教員紹介
中学生の頃、クラスの中で『三国志』が大流行。そんな小さなきっかけから、僕は次第に中国の古典に興味を抱き始め、大学に入ったら本格的に中国の古典を学んでみたいと思うようになりました。当初は春秋戦国時代や三国時代に興味がありましたが、大学入学の前年、清代にイギリスに割譲された香港が中国に返還されるというニュースが大々的に報じられ、それ以来、清代という時代に興味を持つようになりました。現在は清朝の成立前後から全盛期にかけての学術・思想について研究をしています。研究対象によっては、国内外で数点もしくは一点しか存在しない資料もあり、各地の図書館を訪ねるのは宝探しをしているようでワクワク感が止まりません。
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萩原 正樹教授
- 所属専攻:
- 中国文学・思想専攻
- 専門分野:
- 中国古典文学、日本漢詩
中国の唐から宋の時代にかけて流行した詞という文学について研究しています。詞は言べんに「司」と書き、言べんに寺の詩ではありません。カラオケの画面などによく「作詞:誰々」とありますが、これは言べんに寺の「作詩」とは書きません。つまり詞は歌詞を指しており、唐宋時代の詞も音楽に合わせて歌われていた歌謡でした。歌謡ですから形式も多様で、また内容もラブソングや感傷的なものなどがあって、詩とは違うさまざまな特徴を持っています。漢詩というと堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、詞はそのようなイメージを180度ひっくり返すような、柔らかくて魅力あふれる文学です。ぜひ皆さんもこの詞の世界を味わってみて下さい。
COLUMN
唐宋時代のポップス「詞」から当時の人の思いを知る
中国文学・思想専攻
萩原 正樹
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唐代の詩を研究しています。李白、杜甫、王昌齢、孟浩然、儲光羲などの盛唐詩人や中唐詩人の韋応物と白居易の伝記と文学について考察しています。李白と杜甫については、彼らの作品集を主に研究しています。他の詩人については伝記研究を通し、それぞれの文学的特色を探求しています。また文学研究的視野を備えた漢籍研究も行っています。古籍を骨董趣味的に扱うのではなく、書籍の編著、伝来に古人はいかなる思いを抱いたのか、という考察を加えた文献学を目指しています。特に最近は中国や日本で古く出版された漢籍だけでなく、朝鮮半島の漢籍も視野に入れ、日中韓の漢籍研究を進めています。
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井上 充幸教授
- 所属専攻:
- 東洋史学専攻
- 専門分野:
- 中国近世の文化史・社会史・環境史に関する研究
中国近世、それも明清時代といっても、皆さんにはあまりピンとこないと思います。ですが『西遊記』や『三国志』などの物語をはじめ、私たちが「いかにも中国らしい」と感じる伝統文化や、中国人特有の思考方法・行動様式が生み出されたのは、まさにこの時代だったのです。私は、明清時代に生きた文人たちの日常生活や、彼らを取り巻く社会の様子、さらには当時の文化のさまざまなありようを具体的に明らかにし、それを通じて中国近世という時代そのものの面白さを伝えていきたいと思っています。
COLUMN
400年前の「明末清初」の時代にタイムスリップ。 庶民の日常から現代中国のルーツを探る。
東洋史学専攻
井上 充幸
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私は木簡などを使って中国秦漢時代の法律や制度の研究をしています。秦王朝は苛酷な法律で民衆を支配したと言われますが、木簡に見える法律の多くは役人の職務規定です。例えば、《罰金に処せられた者が貧乏で銭で払えない場合は労働させ、一日八銭を罰金分として受け取る。一日八銭以上を受け取ったり、銭で払えるのに払わせないで労働させた場合は、その役人を罷免する》といった細かな規定が目白押しです。法律でがんじがらめにされていたのは民衆ではなくむしろ役人だったのです。このことから、秦帝国がわずか15年で滅びたのは、法律が細かすぎて役人がそれを守らなくなったためだと最近思うようになりました。じゃあ、この国も危ない?
COLUMN
2200年前の木簡から見える、古代中国人と現代人の共通点
東洋史学専攻
鷹取 祐司
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三国時代から始まる戦乱の世は、軍事・政略に秀でたカリスマ的皇帝の登場とその退場により、国土は統合と分裂を繰り返し、短命な王朝の興亡が相次ぎました。6世紀以降、全土を統一した隋唐王朝も、その余韻が色濃く残り、隋の煬帝・唐の太宗・則天武后など、個性が強すぎる面々が権力闘争の限りを尽くしました。
しかし、唐王朝も半ばごろから、資質の優れた指導者に頼る政治から、制度を固めることによって、安定した国家を維持する方向へ変質していきます。
現在の私の研究は皇帝の御前会議を舞台に、そこで演じられた皇帝・宰相・官僚・宦官達による生々しいやりとりを解明することにあります。
しかし、唐王朝も半ばごろから、資質の優れた指導者に頼る政治から、制度を固めることによって、安定した国家を維持する方向へ変質していきます。
現在の私の研究は皇帝の御前会議を舞台に、そこで演じられた皇帝・宰相・官僚・宦官達による生々しいやりとりを解明することにあります。
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「人が人を支配する」という暴力が最も鮮明に「制度」として表れるのが、近代の植民地支配です。明治維新のあと、日本が近代国家として国際社会に出た陰には、朝鮮や台湾などの植民地支配がありました。しかし、何千万という人を植民地支配することは、それほど簡単なことではありません。どのような制度をつくり、どのような政策を実施したのか。その時、朝鮮の人々はどのように対応したのか。その結果、朝鮮社会はどのように変わっていったのか。当時の史料や証言を分析すると、思わぬ事実や構造が浮かび上がってきます。こうした客観的な分析を通じて、日本と韓国・朝鮮の間で未だに課題となっている植民地支配の問題解決を目指します。
COLUMN
K-POPや「三国志」から、言語、歴史や思想へ、東アジアについて学びが広く・深くなっていく
現代東アジア言語・文化専攻
庵逧 由香
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私の専門は中国の古典文学でしたが、今は中国・香港・台湾の映画を中心に据えています。20年ほど前まで中国の有名な映画監督の多くは、中国では収益があがらないため、海外で公開することを前提に作品を作っていました。海外で評判が良い歴史物(『始皇帝暗殺』『HERO』など)が多く作られたのです。しかし中国が世界第二位の経済大国に成長した現在、映画館のチケット代は日本とあまり変わらず、人口は日本の10倍。映画は中国国内だけで十分儲かる状況です。最近は芸術性の高い映画は敬遠され、中国人に人気のコメディが増えました。中国では映画やテレビ番組も経済、外交、社会の影響を受けることが多いのが興味深いところです。
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社会問題