陸上競技は、走る(歩く)、跳ぶ、 投げるといった人間の本源的な動作の速さ、高さ、長さを競う競技であり、全国の至る所で記録が計測されています。しかし、その記録がすべて陸上競技の公認記録として認められるかといえば、答えは NO 。陸上競技の公認記録は、陸上競技の公認競技会でマークされた記録でなければなりません。そして公認記録と認められれば、それは日本のみならず、世界共通に通用する記録となります。
 立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)のクインススタジアムは、2017年、公認競技会を開くことが可能な「第4種公認の陸上競技場」となりました。これまで14回の公認記録会「Ritsumeikan Athletics Games(RAG)」を学生主体で運営し、滋賀県内はじめ近畿圏の陸上選手らが参加しています。
 今回、RAG責任者で立命館大学体育会男子陸上競技部所属の髙村悠希さん(スポーツ健康科学部3回生)にコロナ禍でも歩みを止めず、RAG開催に向けて取り組んできたことについてお話をうかがいました。

総勢60名の学生スタッフが運営に携わる

 公認記録会を行うには、広報、運営本部、記録の処理、計測、審判・補助員など多岐にわたるスタッフが必要です。RAGでは、そのすべてを立命館大学陸上競技部の学生が担い、総勢60名程度のスタッフが運営に携わっています。
 「2021年はRAGや関西私立四大学対校陸上競技大会など、合わせて4つの記録会をクインススタジアムで開催しました。コロナ禍での運営のために感染対策はもちろんのこと、開催規模や出場可能選手のエリア指定など、さまざまな課題を一つずつクリアしてきました。前回(11月)のRAGは400名を超える選手が記録会にエントリーしていただき、少しずつコロナ以前の規模に戻っています」(髙村さん、以下同じ)

 「特に広報については、これまでとは異なるアプローチを行いました。コロナ前は案内状を印刷し、封筒につめて、中学・高校へ100通ほど送る作業をしてたんですが、正直、作業効率があまり良くないと感じていて。コロナ禍で広報のやり方自体を見直し、RAG専用公式ツイッターを開設し、SNS上での広報活動に注力しました。RAG開催までの期間は、募集広報はもちろん、準備風景や各種アナウンスなどにも利用し、当日は競技の写真や運営側の様子を取り上げたりしましたね」

陸上競技をもっと身近に。地域貢献にもつなげたい

 クインススタジアムが第4種公認の陸上競技場を取得したのは2017年。滋賀県内で陸上競技の公認記録会を実施できるところは限られていました。RAGの開催は選手たちが公認記録を取得するだけではなく、陸上競技の普及や地域貢献などの側面も担っています。
 「RAGは開催当初から地域の発展や陸上の魅力をさまざまな方に伝えたいという目的をもって運営を行ってきたと聞いています。コロナ禍においては、全国各地の競技会自体が中止や延期になっていましたが、RAGを通じて少しでも多くの方が公認記録を取得できる環境を整えたいという思いで活動していました」

「また、公認記録会を学生だけで運営し、多くの方に陸上競技に触れていただく機会を作ることは、普段選手として活動している学生にとってもマネジメント能力や企画運営力など自然に身についていると思います」

競技者と運営者。両方経験するからこそ競技にも真摯に向き合える

 男子陸上競技部は現在約100名、女子陸上競技部も約60名が在籍するなど、大所帯となった立命館大学陸上競技部。学生チャンピオンや日の丸を背負う選手も在籍するクラブにとって、競技者と運営者を経験する意義や気づきについて髙村さんは次のように語ってくれた。
 「立命館大学陸上競技部は、一人ひとりの競技力を向上させ、全国で戦いたいという思いをもった集団です。ですが、学生アスリートとして競技だけが突出していても意味がない。RAGでは、競技者として出場している学生も裏方(スタッフ)として競技会を支える立場になります。競技会がたくさんのスタッフによって支えられて運営されていることを体感することは、日々の練習環境や出場する競技会に対する感謝の気持ちを持つことにつながり、結果、競技力向上にもつながると信じています」

トライ&エラーを繰り返し、RAGの認知も高めたい

髙村悠希さん(スポーツ健康科学部3回生)

 開催規模や対策を工夫しながら、コロナ禍でもRAGの開催を止めずに活動してきた陸上競技部ですが、運営については毎回改善点も多く、試行錯誤が続いているといいます。最後に今後のRAGの方向性についてうかがいました。
 「コロナ禍で大勢が集まっての全体ミーティングができないということで、現在は担当グループ内でRAG開催後に振り返りミーティングを行ってもらい、全体へとシェアしています。学生から出た意見は、監督やコーチにも報告し、次の機会へつなげています」

 「今後は、規模拡大はもちろんのこと、長距離記録会、投てき跳躍記録会など各専門競技に特化した公認記録会も開催したいですね。そのほか、小学生を対象とした50mチャレンジなど、他の競技会で行われている面白い事例なども取り入れながらどんどんRAGを盛り上げていきたいです」

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