教員紹介
同時代中国の文学思潮の研究が専門です。中国は今、ものすごい勢いで発展していますが、1970年代後半までは「文化大革命」(略して文革)と呼ばれる混乱状況にありました。文革期までは、単純化すれば文化的「鎖国」状態に近く、一般の人々は日本や欧米の文学を読むこともできないほどだったのです。その中国が、文革後、一挙に「開国」を果たして急激な変貌を遂げていく、その過程(もちろん一本道ではなく紆余曲折がありました)で生じた様々な文学現象が研究対象です。この間は、欧米文学理論・現代思想の受容動向をテーマにしていたのですが、今後はもう少し遡って、文革に到る時期の文学状況も探ってみたいと考えています。
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日本の近代は、台湾・朝鮮等の植民地を抱え込んだ帝国として存在しました。それは〈政治的空間〉であっただけでなく、そこで生きた人びとの〈生活の空間〉でもありました。さまざまな笑い、泣き、喜び、哀しみを抱えながら生を営み、そして死を迎えた空間でした。私の研究は、そこで繰り広げられた人びとの生と死、とくに貧困・抑圧・病いに喘ぎ、斃れた人びとにどのような医療や救済が行われたのかを歴史的に明らかにしていくことです。それは過去のことではなく、現代社会が抱える困難にも通底しています。それらに対処し、未来を構想していく糸口をともに考えてみませんか?
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韓国・朝鮮の宗教について研究しています。朝鮮時代末期から日本の植民地時代にかけて、東学(天道教)・甑山教・檀君教(大倧教)・円仏教など数多くの新宗教が登場しました。これら朝鮮自生の新宗教とナショナリズムの関係について分析するのが研究テーマです。最近は関心の幅を広げて、韓国における最新の宗教事情についても研究しています。制度化されない個人主義的な「スピリチュアリティ」の観点から、現代韓国におけるキリスト教の超教派的な聖霊運動(ペンテコステ・カリスマ運動)や、大衆消費文化として現れている新種のセラピー団体(丹田呼吸による身心修練団体など)について研究しています。
COLUMN
日常に深く根をおろす信仰心。 宗教が分かると、アジアが見える。
現代東アジア言語・文化専攻
佐々 充昭
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最初は挨拶一つままならない学習者が、学んだ言語でお礼を言ったり、相手の気持ちを察して声をかけたりと、人とつながるのを見るのは本当に嬉しい瞬間です。でも、その過程では、「どうしたら、この発音できるんだろう?」「どうして、意図が通じないんだろう?」「どうしたら、中級の壁を越えられるんだろう?」「どうして、この語を使いたがらないんだろう?」など、学習者としても教員としても多くの疑問がわいてきます。その答えを見つけるため、学習者言語の特徴を分析したり、「中級」と「上級」との見分け方を探求したり、特定の属性を持つ人(時にマイノリティ)が不安を感じないような学習のありかたを模索したりしています。
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20世紀の中国において庶民に寄り添った文化のひとつに伝統劇があります。「伝統」というと古めかしいイメージですが、実は当時最新のメディアである映画や近代劇の影響も受けたポップカルチャーとしての側面も強いのです。このような伝統劇から近代とは何かについて考えています。また性的少数者を描いた戦後台湾文学も研究しています。日本の植民地であった台湾ですが、戦後も厳しい政治的抑圧のなかに置かれていました。社会の周縁におかれた性的少数者が文学のなかでどのように表現されてきたのかを考えています。大きな歴史からこぼれ落ちる庶民の文化や周縁の人々に注目することで広がる世界の景色は、想像以上に美しく豊かなのです。
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近代以降の中国は、革命・戦争・社会主義を経験してきましたが、その時々の指導者は、いかに「国民」を創生し、国家を建設するかを考えてきました。そして、それは確かに中国社会を大きく変化させてきました。しかし、基層社会に生きる農民などの「ふつうの人々」の生活規範や行動様式はそう簡単に変わるものなのだろうか、そんな疑問を明らかにすることが私の関心です。具体的には中国南方の華南地域を考察対象に、当時の新聞や雑誌・民間文書などを利用し、近現代の中国を生きた「ふつうの人々」が、政府の政策をどのように受け入れ、あるいは反発したのかについて考えています。
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国際文化学域
ヴィクトリア朝から現代社会の抱える問題を考える。
- キーワード :
- チャールズ・ディケンズ、イングリッシュネス、サヴォイ・オペラ
金山 亮太教授
- 所属専攻:
- 英米文学専攻
- 専門分野:
- 19世紀イギリス小説、軽歌劇を含む大衆演劇
英国史上、女王の治世の時期(エリザベス朝、ヴィクトリア朝、現代)には国が栄えると言われますが、輝きの裏には必ず影が存在します。科学技術の暴走や民族間の対立、帝国主義の負の遺産など、現代に生きる私たちが直面している諸問題の多くはヴィクトリア朝にその端緒があります。これらを時間と空間を超えた普遍的な課題として捉えるのが、私の目下の課題です。ディケンズなどの文豪への興味から始まった私の研究歴ですが、最近は19世紀末にイギリスで一世を風靡した「サヴォイ・オペラ」という、大衆向け軽歌劇の中に現れる民族意識の変遷を切り口に研究を進めています。
COLUMN
小説は表の顔、娯楽作品は裏の顔。 読み解く中で見えてくるイギリスの素顔。
英米文学専攻
金山 亮太
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竹村 はるみ教授
- 所属専攻:
- 英米文学専攻
- 専門分野:
- イギリス文学、近代初期イギリス文化史
ロマンスと聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。現代ではどこか陳腐な印象を与える言葉ですが、恋と冒険を基本要素とするロマンスのルーツは西洋文学の一大ジャンルを成した騎士道ロマンスにあり、その大衆化路線の萌芽はルネサンス期のイギリスに見出すことができます。カリスマ的な人気を誇った女王エリザベス一世が君臨したこの時期は、印刷出版と商業劇場という二つの新手メディアを得ることで、文学が大きな変革を遂げた時代です。シェイクスピアをはじめとする優れた作家が多数輩出し、近代型のロマンスが誕生しました。宮廷文化と大衆文化の創造的な関係を軸に量産された恋愛文学の全容を明らかにするのが、私の研究の狙いです。
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社会問題