教員紹介

東アジア研究学域

紆余曲折の過程を辿った同時代中国の文学思潮を探る
キーワード :
文化批評、文化大革命、現代性

宇野木 洋教授

所属専攻:
現代東アジア言語・文化専攻
専門分野:
中国現代文学、同時代中国の文化思潮研究
同時代中国の文学思潮の研究が専門です。中国は今、ものすごい勢いで発展していますが、1970年代後半までは「文化大革命」(略して文革)と呼ばれる混乱状況にありました。文革期までは、単純化すれば文化的「鎖国」状態に近く、一般の人々は日本や欧米の文学を読むこともできないほどだったのです。その中国が、文革後、一挙に「開国」を果たして急激な変貌を遂げていく、その過程(もちろん一本道ではなく紆余曲折がありました)で生じた様々な文学現象が研究対象です。この間は、欧米文学理論・現代思想の受容動向をテーマにしていたのですが、今後はもう少し遡って、文革に到る時期の文学状況も探ってみたいと考えています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

自己とは異なる「他者」を発見し、意識的に関わる中で「対話」を深めること――これこそが大学における学びの本質でしょう。鍵は「拒否」ではなく「対話」です。私の場合、「他者」は違和感ばかりの中国でした。でも「対話」を通じて等身大の中国を知ったり、中国が鏡となって日本の現実を考えさせられたりもしています。大学の学びは面白い!

もっと見る閉じる

東アジア研究学域

移動・病い・貧困から帝国日本をとらえかえす
キーワード :
帝国医学・医療、在朝日本人社会、ジェンダー

金津 日出美教授

所属専攻:
現代東アジア言語・文化専攻
専門分野:
日本近代史、東アジア文化交流史
日本の近代は、台湾・朝鮮等の植民地を抱え込んだ帝国として存在しました。それは〈政治的空間〉であっただけでなく、そこで生きた人びとの〈生活の空間〉でもありました。さまざまな笑い、泣き、喜び、哀しみを抱えながら生を営み、そして死を迎えた空間でした。私の研究は、そこで繰り広げられた人びとの生と死、とくに貧困・抑圧・病いに喘ぎ、斃れた人びとにどのような医療や救済が行われたのかを歴史的に明らかにしていくことです。それは過去のことではなく、現代社会が抱える困難にも通底しています。それらに対処し、未来を構想していく糸口をともに考えてみませんか?

MESSAGE

受験生へのメッセージ

渡韓の話が出てからわずか1ヵ月足らずで韓国へ。そして気がついたら十数年が・・・。いつ、どこに、どんなチャンスが転がっているかは誰にもわかりません。「前髪しかないチャンスの神様」を見逃さないよう、さまざまな場に積極的に参加し、また自分でもつくりだしていってください。東アジアはそんな出会いの宝庫です!

もっと見る閉じる

東アジア研究学域

現代韓国の文化を「宗教」の側面から分析
キーワード :
植民地朝鮮の新宗教、現代韓国宗教事情

佐々 充昭教授

所属専攻:
現代東アジア言語・文化専攻
専門分野:
宗教学、朝鮮近現代史
韓国・朝鮮の宗教について研究しています。朝鮮時代末期から日本の植民地時代にかけて、東学(天道教)・甑山教・檀君教(大倧教)・円仏教など数多くの新宗教が登場しました。これら朝鮮自生の新宗教とナショナリズムの関係について分析するのが研究テーマです。最近は関心の幅を広げて、韓国における最新の宗教事情についても研究しています。制度化されない個人主義的な「スピリチュアリティ」の観点から、現代韓国におけるキリスト教の超教派的な聖霊運動(ペンテコステ・カリスマ運動)や、大衆消費文化として現れている新種のセラピー団体(丹田呼吸による身心修練団体など)について研究しています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という一神教の対立が国際社会で大きな問題となっているように、宗教は今や異文化理解において欠かせない重要な要素です。日本では今、韓国ドラマやK―POPのコンテンツが巷に溢れていますが、韓国の人々が普段どんな宗教を信じているか知ることも、隣国を内在的に理解する重要な手段となります。

COLUMN

日常に深く根をおろす信仰心。 宗教が分かると、アジアが見える。

現代東アジア言語・文化専攻

佐々 充昭

もっと見る閉じる

東アジア研究学域

自分らしく、安心して、言語を学べる基盤づくり
キーワード :
学習者言語、言語能力の評価、ジェンダー

三木 貴司准教授

所属専攻:
現代東アジア言語・文化専攻
専門分野:
韓国語教育、日本語教育
最初は挨拶一つままならない学習者が、学んだ言語でお礼を言ったり、相手の気持ちを察して声をかけたりと、人とつながるのを見るのは本当に嬉しい瞬間です。でも、その過程では、「どうしたら、この発音できるんだろう?」「どうして、意図が通じないんだろう?」「どうしたら、中級の壁を越えられるんだろう?」「どうして、この語を使いたがらないんだろう?」など、学習者としても教員としても多くの疑問がわいてきます。その答えを見つけるため、学習者言語の特徴を分析したり、「中級」と「上級」との見分け方を探求したり、特定の属性を持つ人(時にマイノリティ)が不安を感じないような学習のありかたを模索したりしています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

他者の言語や文化を知れば知るほど、実は自分のことについてあまり知らなかったことに気づき、自分のアイデンティティと対話する機会が増えます。一見似た面の多い「東アジア」には、そんなわくわくする機会がごろごろ転がっていると思います。ぜひ、貴重な学生時代に「東アジア」に触れて、自分らしい生き方を探るきっかけにしてみてください。

もっと見る閉じる

東アジア研究学域

中国演劇から見る伝統と近代、台湾文学とLGBT
キーワード :
伝統劇(戯曲)の近代化、同志(LGBT)文学

三須 祐介教授

所属専攻:
現代東アジア言語・文化専攻
専門分野:
近現代中国演劇、台湾文学
20世紀の中国において庶民に寄り添った文化のひとつに伝統劇があります。「伝統」というと古めかしいイメージですが、実は当時最新のメディアである映画や近代劇の影響も受けたポップカルチャーとしての側面も強いのです。このような伝統劇から近代とは何かについて考えています。また性的少数者を描いた戦後台湾文学も研究しています。日本の植民地であった台湾ですが、戦後も厳しい政治的抑圧のなかに置かれていました。社会の周縁におかれた性的少数者が文学のなかでどのように表現されてきたのかを考えています。大きな歴史からこぼれ落ちる庶民の文化や周縁の人々に注目することで広がる世界の景色は、想像以上に美しく豊かなのです。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

近いようで遠い中国や台湾のことを学ぶことは、その歴史に放り込まれた日本を知ることにもなります。百聞は一見に如かず!大学での学びはキャンパス内にとどまりません。ぜひ現地へも足を運び、自分の目や耳で確かめてみてください。新たな発見が待っているはずです。

もっと見る閉じる

東アジア研究学域

中国南方に住む人々の行動様式に関する歴史学的考察
キーワード :
中国農村社会、血縁と地縁、伝統と近代、広東・香港

宮内 肇准教授

所属専攻:
現代東アジア言語・文化専攻
専門分野:
中国近現代史、中国社会史
近代以降の中国は、革命・戦争・社会主義を経験してきましたが、その時々の指導者は、いかに「国民」を創生し、国家を建設するかを考えてきました。そして、それは確かに中国社会を大きく変化させてきました。しかし、基層社会に生きる農民などの「ふつうの人々」の生活規範や行動様式はそう簡単に変わるものなのだろうか、そんな疑問を明らかにすることが私の関心です。具体的には中国南方の華南地域を考察対象に、当時の新聞や雑誌・民間文書などを利用し、近現代の中国を生きた「ふつうの人々」が、政府の政策をどのように受け入れ、あるいは反発したのかについて考えています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

アジアの言語や文化あるいは歴史について、大学で学べることは少なくありません。しかし、日本を飛び出せば、それは無限に広がります。全身でアジアを体感してほしいと思います。

もっと見る閉じる

国際文化学域

ヴィクトリア朝から現代社会の抱える問題を考える。
キーワード :
チャールズ・ディケンズ、イングリッシュネス、サヴォイ・オペラ

金山 亮太教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
19世紀イギリス小説、軽歌劇を含む大衆演劇
英国史上、女王の治世の時期(エリザベス朝、ヴィクトリア朝、現代)には国が栄えると言われますが、輝きの裏には必ず影が存在します。科学技術の暴走や民族間の対立、帝国主義の負の遺産など、現代に生きる私たちが直面している諸問題の多くはヴィクトリア朝にその端緒があります。これらを時間と空間を超えた普遍的な課題として捉えるのが、私の目下の課題です。ディケンズなどの文豪への興味から始まった私の研究歴ですが、最近は19世紀末にイギリスで一世を風靡した「サヴォイ・オペラ」という、大衆向け軽歌劇の中に現れる民族意識の変遷を切り口に研究を進めています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

シャーロック・ホームズや切り裂きジャックなどでお馴染みのヴィクトリア朝英国を舞台にした文学作品を研究しています。数々の作家を輩出したことから「小説の世紀」と言われる時代ですが、そのような「表の顔」だけでなく、当時の人々の価値観や欲望がよりむき出しの形で表れている大衆娯楽やメロドラマなどの「裏の顔」にも関心があります。

COLUMN

小説は表の顔、娯楽作品は裏の顔。 読み解く中で見えてくるイギリスの素顔。

英米文学専攻

金山 亮太

もっと見る閉じる

国際文化学域

ロマンスのルーツをたどる
キーワード :
シェイクスピア、エリザベス朝、ロマンス

竹村 はるみ教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
イギリス文学、近代初期イギリス文化史
ロマンスと聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。現代ではどこか陳腐な印象を与える言葉ですが、恋と冒険を基本要素とするロマンスのルーツは西洋文学の一大ジャンルを成した騎士道ロマンスにあり、その大衆化路線の萌芽はルネサンス期のイギリスに見出すことができます。カリスマ的な人気を誇った女王エリザベス一世が君臨したこの時期は、印刷出版と商業劇場という二つの新手メディアを得ることで、文学が大きな変革を遂げた時代です。シェイクスピアをはじめとする優れた作家が多数輩出し、近代型のロマンスが誕生しました。宮廷文化と大衆文化の創造的な関係を軸に量産された恋愛文学の全容を明らかにするのが、私の研究の狙いです。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

映画など様々なアダプテーション作品を生み出してきた英米文学は、汲めども尽きぬ魅力の宝庫です。英語を学ぶことから、英語で学ぶことに発想を転換する時に、文学は可能性と刺激に満ちています。とはいえ、文学作品を楽しむには、それなりの方法があります。どこが面白いのか、どう読めば面白いのか―それを考えるのが文学批評です。

もっと見る閉じる