2018.12.26 TOPICS

福島県内の視察や議論を通して復興に向けた新しいアイデアを創出 「福島イノベーション・コースト構想ワークショップ」を実施

 2018年8月19日~22日、立命館大学イノベーション・アーキテクト養成プログラムは京都女子大学と協働で、福島県浜通りにて福島災害復興支援を考える国内ワークショップ研修を実施しました。ワークショップ研修は、福島の「原発廃炉」をネガティブ発想から現地復興に向けたポジティブ発想に転換する機会として、「福島イノベーション・コースト構想」に着目。また現地のコミュニティ・ビジネスをはじめ、現地の復興支援に従事する関係者やスタートアップ企業と協力し、福島が抱える現状課題を学び、研修後も継続して復興支援に向けた新たなアイデア創出に向けて、2018年12月現在も活動を続けています。
 現地研修は、立命館大学経営学部の善本哲夫教授、立命館大学衣笠総合研究機構の開沼博准教授、京都女子大学現代社会学部の水野義之教授を講師・引率者とし、立命館大学の学生3名、京都女子大学の学生3名、京都大学の学生1名の合計10名で実施しました。

民間のローカルベースで復興活動・復興ビジネスの現状を探る

 南は広野町から北の南相馬市にかけて、福島県浜通りの全体像把握を実施することから研修をスタート。現地の様子を見学、また、コミュニティ・ビジネスのスタートアップ事業者、復興支援団体職員、ものづくり企業、宿泊業経営/管理者等との意見交換やディスカッションを行い、民間のローカルベースで復興活動・復興ビジネスの現状や課題の理解に努めました。また、本学卒業生で、楢葉町の一般社団法人ならはみらいに就職し、復興活動で活躍されている西崎芽衣さんを訪ね、楢葉町の過去と現在、復興事業の取り組みについてレクチャーを受け、意見交換をしました。

福島第1原発を見学

 今回の研修では、福島第1原発の見学を実施しました。東京電力旧エネルギー館で廃炉事業,汚染水対策の事前レクチャーを受け、原子力発電所構内に移動し,2号機,3号機の真横まで接近し、現在のありようを見学。構内では入退域管理棟の見学、食堂での昼食など、作業環境を含む俯瞰的な視点から廃炉・汚染水対策の現状理解に努めました。原子力発電所構外では、除染・中間貯蔵施設の見学、第1原発構内食堂に食事を調理、提供する給食センターの見学を実施しました。

「復興」とは何か

 研修中は、『「復興」とは何か』に関する各自の考え、想いを意見交換の場で出し合い、震災・原子力災害前の日常や街に「戻る(元に戻す)」ことを復興と考えるか、日常や街を「新しく刷新する」ことを復興と考えるかなど、各自の「復興」の捉え方が違っており、それぞれの論点を議論し、災害からの「復興」とは何か、特に「原子力災害」からの復興とは何を各自が改めて考える契機になりました。
 また、今回の研修では、コミュニティ・ビジネス、ものづくり現場など、民間のローカルベースで進む復興活動/ビジネス現場においては、必ずしも「福島イノベーション・コースト構想」の方向性や考え方が地域には浸透しておらず、廃炉現場とまちづくり・地域復興の現場が乖離しているのではないか、という点に研修に参加した学生らは問題意識を持ったようです。さらに、各町によって、復興の方向性が違っており、必ずしも市町村で協働する現状にはない中、なぜ、街単位、行政単位で方向性や復興の取り組みに温度差があるのか、といった意見も出てきました。
 今後は、2019年2月3日に、大阪いばらきキャンパス(OIC)において、ワークショップ研修報告会を実施し、学生達は多面的に福島復興支援を捉える視点を持ち、何が必要か、自分たちに何ができるかについて考える機会とします。

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