第Ⅴ章

R2030期間の財政運営と立命館大学の
2027年度以降の学費・財政政策について

1.私立大学の財政構造と立命館大学の基本的な考え方

日本の私立大学は、高等教育に対する公財政支出が国際的に見て低い水準にあるうえに、国からの財政支援も国立大学に比して僅少であるという二重の構造的格差の中に置かれています。高等教育に対する公財政支出はOECD加盟諸国平均が1.3%(対GDP比)である中、日本は0.7%にとどまっており、さらに、学生一人当たりの公財政支出額を比較すると、国立大学生に対しては211万円が投じられているのに対し、私立大学生では19万円と約11倍の格差が存在しています。こうした背景から、学納金を主な財源として、教員や職員の人件費、授業や研究を行うための経費、奨学金など多様な学びを促進するための経費を賄うとともに、将来の施設の取替・更新などに備えた資金を積み立てることで、永続的な教学運営、財政運営が可能となるという基本構造を持っています。

立命館大学もこうした基本構造の中で大学・財務運営を行っています。そのため立命館大学では、学費・学費政策を「学びの条件と学園財政との総合的な接点」として位置づけ、「学費の重みに応える教育」「学費に見合う学びと成長の実感」という考え方を重視してきました。全学協議会では、学園財政の現状と課題について理解を深めるとともに、学納金を主な財源として実施・展開している教学の取り組みが、学生や院生のみなさんの学びや成長につながっているのかという視点から、継続的に議論を重ねてきました。特にR2030前半期以降は、大学・学友会・院生協議会連合会との間で、より日常的に懇談や協議が積み重ねられ、教学課題や財政運営に関する相互理解が深まってきました。学年暦や教育改革、研究交流、学費・財政などをめぐる議論を通じて、学園共創や学園共創活動は広がりを見せています。今後は、こうした取り組みをさらに実質化するとともに、その内容や成果を可視化し、事業計画や制度・政策形成とより明確に結び付けていくことが重要となります。立命館大学は、R2020以降、事業計画を前半期・後半期の各5年間に分けて策定する方式が定着しています。これに対応して、財政運営についても、事業計画の期間に合わせた5年間の財政運営基本方針を定め、その方針のもとで運営を行ってきました。こうした枠組みは、中期的な視点から教学と財政の両立を図るうえで重要な役割を果たしています。近年は、社会情勢の先行きに不透明性が増しています。学園の諸活動の持続性を確保するためには、R2030後半期の事業計画および財政運営基本方針の着実な遂行を通じて、立命館大学の教育研究事業が創出する価値の向上と、その社会的意味の発信強化が不可欠であり、また、それらを具体化する主要な制度・政策との連関をいっそう高めることが重要になります。

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