7.学び・研究・学生生活を支えるキャンパス整備と事業展開

2022年度から2025年度までのR2030チャレンジ・デザイン前半期においては、各キャンパスで、教学改革、研究高度化、社会共創、学生生活の充実と連動したキャンパス整備を進めてきました。キャンパスは、授業を受ける場所にとどまらず、学部生・大学院生が研究に取り組み、他者と出会い、課外自主活動や社会連携に挑戦し、日常生活を送る基盤でもあります。

本節では、OIC、衣笠、BKCの各キャンパスにおける特徴的な整備と、学生生活を支える共通基盤の整備について整理します。なお、2024年度から2025年度にかけては、資材価格や人件費の上昇、工期・納期の長期化などにより、キャンパス整備や施設・設備更新を進める前提条件が大きく変化しました。こうした不確実性の高い状況の中でも、各キャンパスの教学展開、研究高度化、学生生活上の必要性を踏まえ、整備内容や優先順位を工夫しながら、学び・研究・学生生活を支える環境整備を進めてきました。

(1)社会共創を軸にしたキャンパス展開(OIC)

OICでは、2024年度の情報理工学部・研究科および映像学部・研究科の移転を契機に、教学改革と連動しながら、「次世代研究大学」や「イノベーション・創発性人材の育成」というR2030の目標を具体化するキャンパス整備と事業展開を進めてきました。

その中心となるのが、「社会共創」を軸にした「Try Field」としての環境整備です。Co-Creation Hub、SP Lab、KOBO、LIST、JIZAI HALL、TERRACE GATEなどを整備し、学部生・大学院生、教職員、企業・自治体等の学外の多様な人々が出会い、学び合い、挑戦できる場を広げてきました。

さらに、Microsoft Baseの設置によるDXやスタートアップ支援、Adobe Creative Campus加盟による創造的なスキル育成、社会共創デスクによる地域課題への対応、RINC会員制度を通じた企業・自治体と学生の協働なども段階的に展開してきました。これらの取り組みは、OICを起点としながら、衣笠、BKC、APU、附属校へと、キャンパスの枠を越えて広がりつつあります。

(2)人文・社会科学とクリエイティビティを結ぶ展開(衣笠)

衣笠キャンパスでは、本学の教学理念や人文・社会科学系の学びを基盤としながら、平和、文化、芸術、デザイン、社会共創を結びつける環境整備を進めてきました。

2023年度には、アカデメイア立命21を全面改修し、立命館大学国際平和ミュージアムをリニューアルしました。「戦争の記憶を共有する」「平和をつくる場とする」「平和創造を支える研究拠点となる」という考えのもと、常設展示や無言館京都館を刷新し、ピースコモンズを新設することで、本学の教学理念を学内外に発信する拠点としての機能を高めてきました。

また、衣笠キャンパスでは、映像学部設置以来となる新学部として、2026年4月にデザイン・アート学部・研究科を開設しました。これにあわせて、充光館を全面改修するとともに、2027年度には新棟の供用開始や、全学施設としてのファブラボ整備を予定しています。これらにより、人文・社会科学系の学びとクリエイティビティが刺激し合い、社会共創につながる環境づくりを進めています。

あわせて、以学館の全面改修計画を含め、衣笠キャンパス全体の学修環境の改善も進めてきました。

(3)先端研究と理工系教育を支える展開(BKC)

びわこ・くさつキャンパスでは、理工系分野を中心とした教育研究の蓄積を基盤に、先端研究、異分野融合、アントレプレナーシップ、社会実装を支える環境整備を進めてきました。

2025年度には、立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ(CVIC)およびグラスルーツイノベーションセンター(GIC)を開設し、ファブラボやアントレプレナーシップ関連施設を大きく強化しました。情報理工学部・研究科がOICへ移転した後も、BKCでは、次世代研究大学の実現に向けた取り組みを継続的に進めています。

具体的には、2028年度に設置を予定している宇宙地球フロンティア研究科(仮称)の新設、生命科学部・研究科および薬学部・研究科の教学改革に対応する教育研究環境整備、日本食に関する国内最大級の史資料群である「ケンショク・コレクション」を収蔵する施設の2026年度完成など、教育研究の高度化に向けた整備を進めてきました。

(4)学生生活を支える共通基盤の整備

これまで述べてきた各キャンパスの特徴的な整備に加え、学生の学び、研究、課外自主活動、日常生活を支える基盤整備も進めてきました。具体的には、トイレ改修、エントランスの自動ドア化、志学館改修、存心館地下食堂の拡充検討、ユニオンスクエア全面改修、グリーンフィールド人工芝更新、バイオフロンティア建設、太陽光設備導入などに取り組んできました。

これらのキャンパス整備のうち、OIC新展開、ユニオンスクエア改修、以学館改修、食環境の改善検討にあたっては、学生とのワークショップ等を重ねながら、学生の意見や利用実態を踏まえた検討を進めてきました。大学としては、こうしたプロセスを、学生の主体的な意見表明と大学の施設整備・環境改善が交わる取り組みとして受け止めています。施設や設備の整備は、単なるハード面の改善にとどまらず、学部生・大学院生がどのように学び、活動し、日常生活を送るのかに関わる重要な基盤です。また、キャンパスアクセスについても改善に向けた取り組みを進めてきました。特にBKCでは、大学が学部生・大学院生の通学課題を踏まえて行政への働きかけを重ねてきたことも受け、南草津駅周辺のバス待ち環境改善等を通じた通学利便性向上が進められています。

こうした取り組みは、学部生・大学院生の学びや研究、日常生活を支えるキャンパス環境を、学生の意見や利用実態を踏まえて整備してきた到達点として位置づけられます。

以上のように、2022年度から2025年度にかけて、本学では、教学改革、研究高度化、グローバル化、学生支援、キャリア形成支援、学びと成長の可視化、キャンパス整備を相互に関連づけながら進めてきました。これらの取り組みにより、学部生・大学院生の学びや研究、学生生活を支える制度や機会は広がってきたと考えています。

一方で、それらが学部生・大学院生一人ひとりにどのように届き、どのような学びや成長の実感、あるいは課題意識につながっているのかについては、なお丁寧に確認していく必要があります。また、正課・課外自主活動・研究・国際交流・キャリア形成などの多様な経験を、学部生・大学院生自身がどのように意味づけ、次の学びや行動につなげていけるのかについても、引き続き検討すべき課題です。

次章では、こうした到達点と課題を踏まえ、R2030後半期に向けた教学・研究・学生生活の重点施策と、学部生・大学院生のみなさんとともに議論を深めていきたい論点を示します。

  • 衣笠C 国際平和ミュージアム常設展示場(テーマ展示1)
    【衣笠C】 国際平和ミュージアム常設展示場(テーマ展示1)
  • 衣笠C 無言館京都館「いのちの画室(アトリエ)」
    【衣笠C】 無言館京都館「いのちの画室(アトリエ)」
  • BKC グラスルーツイノベーションセンター・立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ
    【BKC】 グラスルーツイノベーションセンター・立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ
  • BKC グラスルーツイノベーションセンター(通称:GIC)のStartup Lounge
    【BKC】 グラスルーツイノベーションセンター
    (通称:GIC)のStartup Lounge
  • BKC 立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ(通称:CVIC)のクロスバースアリーナ
    【BKC】 立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ
    (通称:CVIC)のクロスバースアリーナ
  • OIC H棟
    【OIC】 H棟
  • OIC Co-Creation Hub(H棟)
    【OIC】 Co-Creation Hub(H棟)
  • OIC TERRACE GATE(H棟)
    【OIC】 TERRACE GATE(H棟)
  • OIC SP Lab(H棟)
    【OIC】 自律移動型警備ロボット
  • OIC LIST(H棟)
    【OIC】 LIST(H棟)
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―学部生・大学院生との対話を踏まえ、「いま」を充実させつつ「これから」の展開を構想する―

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