接点の中で問いを捉え直す力が求められています。
このため、「教養教育改革2028」に向けて、学士課程における教養教育を刷新し、サービスラーニング、キャリア教育、国際教学、企業協働型・国際協働型PBLなど、社会と往還しながら学ぶプログラムを充実させていきます。これらの学びは、単に知識を広げるだけでなく、学生が自らの専門分野を相対化し、他者と協働しながら課題に向き合う経験として位置づけられます。
また、学士課程で培われる問いを立てる力、論理的に考える力、他者と協働する力は、大学院での研究や、卒業後の多様な進路にもつながる基盤です。大学院課程におけるトランスファラブルスキルの育成については、大学院政策とあわせて検討を深めます。
(3)教育の国際化と多文化共修の展開
教育の国際化については、海外に行く学生だけを対象とするものではなく、すべての学生が専門分野の学びや日常的な学生生活の中で、多様な言語、文化、価値観に触れる機会を持つことが重要です。第3章で述べたように、留学、BBP、多文化共修、国際寮などの機会は広がってきましたが、後半期においては、それらを教育課程や専門的な学びとどのように接続するかが課題となります。
各学部・研究科のカリキュラム改革にあわせて、研究・専門架橋型英語教育プログラムのさらなる展開を進め、英語で専門を深く学べる環境の整備を検討します。また、新たな英語基準の学位プログラム構想を具体化し、国内外の学生がともに学び、議論し、協働する機会を広げていきます。
あわせて、BBPの新展開や国際共同コミュニティ拠点の形成を通じて、授業内外の学びを接続し、国際的な経験を一過性のものに終わらせず、学生自身の専門性や進路形成に結びつけていくことが重要です。
(4)教育DXと学びの可視化
学びの機会が多様化する中で、学部生・大学院生が自らの学修状況や成長の過程を把握し、必要な支援や次の学びにつながる情報にアクセスしやすくすることが重要です。教育DXは、単に手続きをデジタル化するものではなく、学生の学びを可視化し、教学改善や学修支援につなげるための基盤として位置づけられます。
そのため、AIを活用した学習支援・教学IRの展開、デジタル学生証、学修パスウェイ・マネジメント(LPM)の整備、LinkedInラーニングやVRを活用した授業開発など、「Education AI Platform」を中核とした教育DXを総合的に推進します。学修データを統合的に蓄積・可視化することで、学部生・大学院生が自らの学びを振り返り、必要な学修機会や支援につながる環境を整えていきます。
一方、学修データやAIの活用にあたっては、学生にとっての利便性だけでなく、データの取り扱い、説明責任、安心して利用できる仕組みも重要です。どのような情報を、どのような目的で活用し、学生の学びにどう還元していくのかについては、学部生・大学院生との対話を通じて丁寧に検討していく必要があります。
以上の教学改革は、学士課程の学びを充実させるだけでなく、大学院での研究や高度専門職業人としての成長にもつながるものです。次節では、R2030後半期における大学院教育、研究環境、キャリアパス、経済的支援の方向性について整理します。
目次Index
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第Ⅰ章
2026年度全学協議会の意義と位置づけ
―これからの立命館大学を考えるために―
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第Ⅱ章学園共創のプロセスとしての全学協議会のあり方
―2022年度以降の議論の積み重ねを踏まえて―
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第Ⅲ章2022年度から2025年度における立命館大学の取り組みについて
―学び・研究・学生生活の充実に向けたR2030前半期の歩み―
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第Ⅳ章R2030後半期に向けた教学・研究・学生生活の重点施策
―学部生・大学院生との対話を踏まえ、「いま」を充実させつつ「これから」の展開を構想する―
- 第Ⅴ章R2030期間の財政運営と立命館大学の2027年度以降の学費・財政政策について
- おわりに2026年10月に開催される公開での全学協議会に向けて

