2015年より様々なトピックでセミナー・シリーズを開催している立命館英国事務所は、2016年11月24日に政策科学部教授で国際平和ミュージアム館長のモンテ・カセム教授をお招きし、ロンドン大学SOASにて今年度2度目のセミナーを実施しました。

 『Inclusive Innovation - Designing propulsive projects for knowledge circulation between technology “Drivers” and “Test Beds” (インクルーシブ・イノベーション~テクノロジー「けん引役」と「テストベッド(試験運用の場)」間の知識循環を推進するプロジェクトづくり)』と題された発表は、2016年5月17日に茨城県つくば市で開かれたG7科学技術大臣会合にて、スリランカ総理大臣上席補佐官(科学技術および日本スリランカ総合協力担当)でもあるカセム教授が発表された「インクルーシブ・イノベーション」の概念に、サステイナビリティ学の側面が加えられたものです。

 発表では、人類が生態系や気候に大きな影響を与える新たな地質年代「人新世」に突入し、不安要因が社会や政治的環境にも影響を与える今日において、サステイナビリティ学(地球環境の変容に配慮し、強靭性を高める学問)とインクルージョン(包括的に受入れる取り組み)の両概念を結びつけることの重要性と、科学技術イノベーションの推進地域(Technology Driver)とイノベーションを受け入れる後進地域 (Technology Test-Bed) 間の知識循環による格差是正や、新たな発展と富の創出パラダイムについて語られました。これらのコンセプトに基づいた3つのプロジェクト(① 精密農業による気候変動の対応策、② 心身医学・ニューロサイエンス分野で脳卒中・脳梗塞患者における神経細胞の復元、③ 生物多様性の目録作りを通じた市民科学者養成の仕組みづくり)の例が紹介され、それらの取り組みの意義と成果は大変興味深いものでした。質疑応答では、「イギリスはこのような取り組みに今後どう関わっていくべきか?」、「クリエイティブ産業も巻き込めるのでは?」などの質問が寄せられ、活発な意見交換はセミナー後に行われたネットワーキング・レセプションでも続きました。

活発な質疑応答
活発な質疑応答
プロジェクトコンセプトを示す図
プロジェクトコンセプトを示す図

 立命館英国事務所では、今後も定期的なセミナー開催を予定しています。次回は2月24日(金)、股のぞきの解明でイグ・ノーベル賞を受賞した文学部の東山篤規教授をお招きします。

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