亀田誠治氏 特別講義「日比谷音楽祭から始まる、これからの音楽フェスのありかた」を開催
2023年12月13日(水)、産業社会学部 反畑誠一客員教授(音楽評論家)の企画による、亀田誠治氏の特別講義「日比谷音楽祭から始まる、これからの音楽フェスのありかた」を衣笠キャンパスで開催しました。
亀田氏は、椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、アイナ・ジ・エンド、FANTASTICS from EXILE TRIBE、神はサイコロを振らないなど多くのアーティストをプロデュースしている音楽プロデューサーで、東京事変のベーシストとしても活躍。2007・2015年には日本レコード大賞で「編曲賞」、2021年には日本アカデミー賞「優秀音楽賞」を受賞。他、舞台音楽や、2022年には、ブロードウェイミュージカルの日本公演総合プロデューサーを担当しています。
亀田氏の特別講義は、10年以上続く歴史ある講義です。新型コロナウイルス禍により、2020年以降はオンラインでの講義が行われていましたが、今回は4年ぶりの対面講義となり、会場には約150名の学生が参加しました。講義では、亀田氏が実行委員長を務める「日比谷音楽祭」をどのように作り上げてきたかなどを具体のエピソードを交えながら、今後の音楽フェスの在り方やその可能性について語りました。
「日比谷音楽祭」は親子孫3世代、誰もが気持ちのよい空間の中、トップアーティストのライブをはじめ、ジャンルや好みを超えたさまざまな質の高い音楽体験を、無料、そしてボーダーレスで楽しめる音楽フェスを目指し、2019年にスタートしました。
日比谷音楽祭の原点は、亀田氏が訪れた、ニューヨークのセントラルパークで開催されていた音楽フェス。それは、多様な人種や年代の人たちが、ジャンルを問わず楽しめる無料の音楽フェスであり、亀田氏は当時の様子を振り返りながら、その光景を東京でも再現したいという思いで、日比谷音楽祭を企画・実施していると語りました。
無料かつ持続的に開催可能な音楽フェスを実施するにあたっては、亀田氏自身が企業や行政、参加アーティストにその思いを伝えているエピソードを語り、企画者が自らの言葉で熱意を込めて伝えることの重要性を述べました。
そんな日比谷音楽祭を行う上で大切にしていることについて、亀田氏は「新しい音楽の循環をみんなでつくる」ことと述べました。それは、日比谷音楽祭での音楽体験をきっかけに、ライブへの参加や楽器の購入、音楽教室への参加など、消費行動に結びつき、それがより豊かな音楽体系につながっていくという循環。亀田氏は、この循環を生み出せれば、音楽が人々の暮らしに自然に根を張っていき、音楽文化が広がっていくのでないかと語りました。
また、亀田氏は各国の音楽フェスや近年日本で増えているアーティスト発の音楽フェスを俯瞰しながら、音楽が持つ共感性を活かし、多様な年代の人たちが多様なジャンルを楽しむフェスが増えることで、地域や文化が活性化していくと語りました。そのうえで、今後こうした音楽フェスを作っていくためにも、学生の皆さんの力に期待していますとエールを送りました。