2023年12月16日、立命館大学の大阪いばらきキャンパスにおいて、立命館大学とアドビ株式会社(以下アドビ社)*1は、グローバル製薬会社である日本ベーリンガーインゲルハイム社*2の協力のもと、医療課題をテーマにした産学連携のワークショップを開催しました。異なる学部・研究科の学生がグループごとに協力し、リアルな医療課題について議論。その後、アドビ社のAdobe Express*3を使ったクリエイティブによる解決策を考案し、プレゼンテーションを行いました。

 開催されたワークショップのテーマは、「SDGsの社会課題をクリエイティブシンキングで解決する力を身につける」。当日は12学部、4研究科から合計50名の学生が参加し、グローバル製薬会社である日本べーリンガーインゲルハイム社の担当者が実際の医療課題を共有、解決策を検討しました。

 日本ベーリンガーインゲルハイムはSDGsの施策として、「SD4Gs(Sustainable Development for Generation:世代を超えた持続可能な開発)」という独自の取り組みを進めていることを紹介。「More Health - 人と動物の健康のために」、「More Potential - 社会と社員のために」、「More Green - 地球環境のために」の3つの柱に焦点を当て、社会貢献活動を従業員一丸となり推進をしています。具体的には、開発や製造・販売だけではなく、苦しむ患者さんと高校生が協力して行うワークショップや、他企業と協力して強皮症患者さんのケアサポート、希少疾患や糖尿病の啓発活動などに注力されています。

 今回のワークショップで取り上げたのは「More Health」。健康診断や病気と向き合う架空の家族の事象としてペイシェントジャーニー(患者が病気を認知し、医療サービスを受けることで経験するあらゆる接点の工程)が共有されました。ある家庭の父親が定期健康診断の結果、再検査が必要だったにもかかわらず、忙しい生活の中で病院に行くことができず、腎不全まで悪化してしまったというお話でした。この事象について、まず各グループで「なにが課題だったのか」のディスカッションを行いました。

 ターゲットへのアプローチを検討するために課題マップ、ペルソナ、How Might Weというテンプレート*4でアイデアを整理。グループごとにAdobe Expressで共同編集しながら議論を進めました。チラシやポスター、Webサイト、アプリ、SNSなど形式は自由。ここでも生成AIのFireflyやAdobe Expressに搭載されたデザイン素材やフォントなどをフル活用してビジュアル表現を工夫し、思い思いのアイデアでクリエイティブを作成し、最終提案を行いました。

 “プレゼンテーションでのチーム協力や問題解決のアプローチがとても勉強になりました。自分たちのプロジェクトを進めるヒントがたくさんあり、最高の経験になりました”
 “他のグループと同じテーマを扱っていても、発表内容や解決策などの答えが大きく異なった点が印象的でした。それぞれのチームで独自の解釈や特徴が生まれ、非常に興味深かったです”

 講評を行ったOIC総合研究機構 の三宅 雅人教授は、ディスカッションへの積極的な参加や役割分担の良好さ、アイデアの具体性やターゲットの明確さを評価。短い時間で的確に伝えるスキルやフィードバックの重要性を強調し、今後もディスカッションを通じたスキル向上に期待を寄せました。

 また、アドビとの連携協定のもと、2024年から同学で始まる新プログラム「QULTIVA(カルティバ)」のスタートにも言及。「現代社会の変化に対応するためには、個の知識や経験だけではなく異なる専門性の連携が不可欠です。カルティバはまさに、異なる学部・学科のバックグラウンドを持つ学生達が意見を出し協力することで、創造性を伸ばし、現実の課題に対処する力を養成するプログラムを始めます。ぜひそちらにも参画を。」とコメントしました。

 立命館大学は、「R2030」ビジョンで次世代研究大学と創発性人材養成を掲げています。2023年9月にはアドビとの連携協定を締結しました。今後もアドビ社と、2024年から始まる同学のQULTIVA(カルティバ)プログラムのカリキュラム支援をはじめ、アドビ社と協働により、講座、テーマ別セミナーの開催などを通して教職員・学生のデジタルリテラシー育成をサポートしていきます。

*1 アドビ株式会社と新たな価値創出を担う人材育成を共同で推進 AI・デジタル技術を活かしたオリジナル教育プログラムを共同で開発
https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=3352

*2 日本ベーリンガーインゲルハイムはドイツのインゲルハイムに本拠地を置き、医療用医薬品や動物薬にも力を入れている世界的な製薬会社。日本国内には、神戸の医薬研究所や山形にある工場など重要な拠点があり、アジアのハブとして医薬品の輸出も行っている。
https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/

*3 Adobe Express
アドビ社によって開発されたソーシャルグラフィックやwebページ、ショートビデオを作成できるモバイルおよびWeb用のメディア作成アプリケーションツール。誰でもかんたんに魅力的なコンテンツを作成できるデザインツール。
無料のオンライン写真/デザインツール | Adobe Express

*4 デザイン思考法"How Might We"
問題解決に焦点を当て、肯定的で創造的なアイデアを生み出すためのデザイン思考の手法のフレーズ。実際にプロダクト開発やサービスデザイン、チームブレインストーミングなど、さまざまなシーンで利用され、ユーザー中心の視点から問題を捉え、新しい視点やアプローチを促進する。

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