世界展開力強化事業 IITH産学国際協働PBL<第3回> 植月悠記さん(理工学部3回生)

理系の視点で交通問題に取り組む
インドの交通問題に取り組んだ
インドにおける課題の解決策の提案

 文部科学省の「平成26年度大学の世界展開力強化事業」で採択された理工系3学部が展開する「RiSE I≡J Project」について紹介するこのコーナー。第3回目の今回は、同プロジェクトの短期プログラムのひとつでインド工科大学ハイデラバード校(IITH)の学生と協同で行った「IITH産学国際協働PBL」に参加した植月悠記さん(理工学部電気電子工学科3回生)にお話をうかがいました。植月さんが初海外、初留学でつかんだ“きっかけ”とは。

将来をにらみ、参加を決断

プログラムとの出会いをきっかけに動き出した歯車
チーム一丸でテーマに取り組んだ
IITHにて(植月さん・右から2人目)

 プログラム参加の動機に、「将来につながるキャリア形成」と「英語でのコミュニケーション力の向上」をあげる。「研究室選びなど、進路に悩んでいたこと」も大きな要素のひとつだった。
 入学当初から留学なども頭にはあったが、学部の勉強や費用面などのことも含め、これまでは背中を押してくれるきっかけに恵まれなかった。プログラムのことを大学のホームページで知った際、インドに特別、興味や関心があったわけでもなく、初めての海外ということもあり不安も頭をよぎったが、「このタイミングを逃すまい」と、チャレンジを決意。定員の4倍を超える応募があるなか、熱意を持ってエントリーシートや面接に挑み、メンバー入りを果たした。
 留学が決まってからの行動は素早かった。これまでも必要だと頭では分かっていたものの、なかなか手が付けられずにいた英会話にも通うようになった。留学をきっかけに、植月さんのなかの大きな何かが動き始めた。

国・専門分野の異なる学生と課題に取り組む

たくさんの人々との出会いが成長のきっかけに
PBLに参加していない現地の学生とも積極的に交流を深めた
現地の学生と話す植月さん(中央)
インドからの手紙 交流は今でも続いている

 インドに降り立ち、植月さんらを出迎えたのが地鳴りのように響くクラクションの洗礼だった。自動車はもちろん、バイクや自転車の数は予想をはるかに超えていた。「ヘルメットもほとんどかぶっていない。レーンの逆走も当たり前な状況で、交通ルールもあってないようなものでした」と第一印象を口にする。インドの交通事故死亡者数が年間14万人を超え、不名誉な世界一なのにも納得がいった。
 植月さんらが取り組んだのはインドの交通問題。下調べなどを経て、センサーで車や人の流れを検知し、交通状況をリアルタイムで制御する独自のオートメーション技術を活用した『道路交通管制システム』を展開するオムロンを訪問。当初は、こうした最先端技術の導入を考えていた。
 しかし、実際にインドを訪問し、急速に近代化が進んだため電力事情も不安定で、信号機などもすぐに止まる状態を目の当たりにした。「モラルやルールの徹底もなされておらず、問題はインフラや技術面だけでなく、政治や教育など広範囲に及んでおり、メンテナンスのことなども含め、今のままで技術だけを取り入れても問題の解決にはならない」と、一筋縄ではいかない状況に頭を抱えた。
 植月さんらは、その後もインドの学生らと議論を重ね、最終的に「交通インフラの整備」→「罰則規定」→「交通ルールの教育」をパックにしたピラミッド型の提案にまとめあげた。
 理工系とはいえ、さまざまな分野の学生がひとつの課題に取り組む関係上、「意見をひとつにまとめるのはとても大変でした」と植月さん。文化・習慣の違いもさることながら、チーム全員が学部生で「院生のいるチームと比較して、経験が少ないぶん、どうしても文献の調査方法やプレゼンに向け模索する場面が多かった」と振り返る。しかし、そうした困難も「学部生の間に経験できるのは大きい」と前向きにとらえ、先生や他チームの院生のアドバイスなどをもらいつつ乗り越えていった。

 さらに学生生活を左右する出会いもあった。課題解決にあたり学内の先生にもヒアリングを重ねた。「その際、お世話になった先生の研究室に入ることになりました」。プログラムへの参加がきっかけとなり、やりたいこと、進路も見つかった。「国内のみならず世界の人々が幸せになれるようなものづくり、研究開発に関わっていければ」と今後の目標を口にする。そう思えるようになったのも今回のプログラムを通じた出会い、取り組みが大きなきっかけとなっている。
 また、世界にも目を向けるようになった。「英語を話せるようになるだけではなく、日本のことをしっかりと理解し、世界の多様性を認識する」というグローバルの本質を、インドの学生と学び合うことで実感することができた。視野も広がり、社交性、会話力も格段に向上。プログラムに参加した日印の20人の仲間とは今も太いパイプでつながっている。
 「思いもよらぬ出会いも含め、参加前に思い描いた以上の成果がありました。実習にもいろいろあると思いますが、実際に現地(海外)を訪れ、課題を解決するという取り組みは少なく、その意味で、今回の体験は大きかったと思います」
 キャリア、コミュニケーション力、人脈、視野の広がり、進路……留学を機に多くの“きっかけ”をつかんだ植月さん。今回のプログラムへの参加が、その後の人生を左右する大きなターニングポイントとなった。

「RiSE I≡J Project」のHP (URL: http://www.ritsumei.ac.jp/reinventindia/)
 第1回 http://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=144
 第2回 http://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=145

NEXT

2016.03.15 TOPICS

外国語学習をきっかけに、国を超えた新しい友情を育む

ページトップへ