2022.03.11 TOPICS

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)を体験しよう!」体験会を開催

 児玉耕太(テクノロジー・マネジメント研究科 准教授)をはじめとし、東京工業大学、国立東京工業高等専門学校、マージシステム株式会社、京都大学、NECを含む企業や学校法人がヘルスケア分野における最先端の技術や研究内容について学ぶ機会として、3月10日・11日、デジタル・トランスフォーメーション(DX)体験会を開催しました。

 オンライン開催となった1日目は、医療、エンターテイメント、建設、保険、情報技術など幅広い産業領域の中から相互に技術と研究を組み合わせることで今までにない革新的なアイデアをもとにした実践的な事業内容や研究内容についての紹介が行われました。参加者らは各発表に対し活発的な質疑応答が行われました。あらゆる可能性の実現に向けて実際に今企業同士の技術を組み合わせることで人々の健康管理の質向上に向けた技術発展の実現に向けて今後の実証実験や企業同士のコラボレーションなど熱心な議論が繰り広げられました。

主なイベント内容

■スポーツの擬似的体験を通して人々の暮らしをよりよいものへ
国立東京工業高等専門学校 松林勝志
  一般的なスポーツ観戦では、テレビで観る場合にはカメラの位置からしか見られない。そこでスポーツをより楽しむために選手の立場に立った観戦ができれば面白いという意見から開発されたシンクロアスリート。映画での4Dやフライトシュミレータと呼ばれCGを用いたゲーム機などは存在しているが選手目線での「映像・音声・動き」がリアルタイムで再生・体験できるシステムは今までなく、このマシンを使うことで360°見回すこともでき、周りの選手の息遣いなども聞こえる。ヨットレースなど、スタートしてから沖にでたら実際に見られない競技に応用することでシンクロアスリート®を活用することでどこでもドアのような役割も実現できる。さらなる挑戦として現在、災害現場で活用無人重機を活用する株式会社熊谷組との重機の遠隔装置に応用することで作業効率の改善実現に向けた取り組みも行われている。

■生体情報をもとに生産性向上を実現する分析評価システム
立命館大学 児玉耕太
無人化施工で重機を操縦するオペレーターの方の労働生産性を測定するシステムの開発・測定を行なった。災害復旧で活用されている遠隔操作での無人化に伴い、技能労働者の作業負荷と作業品質を数値で読み取ることで労働生産性及び人的資源管理の改善を図る。古くから応用されているアンケート調査では読み取れない生体情報の数値化することで遠隔操作・直接操作・VR(シンクロアスリート®︎)操作のどれが一番作業者に対して負荷を与えるのかについて実験を行なった。検証結果から振動が比較的少ないモニターでの遠隔操作がストレスを与える影響が一番低いという結果が読み取れた。結果をもとに重機の特定の走行速度をもとに作業を行うことで操作をストレスを抑えながら作業効率を最大化できる数値の特定が行われた。

■行動経済学と企業エコシステムによる Well-being 社会へ
住友生命Vitality 大前 悠太郎
南アフリカ発祥の健康増進型保険は、リスクを減らして健康寿命を伸ばすことを目標にしている。既存の保健会社では、社会・経済面で価値提供を行なっており、住友生命Vitalityでは既存の社会・経済面価値に加えて身体や精神面に特化した価値提供をおこなっている。既存の病気等のリスクに備えるだけでなく、リスク自体を減らせる保健プログラムを提供することを目的としている。消費者の方に楽しみながら健康増進を促進する取り組みを提供している。特徴として保険料変動の機能が備わっており、健康増進取り組みをポイントで評価し、保険料増減する。

■ナノ医療イノベーションセンターの取り組み
東京工業大学 仙石 慎太郎
イノベーションの実現には、学祭・産学公・国際の連携と推進が必要不可欠な要素である。それら3つの要素をどのように連結させていくのかについて取り組んでいる。川崎キングスカイフロントは、羽田空港に隣接しており神奈川県・川崎殿町に設置されたバイオ・ハイテク産業クラスターにて先端技術の社会実装を熱心に行われている。ナノ医療イノベーションセンターを拠点として活動を行なっているCOINSでは、スマートヘルスケア社会への変革を先導するものづくりオープンイノベーションとしての役割を担っている。 COINSで行われている研究は、「防ぐ・超える・撃つ・治す・診る・変える」の6つに分けられたテーマでの研究が進められている。

意識せずに健康でいられる世界へ 歩行センシングインソール「A-RROWG」
NEC 中野 裕明
足元からのセルフメディケーションを掲げた事業コンセプトをもとに第二の心臓と呼ばれる足元に注目を置いて活動してきた。ビジョンとして世界の226億足お生活者接点をIoT×AIで「ウェアリング健康チェックデバイス」に変革し、全ての人々に日常健康診断を提供することを目標としている。Quolity of Life (QOL)の実現に向けて自らの足で歩き続けられることと密接に関係しており、歩行機能低下が進めば運動器不全も進むと考えられている。既存の健康に関するIoTデバイスとしてスマートフォン・設置式測定器・ウェアラブルデバイスなどが挙げられるが歩くことに特化したデータの判断材料として不十分であること、装置だと高価なものになり、ウェアラブルデバイスだと充電が必要で手間がかかってしまうなどの課題がある。高齢者と特にターゲットした場合完全に使い続けられるように普段履いている靴に装着することで常に健康状態を測定することを可能にした。今後は、毎日の歩行データをもとに筋肉量の変動などを計測できるようにするためのモデル構築に励んでいる。
*本システムは医療製品ではないため、診察行為には使用できません。
*本技術は研究段階にあるため、製品としての提供はできません。

■誰でもストレスなくシームレスに移動できる社会の実現
パソナテック 杉浦 美岐
社会の問題点を解決するというパソナグループのビジョンを掲げて人とテクノロジーの力でより良い社会を実現してくことを目標に事業に取り組んできた。今後は、高齢者・小さなお子様・障がい者の方々が安心して移動できる技術や災害時などで協力し合いながら安全に避難するための技術の開発に取り組んでいる。既存のGPSは、屋外中心だったがこれからは屋内の位置情報も提供するための技術開発を行なうことで位置情報サービスの提供に至った。屋内測位技術を活用することで何階にいるかどうかも明らかにできる。特徴として低コストでの導入可能(建物に装置の設置が不要であるため)、平均誤差が3~5mに抑えられる、そしてiOS, Android, web,専門ロケーターで活用可能。屋内即位で広がる新たな世界として工場、物流、スマートビル、商業施設、医療現場、公共施設などでも活用を今後実現するための施策に取り組んでいる。

■参加者の声
ヘルスケアに焦点をおいてあらゆる企業や大学の研究や実験を通して開発されている製品やサービスを知ることができて今後の可能性が広がっていると感じた。今までに見たことも聞いたこともない技術の開発を行なっている研究や製品について企業や機関の方同士がお互いの技術を組み合わせて今後の新たな事業開発に向けて議論を行なっている現場を目の当たりにしてこのようにして新たな技術やアイデアが生まれているのだと肌に感じた。

■A-RROWG体験について
京都大学 青山 朋樹
高齢者の方が比較的なりやすい円背と呼ばれる背中が曲がった状態を疑似的に作り出すことにより通常との歩き方との比較を行う体験会を実施した。参加者は、簡易ベルトをベルト穴に装着し通常と円背の2種類での歩行の様子をNEC社が開発したA-RROWGを用いて測定・分析を行った。参加者からは、「どうして前屈みになって高齢者の方が歩いていることがあるかがわかった。」、「これは、全然前が見ることができず怖い。」などと言った高齢者への理解が深まる意見がたくさん聞くことができた。青山先生によると高齢者の歩き方や姿勢から引き起こされる腰の曲がり方はリハビリテーションによって改善することができると述べた。参加者には、後日NECから個人的なデータ、左右差、平均との差などがまとめられた表が共有された。

■各種デモンストレーション会
(パソナテック・NEC・マージシステム株式会社・クラボウ)
参加者の方は、企業の担当者と実際に会話することで製品・サービスに関する疑問を直接質問することができた。さらに、当日の参加企業の担当者同士の議論から今後企業同士の技術を組み合わせて何か新たな社会課題の解決に取り組めないのではないか、といった議論も多く聞くことができた。

NEXT

2022.03.10 TOPICS

「自律神経ってなに?自分の体と心の調節機能を知ろう!」in玉川小学校 出前運動教室

ページトップへ