教員紹介
唐澤 靖彦教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- 軍事史
軍事史のなかでも、要塞築城が専門。特に、明治期に築造された、国土防禦のための洋式砲台・堡塁と附属建設物の研究です。様式美と機能美が一致したこの軍事建築群は、赤レンガや石等を主材料として不思議な美に溢れています。同じ時代、要塞は世界中で造られていました。アメリカ、台湾、ヨーロッパ、オーストラリア等での現地調査による比較を通じて、グローバルに存在する要塞築城がどのようなローカル性を発揮したのか、そしてローカルな要塞築城技術を生んだグローバル的動態は何かを考えながら、紀淡海峡の島々、舞鶴、広島湾の島々、佐世保、台湾の基隆と澎湖諸島、三浦半島、下関と北九州、そして対馬の山の中で泥だらけになってます。
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國司 航佑准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- ヨーロッパ(特にイタリア)の文学と哲学
私はこれまで、近現代のイタリアの文学と哲学、とりわけ十九世紀の詩人ジャコモ・レオパルディと、二十世紀の哲学者ベネデット・クローチェの二名を主な研究対象としてきました。ですが、彼らの研究に飽き足らず、中世イタリアの詩人ダンテから、二十世紀ドイツの文献学者アウエルバッハまで、時代も国籍もさまざまな作家に手を出したこともありました。共通しているのは、ヨーロッパの言語を用いて執筆された作品を分析し、そこに作者の魂の記録を見出そうと試みたことでしょうか。言語も時代も何もかもが違う環境で生み出された作品を本当の意味で理解するのはまったくもって困難な作業ですが、それが少しでも達成されたと感じられる瞬間、何とも言えない感動を味わうことができます。
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小寺 未知留准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- 音楽学、サウンド・スタディーズ
楽曲を創作・演奏し、それを聴取するだけが音楽文化ではありません。多くの人が音楽について語り・考えることで、音楽文化はより豊かなものになってきました。私の研究では、アーティストや研究者が残した著述を検証し、彼ら/彼女らが考えていたことについて考察すると共に、音楽文化の拡がりを描き出すことを目的としています。特に、音楽理論と他の研究分野との関係やサウンド・アートと呼ばれる音楽と美術のはざまにあるジャンル、言い換えると、二つの分野が出会う境界領域に着目して研究を進めています。そのような領域は、しばしば異なる考え方がときに共鳴し、ときに反発し合いながら、新たな考え方が創り出されていく現場でもあります。他にも、音楽関連資料のアーカイヴ構築やデジタル音楽学に関心を持っています。
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国際文化学域
ラテンアメリカの近現代の思想形成と文化変容
- キーワード :
- ラテンアメリカ、ポスト植民地主義、先住民族、社会思想
崎山 政毅教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- ラテンアメリカ思想史、地域研究
僕の研究は「ラテンアメリカ思想史」を取り扱っています。ときにはチェ・ゲバラのような革命家、ときにはカルロス・フエンテス(メキシコ)やホルヘ・ルイス・ボルヘス(アルゼンチン)のような詩人・作家、ときにはふつうの人びとが生活のなかで感じ取る自由や平等、公正・不公正の感覚、そしてときには先住民族の宇宙観までの広い領域が研究対象です。ですから、理論や本から得られるものに研究は限定されません。人類学や農村社会学のフィールドワークのような調査からわかるものごとを、理論や歴史資料の分析と繋ぎ合わせて受け止め、考察し、できるならば現地に投げ返す。これが僕の研究のもっとも大切な、そしてもっとも面白いところです。
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南太平洋の島々と海の世界を、日本とつなげて考察する比較文学・比較文化研究をしています。比較文学者イ・オリョンの著書『縮み志向の日本人』によると、多くの日本論が「日本にあって西洋世界にないもの=日本独特のもの」と考えています。同じく比較文学者のエドワード・サイードは『オリエンタリズム』で、西洋世界は東洋を「自分で自分を語ることができないよそ者」とみて代弁してきたと述べています。「私たち」「よそ者」のイメージを作る競合は、西洋諸国が世界中を植民地化したことで世界共通のものになり、意外なところでつながっています。その見えない「つながり」を見つけ、意味を考えるのが面白いところです。
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千川 哲生准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- フランス文学、フランス演劇
私の研究対象は、コルネイユ、ラシーヌ、モリエールに代表されるフランス17世紀演劇です。この演劇はルネサンス期に復興したギリシア・ローマの古典に範を仰ぎ、イタリアやスペインの文学を模倣しながら成立しました。この成立過程を調べると、当時の演劇がさまざまな文化や芸術の交点であったという事実が浮かび上がります。分かったつもりだった対象が、研究が進むにつれて、思いがけない姿を現す。そのささやかな発見もさることながら、数百年も前の異国の演劇の実態を曲がりなりにも再構成できるということの不思議な魅力に、今も引きつけられています。
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もともとは南インドやパキスタン西部でヒンドゥー教の巡礼を研究していました。ところが、辺境の聖地にもかかわらず、国外から来た巡礼者に遭遇することが多く、そこからインド洋全域におけるインド系移民の移動=ディアスポラを研究することになりました。おかげで、パキスタン沖合にある孤島の聖地の調査中に、古代からあるダウ船の漁船をチャーターしたところ、エンジン不調で半日ほど漂流し、漁師から「心配するな、たぶんオマーン(アラビア半島)には着くから」と慰められ、インド洋交易の現実を痛感する羽目に。こうして、現在ではインド洋東部域にあるアンダマン諸島の植民地化とその表象をめぐる人類学的研究をおこなっています。
COLUMN
文化人類学は、“石蹴り遊び”。 思いがけない発見が待っている。
文化芸術専攻
中村 忠男
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現代社会を形成する「近代化」は、寛容や平等の精神をとなえた17・18世紀ヨーロッパの啓蒙主義に始まります。しかし、世界の紛争や虐殺は今なおやむことを知りません。とりわけ20世紀ヨーロッパでは、ナショナリズムの台頭に伴い、反ユダヤ主義が強まり、ナチズムのホロコーストにまでいたりました。なぜ啓蒙の精神から、このようなことが起こったのでしょうか。現在の私の研究は、ドイツの近代化過程において失われたものと獲得されたものの社会的・思想的要因を言語芸術と哲学から解明することです。
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社会問題