生命科学研究科院生が葉緑素(クロロフィル)が天然においてできあがる様子を解明

 生命科学研究科の廣瀬光了さん(博士前期課程 2 回生・2021 年度日本学術振興会特別研究員に内定)は、同研究科の民秋均教授の指導のもと、久留米大学医学部の原田二朗講師の協力を受けて、光合成を行う色素である葉緑素(クロロフィル)が天然においてできあがる様子を解明することに成功しました。本研究成果は、2020 年 12 月 2 日(水)に米国化学会発行の生化学の専門誌「Biochemistry」に掲載されました。

 光合成は、太陽光を効率よく利用して高いエネルギー持った別の物質へ変換する反応であり、自然界では当たり前のように行われています。しかしながら、その変換のメカニズムについては、未解明な部分が多いとされています。今回の研究では、有機化学と生物学に関わるさまざまな技術・知識を複合化させることで、「クロロフィルモデル化合物」を作製。それを天然における触媒(酵素)に認識・反応させることで、反応途中に生じた分子(中間体)を確認し、その反応経路を明らかにしました。これにより、光合成の初期段階において、太陽光を効率よく集める際に大きな力を発揮するクロロフィル分子が、天然でどのように作られているのかという生合成過程の一部を解明することに成功しました。

 本研究は、自然界で行われている光合成のメカニズム完全解明への大きな前進であり、「太陽光を利用しやすいエネルギーに変換し貯蔵する」という人工光合成システム作製への展開も期待されます。

 

論文情報
  • 発表雑誌:Biochemistry
  • 論文名: In Vitro Hydrolysis of Zinc Chlorophyllide a Homologues by a BciC Enzyme
    (BciC酵素による亜鉛クロロフィリドaの生体外での加水分解)
  • 著者:廣瀬 光了(立命館大学大学院生命科学研究科・博士前期課程2回生)
    原田 二朗(久留米大学医学部・講師)
    民秋 均(立命館大学大学院生命科学研究科・教授)
  • 掲載URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.biochem.0c00850

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