2020年4月立命館大学大学院薬学研究科薬科学専攻修士課程の開設が決定

 立命館大学は、薬学部創薬科学科に接続する大学院として、薬科学の専門知識および研究力を備え、研究機関、教育機関、産業界、衛生行政等に貢献できる人材育成を目的とした薬学研究科薬科学専攻修士課程の設置について文部科学省に設置認可申請を行い、このたび設置認可の内定をいただきました。同専攻は2020年4月、びわこ・くさつキャンパスに設置いたします。
 滋賀県で薬学部を擁する唯一の大学である本学は、医薬品の研究開発整備にともない予想される人材需要の増大に応えるべく、6年制学士課程である薬学科(2008年4月開設)に加えて、2015年4月に4年制学士課程である創薬科学科を設置しました。創薬科学科では、薬を中心に据えた人の健康に関わる自然科学を基盤とし、医薬品の創製と分析、環境因子と人体への影響、疾病と薬物治療など多方面にわたる学際的な薬学の専門知識と技術の習得を通じ、医薬品創製の分野で社会に貢献できる人材育成を進めています。

 薬学研究科薬科学専攻修士課程の設置により、恒常的に質の高い人材を育成し、現今の創薬人材への社会的要請に応えていきます。

研究科概要

 研究科名称 : 薬学研究科
 専攻名称  : 薬科学専攻修士課程
 開設時期  : 2020年4月
 場  所  : 立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
 入学定員  : 20名
 専任教員数 : 12名
 授 業 料   : 1,153,200円
※入学試験要項等については、2019年9月上旬頃に薬学部・薬学研究科ウェブサイト等にて公開予定です。

教育課程の編成の体系

薬学研究科薬科学専攻修士課程の教育課程は、大きく「専門科目」、「薬科学研究科目」、「自由科目」の3つの科目区分で構成する。

「専門科目」 下記「①5つの研究分野」の基盤となる基礎薬学領域の専門知識
・高い倫理観を持って医薬品等の研究開発や教育研究、衛生行政に貢献するために必要と考えられる専門知識を習得できる「コア」科目
・興味に応じて幅広く応用薬学領域の専門知識を習得できる「選択」科目
「薬科学研究科目」 ・研究活動における様々なコミュニケーション能力の育成や研究成果の情報発信に向けた討論や準備を指導教員とともに行う「演習」
・研究手法を学び、指導教員の指導のもと研究を計画し実施する「特別実験」
「自由科目」 修了要件に含めない科目

① 5つの研究分野
医薬品創製のプロセスは、創薬標的となる機能性分子としてのタンパク質や疾患遺伝子に由来する核酸など生体高分子の研究に始まり、薬の候補となる化合物の探索や有機合成、また細胞や動物を用いた薬物動態や安全性評価の研究など幅広い研究領域からなるため、必要とされる専門知識も多岐にわたる。上記プロセスを大きく5つの分野、「薬品分子創製化学」、「生体分子解析学」、「薬物動態解析学」、「生体機能薬学」、「薬物作用解析学」に分類し、専門分野に応じた基盤的な知識および先端的な研究技術が取得できる教育体制とした。
■各研究分野における主要研究対象
 「薬品分子創製化学分野」:有機化学、天然物化学、生薬学
 「生体分子解析学分野」:物理化学、分析化学、衛生化学
 「薬物動態解析学分野」:薬剤学、製剤学、安全性評価学
 「生体機能薬学分野」:生化学、衛生化学、分子・細胞生物学
 「薬物作用解析学分野」:薬理学、有効性評価学

また、学問の過度の専門化に陥ることなく幅広い視野から研究を推進し、分野横断型の知識の修得も可能にするため、有機化学、天然物化学、生薬学、物理化学、分析化学、生化学、薬理学、薬剤学、衛生化学を含めた基礎薬学領域に加え、医薬品の製剤化・有効性評価・安全性評価などを扱う応用薬学領域の科目も配置した。

本研究科薬科学専攻修士課程の学生は、入学時にいずれかの研究分野を選択のうえ、主担当教員による「特別実験」の他、必要に応じて関連分野の複数の教員による助言を受けながら、上記5つの研究分野を中心に履修・研究を進め、必要な専門知識を習得する。


② 情報発信力と倫理観
「特別実験」では主に実験技術の修得や新しい研究手法の追求に重点がおかれる。さらに、研究活動における様々なコミュニケーション能力の構築も重要課題となる。そこで、PBL(Problem-based Learning)形式の「演習」を指導教員の参加のもと小集団で実施する。自身の研究成果の報告や学会発表の準備、さらには発表とその際に行われる質疑応答を通じて、高度なプレゼンテーション能力の修得に努める。「専門英語」では、国際的に活躍するために必要な英語によるコミュニケーション能力をいっそう高める。また、各年次に配置する「演習」および「特別実験」を通して、研究の質の向上や研究不正に対する理解を日常的に深め、高い研究倫理観を身につける。


③ 国際感覚の育成
各専門分野で国際的に活躍するためには、英語でのコミュニケーション能力に加え、国外の様々な文化や価値観を理解し、国際的な観点から物事を考えることが必要となる。本研究科薬科学専攻修士課程の専門科目「コア」に、「公衆衛生・国際保健特論」および「研究開発・知的財産特論」を配置した。「公衆衛生・国際保健特論」では、行政や民間機関の研究者による我が国の環境、保健、公衆衛生の実情の説明のみならず、独立行政法人国際協力機構(JICA)等による開発途上国に対する国際保健支援の取り組みについて紹介する。また「研究開発・知的財産特論」では、様々な企業の研究者を招いて、企業が求める(海外でも活躍できる)人材像を中心テーマとした講演を通じて、卒業後の進路や自身のスキルアップの方向性を検討できるよう多角的な材料を提供する。これらの専門科目に加え、「専門英語」や「技術者実践英語」を通して、英語による研究発表スキルだけでなく実用的な英語コミュニケーション法を修得する。
また、研究の進展と必要性に応じて、短期間、海外の共同研究先大学や研究機関、協定大学等で研究を行いたい学生を支援することも想定している。

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