2019年4月に誕生するグローバル教養学部(GLA)について 金山教授とユード博士にお話をうかがいました(後半)

2018.10.29 TOPICS

「グローバル教養学部だからできる学び」RU・ANU両教員インタビュー(後半)

 後半では、グローバル教養学部(GLA)のパートナーであるオーストラリア国立大学(ANU)アジア太平洋学部、コーラル・ベル・スクール(Coral Bell School of Asia Pacific Affairs)についてジェレミー博士に紹介いただくとともに、「世界に通用する人材」とはどのような資質を身に付けるべきなのか、お二人にうかがいます。

GLAの学生は、立命館大学とオーストラリア国立大学(ANU)とのパートナーシップにより、ANUのコーラル・ベル・スクールで学ぶことになります。ANUとコーラル・ベル・スクールについてお聞かせください。

ユード博士:2018年の世界大学ランキング政治・国際関係学部門にて、ANUはオーストラリアで1位、世界で8位にランクインしました。ANUは研究・教育の質で高い評価を得ており、このランキングはそれを裏付けています。

金山教授:ANUのピーター・ドライスデール教授はAPEC(アジア太平洋経済協力)設立の立役者であり、関連するアジアの政府当局者らに助言を行いました。コーラル・ベル・スクールの名前の由来である故コーラル・ベル博士は著名な政治学者で、オーストラリア政府のアドバイザーとしても活躍されました。

ユード博士:コーラル・ベル博士は、オーストラリアで国際関係学が研究分野として確立されるのに貢献した人物です。国のトップレベルで政治に関わっていました。ANUと長く関わっておられたことから、数年前、博士の功績に敬意を表し、コーラル・ベル・スクールと名称変更させて頂いたのです。

ジェレミー・ユード博士
ジェレミー・ユード博士
Coral Bell School, Hedley Bull Building(ANU)
Coral Bell School, Hedley Bull Building(ANU)
コーラル・ベル・スクールにはどれくらいの学生が学んでいるのですか。

ユード博士:コーラル・ベル・スクールは、学生の関心を呼ぶ講座やプログラムを取りそろえたことから学部入学者が大幅に増加し、先学期の学部生は1,700名を超えました。修士号や博士号の取得を目指す大学院生も多数在籍しています。

ANUには世界中から多くの留学生が集まっていますね。

ユード博士:はい。キャンパスは非常に国際色豊かです。日本からやって来るGLAの学生は、ANUの多様性に寄与するとともに、その恩恵を受けることができます。新しい大学、新しい国に行くのは不安かもしれませんが、ANUは留学生サポートサービスが充実していますので安心してください。学生組織も数多く存在し、皆さんが自国・他国問わず文化を学ぶのに役立ちます。キャンパスライフを存分に楽しめますよ。



ANU キャンベラキャンパス
ANU キャンベラキャンパス
金山教授とユード博士
金山教授とユード博士
2021年には、ANUコーラル・ベル・スクールにGLAの第1期生がやって来ます。どんなことを期待しますか。

ユード博士:日本で体験したことを紹介し、教室での会話を盛り上げてくれることを期待します。コーラル・ベル・スクールの学部教育で特に強調しようと努めているのは、学生が受け身にならないことです。学生には、自ら積極的に学ぼうとする姿勢を求めます。日本で素晴らしい体験をしてきた学生の皆さんにもう一つ望むのは、他のクラスにも顔を出して、コーラル・ベル・スクールの他の学生たちにもこのデュアル・ディグリー・プログラムの話をしてほしいということです。このプログラムで何を経験したのか、今どんなことをしているのかについて、できるだけ多くの皆さんが語ってくれて、立命館大学での素晴らしい体験をANUのクラスに注入してくれることを願っています。

世界に通用する人材は企業でも社会でも引く手あまたです。学生の皆さんがそのような人材となるには、どのようなスキルや資質を身につければよいのでしょうか。

ユード博士:世界に通用するビジネスリーダーにとって大切なのは、自分自身や自分の仕事、1つの組織のことだけを考えるのではなく、物事をもっと戦略的にとらえられるようになることです。自分の下す決断が地域社会にどのような影響を及ぼし、どのような波紋を広げるのか、広い視野で予測できなければなりません。大学は学生に対し、道徳規範と自らの決断がその後もたらす影響について批判的に考える機会を学生に与えます。2~5手先まで考え、物事を単独ではなく体系的にとらえるように促します。未来のビジネスリーダーである学生がこのように大局的な視点を持ち、自分の受けた教育、体験、異文化適応力、所属組織の力をいかに駆使して社会の仕組みや世界のために行動できるか考える機会を、私たちはこのプログラムを通じて提供します。

金山教授:ANUと立命館大学での学業を終えた後は、社会の問題を認識・解決し、地域社会、自分の国、アジア太平洋地域、さらには世界全体のために活躍できる力を身につけているはずです。このプログラムの修了生が地域社会に尽くしてくれることを、私は何よりも願っています。そのような人物はきっと、企業の重役や営利・非営利団体の運営者の目に留まることでしょう。また、世界で活躍するには、どのような状況下でも問題に対処できる力が必要です。

ユード博士:自分が将来どのような状況に置かれるのかを前もって正確に知ることはできません。私たちは次世代のグローバル・ビジネスリーダーに、逆境から立ち直る力、課題への対応力、問題解決に利用できるリソース(資源)を見つける力、難局を乗り切る力を身につけさせます。想定外の事態にも即応できる人物に育てたいのです。

GLAに興味があり、このデュアル・ディグリー・プログラムでANUにも留学したいと考えている日本の高校生の皆さんに、メッセージをお願いします。

ユード博士:私たちは意欲的な学生を求めています。このプログラムは両大学にとってまったく新しい試みであり、従来の学位制度からさらに一歩踏み込んだものを望む学生の皆さんの期待に応えるものです。他では得られない特別なスキルや体験を大いに活用してください。

金山教授:決して後悔させないとお約束できます。このチャンスをぜひつかんでください。このプログラムをやり遂げるにはかなりの努力が必要ですが、その価値はあります。両大学から素晴らしいサポートを提供します。勉学に励み、充実の大学生活を送った結果として、きっと世界に通用する人材に成長していることでしょう。心配はいりません。皆さんのご入学をお待ちしています。

プロフィール

金山 勉(かなやま つとむ)
立命館大学グローバル教養学部設置委員会事務局長
立命館大学産業社会学部教授、グローバル教養学部学部長就任予定(2019年4月)
研究者データベース

ジェレミー・ユード(Dr Jeremy Youde)
オーストラリア国立大学アジア太平洋学コーラル・ベル・スクール副学部長(教育担当)、准教授
ANU Webサイト(英語)

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