• 2023/07/07
  • イネが自重で倒れないためには穂に最も近い節間の特性が重要であることを発見 ~イネの形と硬さに存在するトレードオフ関係を考慮した数理力学モデルを構築~
  • 立命館大学広報課
  •  イネなどの穀物は、自重や暴風などによる倒伏により、収量や品質が大幅に低下します。この倒伏を低減させるため、これまで、イネの倒伏に関わる特性(倒伏耐性、とうふくたいせい)の研究が盛んに行われてきました。しかしながら、特性の異なる品種間を比較する方法は、これまで確立されていませんでした。
     本研究では、まず背丈など特性の異なるイネ12種について詳細な形態測定や力学測定(曲げ試験)を行いました。その結果、イネの稈の太さと硬さにはトレードオフ関係があること、つまり稈が太いタイプ(柔らかく太い)と硬いタイプ(細くて硬い)が存在することを発見しました。
     秋田県立大学、岩手生物工学研究センター、立命館大学、山梨大学の共同研究グループは、材料力学の弾性柱理論を応用し、どのような形あるいは硬さの条件でイネが倒伏するかを定量的に明らかにする力学モデルの構築に初めて成功しました。この力学モデルは、特性の異なるイネを比較できるため、これまで解析できなかった品種間の比較も可能になります。
     この力学モデルを用いた解析により、穂に最も近い節間の特性が自重で倒れないために重要であることが明らかになりました。このことから、穂に最も近い節間の特性を改良することで、イネの倒伏耐性を向上できる可能性が示唆されました。この研究成果から、力学理論と育種学の融合により、倒伏耐性が向上した新たなイネ品種の作出が期待されます。

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