理工学部・小西研究室(スポーツ健康科学部 橋本教授と連携)がクローズドループでフィードバック制御が可能な細胞/組織培養の自動化システムを開発

2021.02.16 NEWS

理工学部・小西研究室(スポーツ健康科学部 橋本教授と連携)がクローズドループでフィードバック制御が可能な細胞/組織培養の自動化システムを開発

 理工学部の小西聡教授、スポーツ健康科学部の橋本健志教授、理工学研究科の梶田浩記さん(修士課程2回生)等は、Organs-on-a-chipのフィードバック制御を目的とした、インキュベータ内の細胞/組織の培養、刺激負荷および観察が可能な自動化システムを開発しました。

 小西研究室では半導体プロセスを利用したマイクロ流体デバイスやマイクロセンサを組み合わせたシステムをつくり、その上で細胞を育てたバイオハイブリッドシステムの生物医学分野応用研究を20年以上続けています。小西研究室では細胞―ぐ(サイボーグ)の愛称で呼んでいますが、一般にはOrgans-on-a-chipとして国際的に研究が活発になっています。今回の報告内容は、インキュベータ内で自動制御するOrgans-on-a-chipのためのシステム開発の基礎研究成果です。

 本研究は、コンピュータを用いたOrgans-on-a-chipのフィードバック制御を試みた研究です。細胞/組織培養の自動化システムは、培養、刺激負荷、観察などのサブシステムで構成されており、これらは適宜組み合わせて使用することができます。画像処理や培地サンプリングなどによる観察結果から条件を設定すれば、培地交換や化学的・物理的刺激を自動化しフィードバック制御が可能となります。本論文では、具体的な応用例として骨格筋と脂肪細胞を用いて本システムの自動化とクローズドループによるフィードバック制御を紹介しています。骨格筋においては、電気的な刺激とそれに連動した細胞反応を画像と培地サンプリングにより状態データを取得しました。脂肪細胞においては、脂肪滴のサイズを画像処理することにより状態データを取得し、インスリンやアドレナリンを用いた生化学的刺激の負荷条件を設定し、脂肪滴サイズのフィードバック制御が可能であることを実証しました。本成果はOrgans-on-a-chipのフィードバック制御という課題に対し、コンピュータ制御可能な細胞/組織自動化システムの可能性を広げるものです。将来的に本システムは臓器/組織間の相互作用を含む恒常性を維持したMicrophysiological systems (MPS)を実現することを目指しています。

 本研究成果は、2021年2月4日に英国科学誌Scientific Reports(オンライン版)に掲載されました。

 

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