北泰行教授がE.C.Taylorシニア国際賞を受賞

 総合科学技術研究機構北泰行教授(大阪大学名誉教授)は、このほどE.C.Taylorシニア国際賞(※)を受賞することになりました。日本人としては、1985年亀谷哲治東北大学名誉教授、2003年 福山 透東京大学名誉教授(現 名古屋大学特任教授)に続いて14年ぶり3人目の受賞となります。授賞式は2017年9月3日~8日にドイツ レーゲンスブルグで開催される第26回ISHC Congressで行われ、受賞講演の後に記念額を受け取ることになっています。

 北教授は、複素環を含有し複雑な構造を有するディスコハブディンCおよびA、フレデリカマイシンA、γ-ルブロマイシン等の生物活性天然物の最初の全合成を達成しました。
 炭素と炭素を結合させる根岸及び鈴木クロスカップリング反応はノーベル賞の受賞により一躍世に知られるようになりましたが、同反応には、反応させる化合物に金属やハロゲンをつけること、またレアメタル触媒が必要です。 北教授の研究成果ではヨウ素反応剤を用いることで、これらが不要となります。また、通常の炭素と炭素のクロスカップリング反応だけでなく、従来法では難しかった窒素、酸素、硫黄を含む複素環化合物のクロスカップリングも可能な画期的なクロスカップリング反応として世界の注目を集めています。さらに、レアメタルや重金属を用いないので安全と持続可能なグリーンケミストリーとしても高く評価されています。

<北教授のコメント>
 ISHC会長のOliver Reiser教授から受賞決定の知らせを頂いた時は大変驚き、これ迄長い間取り組んできた研究の業績が認められた事は、この上なく光栄なことと思っております。

(※)1968年8月、米国ニューメキシコ州において世界中の有機化学者が中心となり、Raymond N. Castle教授 によって国際複素環化学会議(International Society of Heterocyclic Chemistry, ISHC)が設立されました。1981年より、傑出した複素環化学者に対してISHCシニア国際賞が授与され、その後、2013年に米国のE.C.Taylor教授(1989年受賞者)の栄誉を称えるために新たにその名前を冠した賞となりました。本賞は、2年に1回開催されるCongressで1名選出されます。

北泰行教授
北泰行教授

北 泰行(きた やすゆき)
現 立命館大学総合科学研究機構・招聘研究教授、創薬科学研究センター長
日本学術会議連携会員

<略歴>
大阪大学助手、助教授、教授(1972年−2008年)を経て、立命館大学薬学部長、教授(2008年−2015年)を経て現職

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