4.経験の意味づけと進路・キャリア形成への接続
学部生・大学院生が大学で得る経験は、参加した活動や取得した単位、就職活動の結果だけで測られるものではありません。授業、研究、課外自主活動、国際交流、地域・社会連携、ピア・サポート、アルバイト、インターンシップなどの経験をどのように振り返り、自分自身の関心や価値観、将来の選択と結びつけるかが重要です。
第3章で述べたセルフ・オーサーシップの視点を踏まえると、大学の支援は、特定の正解や進路へ導くものではなく、学部生・大学院生が自ら考え、選び、行動する力を育むためのものとして位置づけられます。本節では、多様な経験の振り返りと可視化、キャリア形成支援の再整理、学部生・大学院生との協議論点について整理します。
(1)多様な経験を振り返り、言語化する支援
多様な経験は、それだけで自動的に成長につながるわけではありません。学部生・大学院生自身が、その経験を振り返り、何を学び、どのような力や関心が育ったのかを言語化することで、次の学びや行動につながります。
第3章で述べたコンピテンシー・フレームワークは、こうした振り返りを支える共通基盤となります。正課、課外自主活動、国際的な学び、研究活動、キャリア形成に関わる経験を、学生自身が相互に関連づけて捉えられるよう、学びと成長の可視化を進めることが重要です。
今後は、初年次教育、ゼミ、キャリア教育、課外自主活動、留学・国際交流、研究活動などの場面で、経験を振り返り、言語化し、次の挑戦へつなげる機会をどのように組み込むかを検討します。これにより、学部生・大学院生が自らの学びの軌跡を理解し、将来の進路や生き方を主体的に考える支援につなげていきます。
(2)キャリア形成支援の再整理
第3章で述べたように、本学では、進路・就職ガイダンス、個別相談、就活まるわかりポータル、難関分野支援などを通じて、学生の進路選択を支える環境を整えてきました。後半期においては、こうした支援を、就職活動の時期に限定したものとしてではなく、入学初期からの学びや経験、大学院進学、留学、課外自主活動、社会共創、研究活動と接続したキャリア形成支援として再整理することが重要です。
低回生の段階から社会との接点や多様な進路の可能性に触れること、大学院生が研究とキャリアを往還しながら将来像を描くこと、留学生や個別の配慮を要する学生が自らの状況に応じた支援を受けられることなど、学部生・大学院生の状況に応じた支援のあり方を検討していきます。
キャリア形成支援は、就職先の決定を支えるだけでなく、学部生・大学院生が自らの経験を意味づけ、自分にとって納得できる進路や生き方を選び取っていく過程を支えるものです。そのため、キャリアセンター、教学部門、学生支援部門、国際部門、研究科・学部などが連携し、学生生活全体を通じた支援として展開することが求められます。
(3)学部生・大学院生との協議論点
以上の方向性を具体化していくためには、大学が制度や支援を整えるだけでなく、学部生・大学院生のみなさんが、どのような場面で支援や情報を必要としているのか、どのような経験が成長実感につながっているのか、また、どのような障壁によって挑戦や参加をためらっているのかを共有することが不可欠です。
2026年度全学協議会に向けては、特に次の点について、学部生・大学院生のみなさんとの議論を深めていきたいと考えています。これらの論点は、大学があらかじめ答えを用意しているものではありません。学部生・大学院生のみなさんの経験や実感から見て、何が課題であり、どのような方向が望ましいのかを共に確認していくためのものです。
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初年次からのライフデザイン形成
入学初期の段階で、大学生活全体の見通しを持ち、自らの学びや経験を意味づけながら、卒業・修了後の進路や将来の在り方を主体的に考えていくために、大学はどのような機会や環境を整えるべきか。 -
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挑戦を支える伴走・相談支援
学生が安心して学び、挑戦できるよう、必要な支援や伴走を適切に受けられる環境をどのように実現するか。 -
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学生の挑戦を広げる多様な学びの接続
正課、課外自主活動、社会共創活動、国際交流・留学、研究活動などを、それぞれ独立した経験ではなく、成長につながる学びのプロセスとしてどのように接続するか。 -
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多文化共生と相互成長の推進
留学生と国内学生がともに学び、対話し、協働する経験を通じて、多文化共生社会を担う力をどのように育むか。 -
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国際交流・多文化共生を支える環境づくり
BBP、国際寮、多文化共修、留学等を通じて、学生が日常的に国際交流や異文化理解に触れながら学び、成長できる環境をどのように構築するか。 -
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課外自主活動を支える環境整備
クラブ・サークル活動、ピア・サポート、地域・社会連携、起業・社会共創など、多様な課外自主活動を支える施設・設備や活動環境をどのように充実させるか。 -
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リフレクションと成長の可視化
学生が多様な経験を振り返り、意味づけ、自らの成長や次の挑戦につなげていく仕組みをどのように構築するか。
これらの論点は、学生生活やキャリア形成に限られるものではなく、教学改革、大学院教育、国際化、教育DXとも深く関わります。学部生・大学院生の実感を出発点に、R2030後半期に向けた取り組みを学園共創のプロセスとして具体化していきます。
目次Index
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第Ⅰ章
2026年度全学協議会の意義と位置づけ
―これからの立命館大学を考えるために―
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第Ⅱ章学園共創のプロセスとしての全学協議会のあり方
―2022年度以降の議論の積み重ねを踏まえて―
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第Ⅲ章2022年度から2025年度における立命館大学の取り組みについて
―学び・研究・学生生活の充実に向けたR2030前半期の歩み―
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第Ⅳ章R2030後半期に向けた教学・研究・学生生活の重点施策
―学部生・大学院生との対話を踏まえ、「いま」を充実させつつ「これから」の展開を構想する―
- 第Ⅴ章R2030期間の財政運営と立命館大学の2027年度以降の学費・財政政策について
- おわりに2026年10月に開催される公開での全学協議会に向けて

