立命館理事長・総長新年のごあいさつ
みなさま、明けましておめでとうございます。
2024年がみなさまにとって、実り多き素晴らしい年となりますよう、心から祈念申し上げます。
今、私たちの周りには多くの課題が存在します。人口減少・少子高齢化、地方・都市の格差拡大、国際競争力の低下、社会インフラの老朽化など、日本が直面するさまざまな社会課題については喫緊の対応が必要です。他方、生成AIやIoTなどに代表される革新的な技術進歩により、多様な分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでいます。また、新型コロナウイルス禍を経て、経済的・物質的豊かさに加えて健康や生きがいを重視する「ウェルビーイング」志向が高まるなど、社会が大きく変容しつつあります。
大学には、こうした社会課題を解決し、世の中の変化をよりよい方向へと導き、加速させる役割が期待されています。例えば、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で決定された「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」では、大学がグローバルな社会課題を解決し、社会の駆動力として変革をけん引していくことが求められています。
社会変革のハブとなる「知と人材の集積拠点」として大学が機能していくためには、まず大学自らの抜本的変革が求められます。特色ある強み、特にその源泉である研究力を強化し、より高度な教育への還元、産学官連携やスタートアップ創出など、社会実装を通じた新たな価値創出や次世代社会をけん引する人材の育成が必要です。
立命館は、2030年までに目指すビジョンとして「挑戦をもっと自由に~Challenge your mind Change our future」を掲げています。「新たな価値を創造する次世代研究大学」、「イノベーション・創発性人材を生み出す大学」、「新たなグローバル化を進める大学」を柱とした中期計画「R2030チャレンジ・デザイン」への挑戦、その具体化は、社会そして時代が求める「新たな大学」へと進化するための立命館の変革そのものと言えます。2030年までの挑戦を考えれば、2024年は後半期を見据えて、目指すべきビジョンをより明確にし、一つひとつの取り組みを着実に実行、加速させていくフェーズです。
本年4月には、デジタルテクノロジーを基盤とする映像学部・映像研究科と情報理工学部・情報理工学研究科が大阪いばらきキャンパス(OIC)へ移転します。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/複雑なシステム連携時に安全性及び信頼性を確保する仕組みに関する研究開発」に採択された事業で「人とロボット・AIの共存」を目指した取り組みもOICで進めています。Society 5.0時代にふさわしい社会基盤としてOICをアップデートし、その成果を他キャンパスにも展開していきます。
また2024年は、びわこ・くさつキャンパス(BKC)が開設30周年を迎えます。文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」や経済産業省の「地域の中核大学等のインキュベーション・産学融合拠点の整備」(大学等向け)に採択されるなど、これまでBKCを中心に蓄積してきた「健康・長寿・QOL(Quality of life)」分野の研究の深化と産学官連携を通じた地域イノベーション創出をさらに広げていきます。
そして一年後の2025年、京都で誕生した立命館は創始155年・学園創立125周年を迎えます。多くのみなさまにご支援をいただき、これまで発展を続けてまいりました。次世代研究大学・次世代探究学園への変革を通じて、これまで以上にグローバルに存在感をもち、高度な研究・教育力により社会に貢献すべく、邁進いたします。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2024年1月1日
学校法人立命館
理事長 森島朋三
総長 仲谷善雄