稲盛研究助成の対象者に本学より3名が選定

 2020年度の稲盛財団研究助成対象者に、理工学部の福山智子准教授、生命科学部の越山友美准教授及び竹中悠人助教が選定されました。
 公益財団法人稲盛財団では1985年から毎年研究助成を実施しています。この助成は、将来の人類社会に貢献する人材の育成を目的として、若い研究者にできるだけ束縛のない形で研究資金を提供することによって、独創的で将来性のある研究活動を自由に行ってもらうためのものです。審査は自然科学、人文・社会科学の広範な分野の中から、それぞれの権威である著名な方々により構成される研究助成選考委員会で行われます。
 2020年度は大学や研究機関などから538名の応募があり、自然科学系40名、人文・社会科学系10名が選ばれました。

助成対象者の研究概要とコメント

福山智子 准教授(理工学部)

■研究概要
「圧電効果を用いたコンクリート材料強度測定法の確立」
 鉄筋コンクリート(RC)は、建築・土木問わず構造材料として広く用いられているが、近年では経年劣化によるRC構造物の力学性能低下が問題となっている。RCはセメントだけでなく、砂・砂利、鉄筋といった異なる寸法の多様な材料が含まれているため、「各材料の劣化」を「構造物としての力学性能」に直接結びつけることが困難である。本研究では、圧電効果に着目し劣化に相関する材料剛性と圧電起電力との関係を実験的に把握することで構造物の寿命を推定する技術を開発する。

■コメント
 稲盛研究助成という伝統ある助成をいただき大変光栄に思っております。今回対象となりました研究は、インフラ構造物に不可欠な鉄筋コンクリートの劣化診断・長寿命化に資することを目的に計画しました。圧電効果は、材料に印加された機械的エネルギーを電気エネルギーへ変換する現象であることから、コンクリート自体をセンサとして扱うことができる可能性が考えられます。研究はその緒についたばかりではありますが、予備実験から興味深い結果も得られており、私自身今後の展開を楽しみにしています。


越山友美 准教授(生命科学部)

■研究概要
「細胞膜内部表面における金属微粒子合成法の確立と特性評価」
 様々な物性を示す金属微粒子のバイオテクノロジーへの応用は、人工酵素、イメージング、放出制御可能な薬物輸送体などのバイオ複合材料の開発に繋がるため、これまでに生体分子の内部空間を利用した金属微粒子の合成法が多数報告されています。本研究テーマでは、金属微粒子合成の新たな場として細胞膜空間を用いて、汎用性の高い金属微粒子直接合成法の確立と機能発現を目指します。

■コメント
 稲盛研究助成に採択していただき、大変光栄に思っております。今回提案した研究テーマは、2018年に立命館大学に准教授として着任し、研究室を運営していく中で発案に至った思い入れのあるテーマです。立命館大学生命科学部から面白くユニークな研究を発信していけるように、学生とともに研究に邁進していきます。


竹中悠人 助教(生命科学部)

■研究概要
「植物の発達を支えるバイオポリマー「ペクチン」の生合成機構の解明」
 ペクチンは植物の細胞壁を構成する主要な多糖です。その機能は植物の成長や果実形成、病原応答など多岐に渡ることが報告されています。しかし、ペクチンは構造がとても複雑なため、どの様に生合成されているのかは不明な点が多く残されています。本研究では生合成に関わる新たな遺伝子を見つけ、その機能を明らかにすることを目的としています。ペクチン生合成メカニズムが明らかになると、植物の成長促進技術の開発などの応用研究も期待されます。

■コメント
 この度は2020年度稲盛財団研究助成によるご支援を賜りまして、大変光栄に存じます。ペクチン生合成メカニズムの解明は難しい課題が未だに多く残されています。見方を変えれば宝の山とも言えますが、宝を得るのは容易ではありません。そんな挑戦的な研究を評価して頂けたことを心より嬉しく思います。本助成にふさわしい成果を出し、サイエンスの発展に少しでも貢献できる様に、最大限の努力をもって邁進していきたい所存です。

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