三品昌美教授が日本学士院賞を受賞
このたび、三品昌美 総合科学技術研究機構教授が第106回(平成28年)日本学士院賞を受賞することになりました。日本学士院賞は、学術上特に優れた研究業績に対して贈られるもので、日本の学術賞としては最も権威ある賞です。授賞式は平成28年6月に東京で行われる予定です。
今回の日本学士院賞の受賞題目は「シナプス分子と記憶・学習に関する研究」です。
高等動物の脳における主要な興奮性神経伝達物質受容体であるグルタミン酸受容体の分子実体を明らかにし、NMDA型グルタミン酸受容体が海馬のシナプス可塑性と文脈依存学習の閾値を決定し、記憶・学習の分子基盤となっていることを示しました。また、小脳のグルタミン酸受容体δ2がシナプス可塑性と運動学習を制御するとともにシナプス前部のニューレキシンと結合することによりシナプス形成を誘導することを明らかにしました。さらに、ヒト知的障害の原因となるIL1RAPL1がシナプス前部の受容体型チロシンフォスファターゼPTPδと結合することにより大脳皮質神経細胞の興奮性シナプス形成を誘導することを明らかにしました。中枢シナプスの可塑性や形成を制御する分子群が記憶・学習の基盤となっているとの知見は、脳の高次機能とその障害を分子レベルから理解する分野の開拓に貢献しました。
記憶・学習やその障害の分子基盤解明に大きな貢献をしてきた三品教授の業績は世界的に高く評価されており、「紫綬褒章」や「武田医学賞」など多くの権威ある賞が授与されています。
日本学士院
http://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2016/031401.html