2.研究高度化と大学院生・若手研究者支援の展開
次世代研究大学の実現に向け、立命館大学では、第4期研究高度化中期計画(2021年度から2025年度)を策定・実行し、「新たな社会共生価値と創発性人材を生み出す次世代研究大学の実現」を基本目標として掲げてきました。この目標のもと、①研究者のキャリアステージに応じた支援によって個の研究力量を高める大学、②グローバルな研究ネットワークの構築と研究成果の国際発信の強化により「知のノード」となる大学、③学際共創研究と社会実装を推進し「総合知」を創出・活用する大学、という三つの大学像を設定し、研究高度化に取り組んできました。
その具体化に向けて、立命館先進研究アカデミー(RARA)の設置、Ritsumeikan Knowledge Nodes(RKN)構想に基づく国際共同研究の推進、影響度の高いジャーナルへの投稿支援など、新たな研究支援施策を展開してきました。これらの取り組みの結果、研究成果は着実に進展しており、2024年の論文数は1,391報と10年前比で約1.5倍に増加しました。外部資金獲得額は2024年度に50億円規模に達し、科研費についても669件・16億円が採択され、全国20位、私立大学では4位という実績をあげています。さらに、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」やJAXA「宇宙戦略基金事業(SX研究開発拠点)」など、数十億円規模の競争的資金への複数採択を通じて、次世代研究大学に向けた取り組みは、学外からも評価されつつあります。
こうした研究高度化施策と連動し、博士課程学生を含む若手研究者のキャリアステージに応じた支援も進めてきました。大学院教育においては、2010年に設置した博士キャリアパス推進室を基盤に、2013年度から大学院キャリアパス推進室へ改組し、教学・研究・キャリアを一体的に支える体制を整えてきました。同室では、院生協議会との継続的な協議を通じて、当事者のニーズを踏まえた研究環境整備を進めています。
大学院生の研究力向上に向けては、博士学生をRARA学生フェローとして認定し、中核研究者であるRARAフェローによる指導体制を構築するとともに、学内の研究所・研究センターや国際共同研究に参画する仕組みを整えてきました。これにより、大学院生が国際水準の研究に挑戦し、多様な研究者と協働しながら専門性を深める環境が広がっています。
経済的支援については、学内独自の奨学金施策による学費減免や研究業績創出支援に加え、文部科学省「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」の活用、学振特別研究員や民間財団等の外部資金獲得支援を強化してきました。大学院生が学内資金のみに依存せず、研究に集中できる基盤を広げることを重視しています。
キャリアパス支援においても、博士号取得者を専門研究員として雇用する「若手研究者育成プログラム」や、企業と連携した高度専門職インターンシップ等を通じて、多様な進路形成を後押ししてきました。その結果、理工系のみならず人文社会科学系においても博士人材の企業就職が進み、企業側で博士号の価値を反映した新たな処遇制度が導入される事例も生まれています。
さらに、本学では、研究を大学院や研究者だけのものとして閉じるのではなく、学部生や附属校との連携を通じて、小中高校段階から研究の魅力や可能性に触れる機会づくりにも取り組んできました。研究部で展開するライスボールセミナー等では、博士学生が自身の研究を分野の異なる学部生や附属校生徒に向けて発信する機会を設けています。こうした分野を越えた対話や協働の経験は、専門分野を軸としながら、他者や社会との関係の中で研究を問い直す力を育むものとなっています。
目次Index
-
第Ⅰ章
2026年度全学協議会の意義と位置づけ
―これからの立命館大学を考えるために―
-
第Ⅱ章学園共創のプロセスとしての全学協議会のあり方
―2022年度以降の議論の積み重ねを踏まえて―
-
第Ⅲ章2022年度から2025年度における立命館大学の取り組みについて
―学び・研究・学生生活の充実に向けたR2030前半期の歩み―
-
第Ⅳ章R2030後半期に向けた教学・研究・学生生活の重点施策
―学部生・大学院生との対話を踏まえ、「いま」を充実させつつ「これから」の展開を構想する―
- 第Ⅴ章R2030期間の財政運営と立命館大学の2027年度以降の学費・財政政策について
- おわりに2026年10月に開催される公開での全学協議会に向けて

