寺島実郎・国際関係学部客員教授が登壇、加藤周一歿後10年記念講演会を開催

 10月6日、立命館土曜講座、加藤周一現代思想研究センター、立命館大学図書館が、加藤周一歿後10年記念講演会「加藤周一を引き継ぐために~戦後日本と加藤周一~」を開催しました。
 戦後日本を代表する国際的知識人である加藤周一氏は本学との縁が深く、1988年に国際関係学部が設置されたとき、客員教授に就きました。また、1992年の立命館大学国際平和ミュージアム開設の際には初代館長に就任。そして加藤氏が遺した蔵書、手稿ノート、資料類は本学に寄贈され、「加藤周一文庫」として図書館に収蔵、同文庫を基盤とした加藤周一現代思想研究センターが活動を行っています。
 記念講演会では、寺島実郎・国際関係学部客員教授(一般財団法人日本総合研究所会長、多摩大学学長)が「戦後日本と加藤周一」をテーマに登壇し、約400人の参加者が熱心に耳を傾けました。
 寺島氏は、必要なのは人間的感情と知であり、怒ることの大切さを加藤氏が述べていたことを紹介しました。また、感情は人間が人間であるための根幹の働きであると加藤氏が考えていたことに触れ、さらに一見ばらばらに見える事象をつなげて全体的に総合的に理解しようとする思考の方法が加藤氏の特徴であることを指摘しました。
 加藤氏は21世紀の人類の課題として「市場原理と政府による経済計画の公平な分配」と「民主的な価値の実現」を挙げていますが、今日の世界情勢の中で、われわれが世界をどのように理解し、どのように進むべきかを考えるときに、加藤氏の考えはきわめて示唆に富んでいると寺島氏は述べました。
 講演の後には、本学が加藤氏の御遺族より寄贈を受けた遺稿・ノート類などの資料を収めた加藤周一デジタルアーカイブの検索実演も行われました。

会場の様子
会場の様子
寺島実郎・国際関係学部客員教授
寺島実郎・国際関係学部客員教授
鷲巣力・加藤周一現代思想研究センター長
鷲巣力・加藤周一現代思想研究センター長

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