2019.12.27 TOPICS

「令和元年度京都景観賞 京町家部門」で長江家住宅プロジェクトが市長賞を受賞

 このたび、立命館大学と株式会社フージャースコーポレーションが京都市指定有形文化財(建造物)・長江家住宅の保全と活用に向けて連携・協力する「長江家住宅プロジェクト」が、「令和元年度京都景観賞 京町家部門」で市長賞を受賞しました。本学では、文学部・矢野桂司教授、映像学部・細井浩一教授が中心となり本プロジェクトに関わっています。
 京都景観賞は、京都の町並み、歴史・文化の象徴である京町家と、京町家が伝える生活文化の保全・継承の実践事例を表彰することを目的として、京都市が主催しています。本プロジェクトは先代からの想いを受け継ぎ、町家での暮らし文化を継承し、研究実践の場としまた表具替えや屏風祭りなどの年中行事を町家の中で行っている点で評価を受けました。
 本プロジェクトは、民間事業者と教育・研究機関である大学が連携し、京都の歴史・文化を象徴する大型京町家を保全・活用し、京都市および京都市景観・まちづくりセンターがサポートする取り組みです。本学では、アート・リサーチセンターが中心となり、継続的に京町家や船鉾、長江家住宅に関する調査研究を行っており、学生による長江家住宅運営や船鉾保存会の山鉾行事をサポートしています。
 本学は、今後も教育・研究機関として、京都固有の暮らしの文化、空間の文化及びまちづくりの文化の継承および発展による地域貢献を目指します。

細井教授コメント
 2015年に立命館大学と株式会社フージャースコーポレーションは、京都の歴史・文化を象徴する大規模京町家である「長江家」を保全・活用するという目的の連携協定を締結しました。町屋建築は長い歴史のある京都の生活文化を空間的に体現する場所です。この協定は、その場所を長期的に保全していくだけではなく、その文化自体を継承発展させていくための教育・研究の振興を目指す点に特徴があります。その後、2017年の主屋「北棟」復原修復工事にあわせて、明治から昭和期の町家の使い方や創建当時の姿を解明する記録調査を実施するなど、協定に基づく様々な取り組みが実施されています。今回の受賞は「京町家における生活文化を継承した住まい方を実践する」という点が評価対象になっており、これまでの取り組みが京都における産学官連携の先進モデルとして認められたことを皆様と共に喜びたいと思います。

矢野教授コメント
 京都市指定有形文化財である京都を代表する京町家の 1 つである長江家住宅では、2015年5月に長江治男氏の想いを継いで、株式会社フージャースホールディングスが建築物を、立命館大学アート・リサーチセンターが所蔵品をそれぞれ継承しました。
 その後、同センターが中心となって、フージャースホールディングス、京都市と協力し合い、産官学地域連携による京町家の継承モデルを構築してきました。
 同センターは、長江家の日用品や調度品、文書・写真類など様々な所蔵品のデジタルアーカイブを推進し、そのデータベースは文学部京都学専攻や大学院文化情報学専修などの教員・学生による季節のしつらい替えや屏風祭の企画・展示、建物の復原・修復の検討などに利用され、長江氏から受け継いだ京町家での暮らしの実践に役立てています。
 今回の京都景観賞 京町家部門 市長賞においては、残していくことが難しいとされる都心部の大規模京町家に対し、建物だけでなく、その暮らしの部分まで含めた形で継承を行う、産官学地域連携による実践の枠組みの先進的なモデルケースとして評価を受けました。
今後も長江家住宅での実践を継続・発展させ、京町家文化を広く発信させていきたいと思います。

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