教わる側から、教える側へ 学生が成長し続けるピア・サポートとは

2016.02.09 TOPICS

教わる側から、教える側へ 学生が成長し続けるピア・サポートとは ~政策科学部 ACSの取り組み~

学部の学びをより面白く

学部生のニーズにマッチした自主企画を展開
ヘルプデスクの様子
ヘルプデスクの様子

 政策科学部のACS(Academic and Communication Supporter)は、2013年6月、院生を中心に学部生の学修支援を目的とした団体としてスタートしました。現在は、発足当時の院生からサポートの対象となる1回生により近い存在である学部生(2・3回生中心)に運営主体を移し活動。徐々にメンバーも増え、男女89人(院生含む)が在籍しています。

 「学部の学びをより面白く」がACSの最大のテーマ。学修のベースとなる履修相談や学術的レポートの作成をサポートするライティングヘルプデスクなどに加え、メンバーが自らの経験・体験などを踏まえ「1・2回生が困っている」「問題を抱えている」ポイントや「さらに学びを深めたい」というニーズにマッチした自主企画で学部生の声に応えています。なかでもライティングやディベートスキルなど“人に伝える力”は、学部の学びを深めるのはもちろんのこと、今後社会に出て活躍するための基礎でもあり、特に力を入れているといいます。企画に参加した1回生からは、「非常に分かりやすかった」「学部の講義ではなかなか質問できないが、学生同士なので聞きやすかった」などの感想が寄せられています。
 発足時からのメンバーで前代表の江成穣さん(4回生)は、「ACSの良さは、学生主体で企画の立案から運営までを経験できる点。サポートする側の私たちも、自ら学んだこと(インプットしたこと)を1回生に教えること(アウトプットすること)で実践力を磨くことができます。毎年、決まった形(企画)がある訳ではありません。サポートの質は高めつつ、自ら考え(立案し)、メンバーや参加者と互いに切磋琢磨しながら自分たちも成長することができる取り組みです」と活動のメリットを話します。

学年の枠を超え議論を深める

企画参加がメンバー入りのきっかけ
ACS内の交流企画「新企画発案」をテーマにしたグループワークの様子
ACS内の交流企画「新企画発案」をテーマにしたグループワークの様子

 1・2回生時に学年の枠を超え議論を深める機会はそれほど多くなく、そうした経験を積めるのもACSの特徴のひとつとなります。現在はメンバーとして活動している今西隆次郎さん(2回生)も、1回生の時に同学年だけでなく上回生を含めたメンバーでグループワークを行うLINKSなどの企画に参加したひとり。「もともとは人前で話したり人に伝えたりするのが苦手でしたが、LINKSに参加して人前で自分の研究を発表する楽しさ、同じテーマで議論を深めることの面白さを知ったのが大きかったですね。先輩方の発表や意見が聞けてとても参考になりました」とメンバー入りのきっかけを話します。今田佳佑さん(2回生)は、「ACSに入ってみて企画・運営する側の苦労が分かりました。意見をまとめるのはもちろん、運営する際もなかなか計画通りにはいかないもの。対応一つひとつが勉強になります」と感想を口にします。メンバーからは他にも「どうすれば分かりやすいかを考えるだけで自分の成長につながる」などの声が聞かれました。
 各企画は発案者を含めた数人で担当。企画書の作成から運営、資金管理までを責任を持って行います。そうした取り組みは「問題解決指向的な精神を備え、政策実践力と政策構想力を持った人材を育成する」という学部の精神にもマッチしたもので、学部の学びを凝縮した活動内容となっています。

課題の認知度もアップ

困ったことがあればACSへ

 ACSでは他にもTA・ES*1の学生募集、地方創生をテーマとしたフィールドワークなど数多くの企画を実施。2015年度の政策科学部のTA・ESはACSで募った学生が大半を占めたほか、履修登録相談には新入生の約半数にあたる延べ200人が訪れるなど学部内の信頼も厚く、課題だった上回生の認知度も徐々に高まりつつあるといいます。また、留学生やCRPS生*2と日本の学生が交流できる場として「Culture Sharing」を定期的に開催。英語などでコミュニケーションを図り、文化・価値観の相互理解、共有を深める取り組みなども行っています。
 立命館大学には、学生同士が支え合い学び合う「ピア・サポート」という伝統が根付いています。それを学生主体でより学部の学びに直結させ、正課の学習をより深めようとするのがACSの取り組みです。今後はさらに学びを面白くするため、卒業生や他大学との連携企画なども数多く予定されているといいます。「ESとも連携をとりつつ、入学時の高いモチベーションを維持してもらえるような企画を立て、学部全体で学びの質を高めるサポートができればと思っています。1・2回生には、困ったことがあればACSと思ってもらえる存在になりたいですね」と代表の橋本寛大(3回生)さん。このようにACSは、学年の枠を超え、仲間と共に成長し続ける貴重な場となっています。


*1 ティーチング・アシスタント(Teaching Assistant)、エデュケーショナル・サポーター(Educational Supporter)の略。授業などで先生や学生のサポートをする院生(TA)および学部生(ES)のこと。先生と学生双方をサポートすることで、授業をスムーズに進め、より効果的な学習効果を生み出す役割を果たしている
*2 Community and Regional Policy Studiesの略。政策科学を英語で学ぶ専攻

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