立体視型のVR実写映像ライブ配信授業を映像学部生が体験

 立命館大学映像学部の大島登志一教授は6月21日、映像学部の学生を対象に最先端の180度立体視映像ライブ配信による実験的な授業を実施しました。キヤノン株式会社の協力で実施したもので、大島教授は、「対面型授業の中での(こうした技術の)新たな利点を強調したいと考えています。もちろん遠隔ライブ配信やVODにも展開できる大きな可能性があります。最先端の映像技術による授業を体験してもらい、どのような活用が期待できるのか、色々と探ってもらいたい」と語りました。

 「今回の実験的授業では、隅っこでも第一列でも座席の位置によらず、同じ場を共有しながら、同等の質の学習体験を同時にできることを目指しています」。専門科目「バーチャルリアリティ」の受講に集まった約80人の学生たちは、大島教授の講義に熱心に耳を傾けました。講義の前半では大島教授が実験の内容やメタバースをはじめとしたバーチャルリアリティの世界について説明。その後、学生たちは、自分のスマホにアプリをインストールしてレンズを装着したり、VRデバイスを手渡されたり、多様な端末が混在する環境で実験的授業を体験しました。授業内容は「モーションキャプチャ」について学ぶ講義で、スライド以外に様々な装置や模型をVRカメラに提示しながら、まさに対面型ならではのスタイルで授業が進められました。

立体視VRライブ配信システムで変わる教育

 今回の実験で使用した機器は、2つの魚眼レンズがついた特殊なカメラで、撮影映像は立体感があり解像度も通常のVR動画より高い体験ができます。「キヤノンのこのVRステレオレンズを手にして授業での活用を考えたとき、私たちはリアルな世界に住んでいるので、できる限りリアルな情報を伝え、共有し合うのが対面・オンライン問わず必要だという大前提にいたりました。今回の実験では、リアルな情景をできる限り再現したシステムを学生の皆さんに体験してもらいたいです」と今回の実験的授業にいたる経緯を大島教授は授業の冒頭に説明しました。

遠隔授業の限界を感じ、よりリアルな表現を追求

 昨今話題にあがるメタバースは、バーチャルリアリティの代表的な応用です。現在、メタバース上では、教育利用、Eコマース、コンサート体験などいろいろな用途での利用が行われています。

 「学びの将来を見据えたR2030の学園ビジョン、特に大阪いばらきキャンパスでの一連の新たな展開の中で、メタバースも一つのキーワードとしてあがっています。しかし、バーチャル空間だけだとリアリティにも限界があり、実用化のレベルへの道のりにはまだまだ課題があると個人的に思います。今の学生たちは、コロナ禍で止むを得ずという理由でオンライン授業を受けていましたが、通常の画面上だとどうしても立体感や臨場感、緊張感に欠ける。やりにくい部分もあったと思いますが、利点の部分は活かしたい。」(大島教授)

 今回の実験的授業は、大島教授がオンサイトとオンラインの利点とを複合的に現実化し、授業の方向性の一つとして提案する、メタバース的なものを実際に学生がよりよく学習するための新しい形です。受講した学生たちからは「自分だけに対して授業してくれていると思える瞬間があった」といった感想が寄せられました。



NEXT

2023.07.07 TOPICS

グランフロントThe Lab.立命館ブースで「社会課題に対する3Dデータ活用(経営学部横田ゼミ×株式会社空間情報)」の展示がスタート

ページトップへ