2023.11.24 NEWS

理工学部 長谷川知子准教授 JST第5回「輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)」を受賞 ~将来の温室効果ガスの排出削減が食料消費や飢餓リスクにもたらす 悪影響を指摘した成果が世界的に注目~

 2023年11月19日に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)から発表された「輝く女性研究者賞(ジュンアシダ賞)」を、立命館大学理工学部の長谷川知子准教授が受賞し、同日テレコムセンタービル(東京・お台場)で開催された表彰式に出席しました。
 日本では研究者に占める女性の割合がいまだに低く、研究開発プログラムなどへの女性研究者の参画も少ない状況にあります。そこでJSTは持続的な社会と未来に貢献する優れた研究などを行っている女性研究者、および女性研究者の活躍を推進している機関を表彰する輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)を2019年度に創設し、今年度は5回目の開催となります。
 表彰式では、鳥居啓子選考委員長から受賞者の発表・講評が述べられ、JST より賞状と賞牌が授与されました。その後、科学技術振興機構理事長賞を受賞された太田香氏(室蘭工業大学教授)と、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に在籍する2名の高校生とともに、「こんな未来が待っていたー女性研究者の日常」をテーマにトークセッションを行いました。

長谷川知子准教授 長谷川知子准教授(写真右)

受賞理由

 長谷川氏は、独自に開発したシミュレーションモデルを用いて世界各国の農業・土地利用分野における気候変動政策立案や食料問題への影響に関する独創的な解析を行い、顕著な成果を挙げている。特に、将来の温室効果ガスの排出削減が食料消費や飢餓リスクにもたらす悪影響の可能性を指摘した成果については、世界的に注目を集めている。さらに、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の作業部会では代表執筆者を務めるなど、当該分野をけん引する研究者として世界的に活躍している。研究以外でも、自身が主宰する研究室において、国際的リーダーを目指す人材の育成に貢献している。

長谷川准教授コメント

 このたびはこのような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。これまでご指導して頂いた方々、共同研究をして頂いている皆様、研究室で研究に取り組んでいるメンバー、サポートして頂いているスタッフの皆様に心から感謝申し上げます。

長谷川知子准教授

プロフィール

長谷川知子(ハセガワトモコ)立命館大学理工学部准教授
専門分野:環境システム工学、環境工学
2011年3月京都大学大学院工学研究科博士課程修了、博士(工学)。 2011年より国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)日本学術振興会(JSPS)特別研究員の後、NIES特別研究員、研究テーマ付研究員。 2016年より国際応用システム分析研究所(オーストリア)客員研究員。2019年4月より立命館大学理工学部にて現職。 2019年~2023年には、IPCC第6次評価報告書第3次作業部会代表執筆者を務める。

業績概要

 気候変動の対策の評価、シミュレーションモデル開発を専門とし、気候変動抑制策と食料安全保障の相互作用の解明、両問題の同時解決に取り組んでいる。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書第3次作業部会では、代表執筆者として報告書作成の中心的役割を担った。また、令和4年にはクラリベイト・アナリティクス社が発表する“Highly Cited Researchers(TOP1%論文著者)”に4年連続で選出され、令和3年度には文部科学大臣表彰(科学技術分野)の「若手科学者賞」を受賞するなど、国内外から注目されている。

長谷川准教授が解決したい課題とそれに向けて取り組んでいる研究について

 生物多様性と気候変動に関わる世界目標の同時達成は国際社会の重要な課題ですが、両問題の対策は土地を巡って競合しうるという難しさをはらんでいます。そこで、土地利用に焦点をあて、生物多様性保全策と気候変動抑制策の相互作用を解明し、両問題の同時解決策を提示することを目指しています。その手法として、複数分野のシミュレーションモデルを連携して用います。自然科学的・社会経済的な事象を一体的に扱うことで、社会と環境の両面で整合的な将来像、すなわち、世界100億人の食料・エネルギーの需要を満たしながら、生物多様性損失と気候変動を同時に解決した社会と環境の将来像を提示することに取り組んでいます。

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