岐阜県飛騨市の飛騨市役所にて、森島明日香さん(理工学研究科博士課程前期課程1回生)が、同市古川町の伝統的な神事である「古川祭」を題材とした、祭りと地域愛着に関する研究成果を報告しました。

 古川祭は、飛彈市古川町の気多若宮(けたわかみや)神社の例祭で、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に登録され、国の重要無形民俗文化財にも指定されている伝統ある神事です。「御神輿行列」を中心に、“動”の「起し太鼓」と“静”の「屋台曳行」が加わった三つの行事から構成され、例年4月に催されています。

 森島さんの専門は都市地域デザインで、地域コミュニティの活性化と祭りの関係性について研究を深めています。報告会では、森島さんが卒業論文で取り上げた「祭の行程への参加と地域愛着・世代間交流との関係性~岐阜県飛騨市古川町の古川祭を対象として」の研究成果を中心に発表し、祭りと地域の構造の分析結果を報告しました。

 
研究結果を報告する森島さん

 

 古川祭を研究対象に設定したのは、高校・大学時代に参加した研修プログラムがきっかけ。プログラムを通じて、古川町は住民活動が活発であること、地域住民が主体的にまちづくりや景観保全を行っているということを知り、古川町のリサーチを始めました。
 古川町の観光協会などで事前のヒアリングを経て、古川祭の氏子地域を対象とした、祭りの工程への参加経験や地域愛着の度合い、世代間交流に関するアンケート調査を実施。氏子の住民545人の回答結果を分析しました。

 回答を分析した結果、祭りを通じた年上世代との交流の増加が、地域愛着の醸成に大きな影響を与えていることが明らかになりました。なかでも、準備・後片付け等の裏で祭を支えている行程や、提灯行列等の参加者が比較的限定されない行程への参加が、世代を超えた交流、そして地域愛着の醸成につながることが示唆されました。
 一方、年配者からみた年下世代との交流と、地域愛着との間には有意な相関はみられませんでした。結果として、祭の存在が世代間交流を生み、地域愛着の醸成につながることを学術的な観点から裏付けました。

 報告会では、都竹淳也市長から、「古川まつりの特徴として、上の世代の人が下の世代の人に積極的に教えるのではなく、下の世代が上の世代の背中を見て学んでいるので、地域の人間として研究結果は実感を持って聞くことができた。学術的な裏付けをもとに祭について評価してもらえるのはありがたい」という言葉をいただきました。 森島さんは「自分の研究にあまり自信を持てずにいたのですが、研究として認めてもらい、貴重な意見を頂くことができて本当に嬉しかったです」と語りました。

 報告会を終え、4月19日(水)に開催された古川祭に参加し、地域住民の方々に直接成果を報告した森島さん。アンケートに協力してくれた地域住民の方々にお礼の言葉を伝え、交流を深めました。「今後は、お祭り人口の減少という課題を抱えている他の地域との比較研究を進める予定です。また、今回の調査では、回答者の半数以上が60歳以上で若い世代の意見が少なかったので、小中学生を対象としたアンケートを行うことで検証を重ねます。大学院での研究を通じて、古川町のために自分ができることを精一杯やっていきたいです」と今後の展望を語りました。

右:都竹淳也飛騨市長

関連情報

NEXT

2023.08.04 TOPICS

日本マイクロソフト株式会社と協定締結 OIC新棟に教育機関初の「Microsoft Base」を設置

ページトップへ