幻の古代甘味料「あまづら」の味を再現した飴とシロップが完成

 『枕草子』『今昔物語集』にも登場した、幻の古代甘味料「甘葛(あまづら)」。この度、あまづらの復元プロジェクトを進める、立命館グローバル・イノベーション研究機構の神松幸弘助教は、再現実験、実験的考古学的な検証を経て、あまづらの味を再現し、そのシロップと飴を制作いたしました。これらは、講談社のクラウドファンディング「ブルーバックスアウトリーチ」の返礼品として制作されました。

 『枕草子』四十七段には、清少納言が「あてなるもの(上品で雅なもの)」として夏に氷室から出した氷にあまづらをかけた、かき氷についての逸話が記されています。貴族社会における優雅な生活文化を演出する上で、あまづらはとても重要な存在でした。しかし、貴族の凋落、砂糖の普及とともに中世中頃に消滅し、原料や製法も分からなくなっていました。

 こうした幻のあまづらを復元させるべく、神松助教らは古文書などを解読、近現代の先行研究を精査し、成分分析を行った上で有力な原料として「ツタ樹液」「アマヅル樹液」「アマヅル果実」の3つの候補を絞り込みました。そして、古代の調理法・道具に即した調理実験を積み重ねることで、あまづらの味を現代に蘇らせることに成功しました。

 そこで、あまづらを現代でも味わえるよう、大正10年創業の京都の老舗「大文字飴本舗」に協力いただき、あまづらの原料として有力視される「ツタ樹液」「アマヅル樹液」「アマヅル果実」の3種類をそれぞれ原料に加えた飴を制作しました。また、それぞれの原料を加えつつ、人工的に「あまづら」の味を再現したシロップも開発しました。
 このシロップを使った“かき氷”を味わって、優雅な貴族社会の生活文化に触れることができます。

 今後は、あまづらを現代食文化の中に復活させる取り組みを行いながら、中山間地域における産業振興への活用も目指してまいります。

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