12月20日(日)、大阪いばらきキャンパスで「ふくしまの今を語ろう」と題した復興支援イベントを開催しました。多くの人に福島の今を知り、感じ、考える1日を過ごしてもらおうと立命館災害復興支援室と福島県が共同で企画したもので、イベントには学生や地域住民、福島県に縁のある方など約180人が参加しました。福島県の魅力を紹介するパネル展示のほか、福島を題材とした映画「物置のピアノ」の上映会、福島の今を伝えるトークショー、福島での復興活動に参加した学生による活動報告などが行われ、参加者からは、「福島を身近に感じられた」「風評が減るように応援したい」「学生たちの活動に希望が見えた」「福島に行ってみたくなった」といったの感想が聞かれました。また、会場では、福島米「天のつぶ」や100%果汁の桃のジュース、楢葉町の郷土料理「マミーすいとん」などがふるまわれ、参加者に安心安全を訴えました。

 立命館は2013年12月に福島県と復興に向けた連携・協力のための協定を締結し、教職員による教育・研究を通じた支援活動に取り組んでいます。

福島県出身の映画プロデューサー・橘内裕人氏(右)と立命館災害復興支援室の山口洋典副室長(左)
福島県出身の映画プロデューサー・橘内裕人氏(右)と立命館災害復興支援室の山口洋典副室長(左)

 上映会には、プロデューサーの橘内裕人氏が参加。作品では、震災によって仮設住宅での生活を余儀なくされた家族や、放射能による風評被害によって桃が売れなくなった農家の実態についても触れており、上映後、橘内氏から撮影秘話のほか、「同じ福島に住む人の間でも、仮設に住む人とそうでない人の間に見えない温度差がある」と福島の現状が伝えられました。

安斎名誉教授(左)、野地氏(中央)、西崎さん(右)
安斎名誉教授(左)、野地氏(中央)、西崎さん(右)

 トークセッションでは、野地誠氏、西崎芽衣さん(産業社会学部4回生・休学中)、安斎育郎立命館大学名誉教授の福島にゆかりのある3氏が、それぞれの立場で福島の今を報告。
 福島県風評・風化対策監を勤める野地氏は、除染の進捗、観光キャンペーンなど福島の復興の状況について光と影の両面から丁寧に説明したうえで、「福島の今を多くの方に知っていただき、共感の輪が広がることを期待しています」と話しました。 福島県楢葉町にある一般社団法人ならはみらいで臨時職員として勤務している西崎さんは、楢葉町の今を紹介。自らの体験を踏まえ、「楢葉では『よそものだけどつながる』ということを大切にしてきました。今後も町民と町外の方をつなぐ役割を果たしていければ」と意気込みを話しました。
 放射能防護学の専門家でもある安斎名誉教授からは、「放射能の正しい知識を持たないため、間違った視点で福島は見られており、福島にも科学的な実態と心理的な負担で、苦しんでいる人が多い」と報告があり、「事態を侮ってはいけないが、理性的に怖がることが大切。偏見や差別で苦しむ人のために正確なことを伝えていく義務がある」と力強く話しました。

★現地での復興活動に参加した学生の声
ネパールからの留学生Nareshさん(国際関係学研究科)

「メディアが報道している福島と自分が実際見た福島はまったく異なっていた。福島の病院で出会った先生から聞いた『心理的な災害が一番問題である』というお話が印象に残っている。福島の海、料理、人すべてが素晴らしい。また来年旅行したいと思う」

毎月11日に、京都で東北の食材を用いた食堂を運営している団体『きっかけ食堂』のメンバー右近華子さん(産業社会学部3回生)
 
「食堂には、学生や一般の方など、東北とつながりたいと思う人々が毎月集まる。私たちは、生産者と京都の学生や人々をつなげたいという思いで活動している。これからもその役割を果たしたい」

立命館災害復興支援室が運営する「後方支援スタッフ派遣プロジェクト第32便」の活動で、2015年9月5日前後に、避難指示解除を迎えた楢葉町を訪れた森雄一朗さん(法学部2回生)

「町民の方々からのお話を聞くことを通じて、見えない葛藤を知ることができた。そのことを広く伝えるために、学園祭でマミーすいとんを販売した。今後ももっと楢葉と関わりたいと思う」

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