3.学生生活・課外自主活動・国際的な学びを支える環境づくり

学部生・大学院生の学びや成長は、授業や研究だけでなく、課外自主活動、国際交流、地域・社会連携、ピア・サポート、起業・社会共創など、多様な経験の中で形づくられます。第3章で述べたように、R2030前半期には、学生支援、課外自主活動、国際的な学び、キャリア形成支援に関する制度や機会が広がってきました。一方で、それらの機会をどの学生が、どの段階で知り、どのように参加し、自らの学びに結びつけていくのかについては、なお課題があります。

R2030後半期においては、入学初期から学生が多様な経験に触れ、自らの関心や問題意識に応じて挑戦できる環境を整えることが重要です。同時に、安心して学び、活動し、失敗や試行錯誤を経験できる基盤を整えることも欠かせません。本節では、入学初期からの大学生活の見通し、安心して挑戦できる学生生活基盤、課外自主活動・社会共創・国際的な学びの接続という観点から、後半期に向けた方向性を整理します。

(1)入学初期から大学生活を描く支援

入学初期は、学生が大学生活をどのように捉え、どのような姿勢で学修や活動に向き合うかの基礎が形成される重要な段階です。これまでの入学初期支援は、大学制度や履修方法への理解を促す「導入」や「適応」を中心としてきましたが、今後はそれに加え、学生が「大学で何を経験し、どのように学び、将来にどうつなげていくのか」を考え始める起点として位置づけることが重要です。

そのため、新入生オリエンテーションや初年次教育の機会において、大学での学び、課外自主活動、人との出会い、地域・社会連携、留学・国際交流などが、将来の生き方や社会での役割とどのようにつながりうるのかを考えるセッションの導入を検討します。あわせて、学生が自身の関心や価値観を言語化し、大学生活で何に取り組みたいのかを整理するための簡易な内省の機会を設けることも考えられます。

また、正課、準正課、課外自主活動、留学、ピア・サポート、起業・社会共創など、学内に存在する多様な成長機会を俯瞰的に把握できる情報提供のあり方を整理します。これは新たな特別プログラムを限定的に導入するというよりも、既存の初年次機会を活用しながら、「まずは大学に慣れる」段階から、「自分なりの大学生活を描き始める」段階へと、入学初期支援の重心を広げていく取り組みです。

(2)安心して学び、挑戦できる基盤

学生が主体的に学び、課外自主活動や国際的な学び、社会共創などに挑戦していくためには、心理的・生活的に安心できる学生生活の基盤が不可欠です。困難や不安を抱えた際に必要な支援へアクセスできることはもちろん、日常的な学生生活の中で、学生同士や教職員との関係を通じて、困りごとや不安を早い段階で共有できる環境づくりが重要です。

そのため、学生相談、学生支援窓口、居場所機能など、既存の支援資源が学生にとって分かりやすく接続されているかを点検し、必要な情報や相談先にたどり着きやすい仕組みを整えていきます。あわせて、特定の学生のみを対象とする支援にとどまらず、誰もが安心感を持って学修や活動に向き合えるキャンパス環境を形成していくことが求められます。

これは、「困ったときに支援する」だけでなく、「安心があるからこそ失敗を恐れず挑戦できる」環境をつくるという考え方への転換でもあります。第3章で確認したように、支援の制度や機会は広がってきましたが、今後は、大学生活の初期段階にある学生や、自ら困りごとを表明しにくい学生との接点をどのようにつくるかが重要な論点となります。

(3)課外自主活動・社会共創・国際的な学びの接続

学生生活における経験は、クラブ・サークル、ピア・サポートなどの継続的な所属型活動だけでなく、起業、社会共創、プロジェクト型学習、地域連携、留学、多文化共修などへ広がっています。R2030後半期においては、これらを別々の機会として並べるだけでなく、学生が自らの関心や成長段階に応じて行き来し、経験を重ねられる環境を整えることが重要です。

課外自主活動については、クラブ・サークル等が培ってきた自治的・継続的な活動の価値を大切にしながら、より多くの学生が自らの関心に応じて出会い、参加し、挑戦できる機会として、どのように広げていけるのかを検討します。その際、従来からの課外自主活動が持ってきた自主性、継承性、仲間づくりの価値と、新たな社会共創やプロジェクト型活動の広がりをどのように結びつけるのかも、学部生・大学院生のみなさんと考えていきたい論点です。RIMIXやSEEDSに代表される起業・社会共創の取り組み、地域・企業との連携、大学院生の研究活動、学部生の自主的な活動などが接続することで、学生の経験の幅はさらに広がります。

R2030後半期においては、課外自主活動を、学生の主体性や仲間づくりを支える場としてだけでなく、正課での学び、研究、地域・社会連携、国際的な経験と結びつく学びの場として再定義していくことが求められます。第4期重点強化クラブ政策では、重点強化クラブに対して、正課と課外の高い水準での両立、応援し応援される団体づくり、地域・社会貢献、一貫教育の促進、国際化、自立的な運営とインテグリティ、成果や知見の社会・学園への還元が求められています。こうした視点は、重点強化クラブに限らず、課外自主活動全体を学びと成長の機会として捉え直すうえで重要な手がかりになります。

また、スポーツ分野では、より高い成長ポテンシャルを有するクラブを公募・審査により選定し、重点的に支援する「HIGH-PERFORMANCE CORE制度(仮称)」の検討も進められています。この制度についても、競技成績の向上のみを目的とするものではなく、学生の成長、クラブの運営体制、研究との連携、多様性の推進、活動成果の発信などを含めて、課外自主活動が持つ教育的価値や社会的価値をさらに高めていくための新たな支援のあり方として、今後の議論の中で具体化していきます。

国際的な学びについても、留学に参加する学生だけのものではなく、キャンパス内での多文化共修、BBPでの交流、国際寮、国際協働型PBLなどを通じて、日常的に異なる文化や価値観に触れる機会として捉える必要があります。今後は、課外自主活動、社会共創、国際的な学びを相互に接続し、学生が自らの関心に応じて多様な経験へ踏み出せる環境を整えていきます。

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