B群 国際教養科目区分

『Online Media and Society』 竇 雪(とう・ゆき 総合心理学部准教授)<第2回>

外国語で担当教員の専門性を生かしたテーマを学ぶ「Theme Study」
教養科目で国際交流
教養科目で国際交流
担当教員の専門性を生かしたテーマを学ぶ
担当教員の専門性を生かしたテーマを学ぶ

 立命館大学には、「知性を身に付け、境界を超え、ともに学ぶ」ことを重要視し、「専門的な素養」と「Borderを超えて主体的に学ぶ力」を身に付けることを目指す「学びの立命館モデル」があります。その特徴的な学びのひとつがA~E群からなる教養科目です。各学部において磨いた専門性をグローバル社会で発揮するためには高い異文化理解、国際性が求められます。新しくなった4ステージからなる国際教養科目(以下、B群)は、そうした力を養う、または結び付ける基礎となる科目群となります。国際教養、異文化交流、海外留学の3つの科目区分からなるB群。ここでは国際教養科目区分のなかから、人文・社会・自然科学など担当教員の専門性を生かしたテーマを学ぶ「Theme Study」(ステージ2or3)について、そのクラスのひとつ『Online Media and Society』(竇雪総合心理学部准教授)の様子、先生・学生の声などを交えながら紹介します。

英語など外国語を使ってディスカッション

外国語で専門的なことについて考える力を磨く
グループディスカッションを深める
グループディスカッションを深める
事前授業で課題を克服
事前授業で課題を克服

 英語など外国語を使って他学部の学生や回生の違う学生、留学生が集い、グループディスカッションを行いつつ学びを深める小集団授業の「Theme Study」(ステージ2or3)。「教養科目にも関わらず、英語など外国語で専門性のあるテーマを学ぶという取り組みは、他の大学などでもあまり行われておらず、さらに全学的に行っているのはとても珍しいケース。英語で英語を学ぶことももちろん大切ですが、それと並行して英語で専門的なことについて考える力を付けることがグローバルな人材として成長するためには重要となります」と竇准教授(以下、先生)は、その特徴&ポイントを話します。
 将来、メディア関連の仕事に就きたいと考えている山口紗彩さん(総合心理学部1回生)は、「教養科目ですが異文化交流を含め幅広くメディアのことを学べると思いました」、今秋からカナダへの留学を控えている井野和真さん(経営学部2回生)は、「留学準備として英語で学べる科目を探していました」と受講のきっかけを話します。また、昨年、語学留学を経験し、英語開講の科目を探していたという粟田恵さん(経営学部4回生)は、「メディアに関して言えば日本より先進的と言われる欧米から来ているSKP生(Study in Kyoto Program*)と交流することで文化や考え方の違いに触れられると思いました。私は経営学が専門で、これまで心理学やメディア関連の科目を受講してこなかったので、最終学年を迎えるにあたり、これまでとは違う分野も学んでおきたい」と、4回生ながら受講を決めたと言います。

●英語で海外の文化、習慣、考え方に触れる
 普段の授業との違いについて井野さんは、「教養科目でありながらメディア、心理といった専門性の高い内容を日本語ではなく英語で考えなければならない点」を挙げ、山口さんは、「留学生を相手にコミュニケーションしているので、少しずつ英語で考える癖も付いてきて、他の英語の授業は自信を持って臨めるようになりました」と話します。「先生はメディアと文化を絡めたテーマを数多く扱ってくださるので、アジアと日本、アジアと欧米での考え方の違いなどを学べ、留学生からもいろいろな意見が聞けるので、将来、海外で働くことになった際にも生かされると思います」と粟田さん。留学生と共に英語など外国語を使って海外の文化、習慣、考え方に触れられるほか、特定のテーマについて外国語を用いて国内学生・留学生が少人数で学び議論することを通じて、お互いの考え方、文化、習慣の違いを知ることができるのがTheme Studyの魅力です。
 B群受講にあたり、やはり気になるのが英語などの語学力。その点について「実際、授業が始まってみると留学生が多い上に英語のレベルも高く戸惑いもありました。しかし、日本人同士だと、どうしても英語中心にはなりませんが、留学生が半数のこの授業では、英語を使わざるを得ないので、そうした環境に身を置けるのもポイントではないでしょうか」と井野さん。山口さんも、「英語での授業ということもあり、最初は不安でしたが先生をはじめ仲間のサポートのお陰で何とか乗り越えられそうです」と笑顔で話します。

●事前授業で課題を克服
 竇先生は、「こうした英語ベースの授業で悩ましいのが、授業を英語のレベルに沿って行うのか、学問的な知識レベルに合わせるのかという点です。日本の学生の英語レベルに内容を合わせると留学生やネイティブの学生には物足りないものになりますし、(英語の論文を活用するなど)内容を濃くし過ぎると日本の学生が(授業ペースや時間的なことなどを含め)苦しくなる。そこで新しく取り組んでいるのが事前授業です。授業の前に30分ほど、日本の学生向けに日本語であらかじめ授業内容をレクチャーしておき、英語で考える時間的余裕を持たせるようにしています」と、課題解決に向けての工夫を話します。そうすることで留学生らとの議論も活発になるなどの効果が出ているといいます。
 井野さんは「事前授業があるので準備もでき、留学生に引っ張られる形で、以前より積極的に自分の意見を発表できるようになりました。英語で意見交換する機会に恵まれたことは今後のプラスになると思います」と成長を実感。粟田さんは、「留学も語学留学だったため、英語で専門的なテーマについてディスカッションする機会がほとんどありませんでした。ある意味、この授業のほうが留学生と意見交換ができるので、留学に来ている感じがします」と話し、アメリカやフィンランドから来ているSKP生からも、「このクラスの授業はグループディスカッションが多く、日本人をはじめ各国からきている留学生と意見交換ができるのはとても有意義」という感想が聞かれました。

*1ないし2セメスター本学に在籍する短期留学生。多くが本学学生との交換留学プログラムにより来日している。衣笠キャンパスとOICで年間200人を超える学生が学んでおり、日本語科目のほか、Theme Studyをはじめ、英語で学べる科目などを受講している。

真の国際化授業を目指して

留学しているような経験を味わう
英語で留学生と積極的に意見交換
英語で留学生と積極的に意見交換
竇雪先生
『Online Media and Society』を担当する竇雪先生

 「一般的に授業中に日本語を使わず英語で聞いて英語で発言さえしていれば国際化を目指した授業だというイメージをもたれがちです」と竇先生。しかし、「本当の意味での国際化の授業、留学しているように感じる授業というのは、英語を使いつつ自分の意見を積極的に発言したり、グループディスカッションを深めたりすることだと思います」と力を込めます。
 約3カ月が過ぎ受講学生にも徐々に変化が表れています。「英語はまだまだですが、留学生の方が積極的に発言される姿勢や内容などを通じ文化の違いを実感しています。英字新聞を読むようになったり、留学に興味を持つようにもなりました」と山口さん。井野さんも「発表前などは、グループで空き時間に集まったりもするので、授業以外でもSKP生らと触れ合う機会が増えました」と笑顔で話します。
 今回新しくなった「Theme Study」など留学生を交えたB群の学びは、「留学しているような経験を味わうことができる先進的なプログラム」と竇先生。今後の展開についても「日本の学生にも海外からの留学生からも、さらに納得してもらえる、共に成長できるものに進化させていければと思います」と力強く話しました。

第1回https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=297
第3回https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=332

関連情報

NEXT

2016.07.05 TOPICS

茨木市で留学生がホームビジットを体験【2016年度春期】

ページトップへ