Summer Research Trip in Japan 2016
国際湖沼委員会(ILEC)への訪問
琵琶湖環境科学研究センターを見学
湖西浄化センターで水処理のプロセスを学ぶ

 立命館大学とイリノイ・カレッジの交流は1986年より始まり、今年で30年になります。
 今回、イリノイ・カレッジの学生と教員が、ヘンリールース財団からの助成金を受けて本学を訪れ、交流を行いました。この交流に先立ち、生物学がご専門のLaura Corey教授が5月にお越しなり、本学の笠原理工学部長、小島生命科学部長と懇談を行い、イリノイ・カレッジとのこれまでの30年の交流以上に、今後も2大学のつながりを強めていくことを確認しました。

 経済学がご専門のKevin Klein教授と日本語の教師であるMioko Webster先生とともに、8名の学生が6月16日から約1週間、本学に滞在し、生命科学部、理工学部の学生たちと交流を行いました。
 1週間の滞在中、理工学部、生命科学部の学生との交流、研究室訪問、琵琶湖博物館、琵琶湖環境科学研究センターなどの見学、生命科学研究科大学院生との共同ワークショップ、生命科学部・生命科学研究科学生との共同ポスターセッションなど、様々な活動を行いましたので、それぞれの活動について紹介します。

琵琶湖環境学習ツアー
 6月17日(金)と20日(月)に、琵琶湖の環境を題材とした視察・見学ツアーを組み、琵琶湖の環境保全の現場を訪れました。
 17日(金)には琵琶湖博物館で琵琶湖と人々の暮らしのかかわりについて学び、世界の湖沼保全に取り組む国際湖沼委員会(ILEC)で統合的湖沼流域管理の考え方と同団体の取り組みについて講義を受けました。その後、船で南湖を周遊し、湖上から琵琶湖の様子を観察しました。
 20日(月)には理工学研究科で水環境工学・水処理工学を学ぶインドネシア・アフガニスタン・エチオピアの留学生も加わり、交流を深めながらの見学ツアーとなりました。
 滋賀県琵琶湖環境科学研究センターでは環境モニタリングを行う研究室を見学し、滋賀県湖西浄化センターでは汚水処理のプロセスについて実際の施設を見ながら学びました。

理工学部学生・教員との交流
 同日夜には理工学部環境システム工学科による歓迎会も開かれました。昨年9月に同学科の海外研修プログラム「海外環境スタディ」でイリノイ・カレッジを訪問した学生も参加し、再会を喜びました。
 また、翌21日(火)には、理工学研究科の大学院生の案内により、水処理工学を専門とする研究室・実験室を見学しました。実験施設の説明や学生の研究テーマの紹介に、イリノイ・カレッジの学生・教員は興味深そうに耳を傾け、活発な質疑応答がありました。午後には、「琵琶湖の外来種」「日本の自転車交通」など、学生それぞれの調査テーマに応じて環境システム工学科・都市システム工学科・経済学部の教員を訪問しました。
 教員は、調査の中で学生が学生の疑問に答え、あるいはこれからの調査に対して熱心にアドバイスしていました。

イリノイ・カレッジ学生と生命科学研究科大学院生との共同ワークショップ
 6月22日(水)に、イリノイ・カレッジの8名の学生と本学生命科学研究科の学生がペアとなり、与えられたテーマに沿った調査を行う共同ワークショップを実施しました。
 各グループの調査テーマは生命科学部の教員が設定したものであり、生命科学分野に関するものから鮒ずしの歴史と栄養学的特徴を調査するといった、滋賀県の地域に関するものまで幅広いテーマについてそれぞれペアで協力をして調べ、調査結果を翌日23日にプレゼンテーションで発表しました。

イリノイ・カレッジ生の発表
発表に聴き入る参加者
発表を終えて


共同ポスターセッション
 上記の共同ワークショップ終了後、イリノイ・カレッジと本学生命科学研究科、生命科学部の学生たちで、共同のポスターセッションをリンクスクエア2階で行いました。
 開会の挨拶として生命科学部長である小島一男教授から、イリノイ・カレッジと本学の交流の歴史について説明があり、このポスターセッションが全ての参加者にとって意味のあるものになるようにとの激励の言葉をもってワークショップがスタートしました。

 このポスターセッションには両大学合わせて30を超えるグループが参加し、イリノイ・カレッジの学生と本学大学院生はそれぞれの研究内容、生命科学部生はプロジェクト発信型英語プログラムの中の「英語Joint Project 1」の授業で学んでいる各自の興味関心に基づいた内容について発表をしました。
 多くの参加者がそれぞれのポスターの前で足を止め、発表者と意見を交わしていました。
 ポスターセッションの講評として、生命科学部の山中司准教授は、「このポスターセッションは始まりに過ぎず、今日出会った仲間と今後も交流を続けていってほしい」と熱いメッセージを送りました。

Klein教授に学習の成果を英語で説明する生命科学部生
イリノイ・カレッジ生の発表を熱心に聴く立命生
発表者との質疑応答でこぼれる笑顔



 また、Summer Research Trip in Japan 2016の8名に加えて、2名のイリノイ・カレッジの学生が生命科学部の研究室で2ヶ月間研究を行いました。

 このようなイリノイ・カレッジとの交流に加えて、本学理工学部ではハワイ大学留学プログラム、グローバルエンジニアプログラム、環境都市系海外スタディなど、学部独自の留学プログラムを実施しています。
 また、文部科学省「平成26年度大学の世界展開力事業」において「産学国際協働PBLによる南アジアの異文化・多様性社会の中で活躍できる高度理工系人材の育成」が採択されました。本プロジェクトは、本学とインドの理工系トップクラス2大学(インド工科大学ハイデラバード校、ニッテ大学)と様々な国際的連携で知られるシンビオシス国際大学との間で実施され、PBL型の産学共同プロジェクトやIT研修、大学院生の研究派遣プログラムなど、多面的な国際交流が進んでいます。

 その他にも、大学院で海外派遣を行うGlobal-ready Graduate Programなどがあり、理工学分野を学ぶ学生に特化し、外国語能力向上だけでなく、専門分野に関わる学習・研究交流などを通じて、世界で活躍できる国際的視野とリーダー・マインドをもった高度理工系人材の輩出に務めています。

 また、生命科学部では薬学部と一緒に正課の英語の授業で「プロジェクト発信型英語プログラム (Project-based English Program: PEP)」を行っており、グローバル社会で活躍するための「使える」英語の習得を目指しています。「プロジェクト発信型英語プログラム」の延長として、独自の留学プログラムであるUCデービス「サイエンス&テクノロジー」プログラムも実施しています。
 さらには、タイ・インドネシア・インドを中心に関わりの強い大学との国際交流シンポジウムの開催、海外の大学からの研究生の受入などを行い、国際的な活動に力を入れています。

 立命館大学は、このような国際的な交流の機会を通して、学生たちに専門分野において世界で活躍できるような力をつけもらいたいと強く願っています。

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