文学部 河原典史教授が日本カナダ学会賞を受賞
2022年9月16日(金)~9月18日(日)、北海道千歳市にて開催された日本カナダ学会において、文学部 河原典史教授の著作『カナダにおける日本人水産移民の歴史地理学研究』(古今書院、2021年)への第4回日本カナダ学会賞の授与が決定しました。
同学会賞は、日本におけるカナダ研究の優れた成果を顕彰、カナダ研究の発展に資することを目的として、カナダに関する優れた邦語書籍及びその著者に対して2年に一度、授与されています。
同書は、歴史地理学的アプローチによって、第二次世界大戦前のカナダ水産業における日本人移民の活動とその発展を分析することで、「カナダ日本人水産移民史」の全体像を解明に取り組んだ作品です。
同協会は、水産業全体のシステムと移民ネットワークの全体像を、日本人水産移民の活躍という視点から詳細な資料を駆使して考察、戦前のカナダ日本人移民史研究における空白を埋める独創性に富む研究として高く評価しました。
なお、同書は2021年地域漁業学会においても、学会賞を受賞しています。
文学部 河原典史教授のコメント
このたび、『カナダにおける日本人水産移民の歴史地理学研究』で、 第4回日本カナダ学会賞をいただきました。2021年度・地域漁業学会賞に続いての受賞に、大変驚いています。
拙著では、第二次世界大戦前のカナダ西岸において、サケ・クジラ・ニシンの漁獲に携わった漁業移民だけでなく、それらの加工・流通や造船業を担う人々を包括的にとらえる「水産移民」という枠組みから考察しました。そして、白人・先住民・中国人とともに、国際・民族的な分業システムに組み込まれていた日本人移民の活躍を明らかにしました。多様な資料を駆使して、時空間的アプローチから考察する歴史地理学の方法を評価していただいたことが、最も嬉しく思います。
次は、水産業から転業した(せざるえなかった)日本人ガーディナー(庭園業・造園業)の活躍をまとめたいと思います。