立命館大学の研究者が令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞
立命館大学総合科学技術研究機構の熊谷道夫客員教授と総合科学技術研究機構の長谷川知子教授が、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めたとして、令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞しました。文部科学省が4月9日に発表、4月17日に表彰式が行われました。
文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。科学技術賞(開発部門、研究部門、科学技術振興部門、技術部門、理解増進部門)、若手科学者賞、創意工夫功労賞、研究支援賞などの部門に分かれ、令和6年度は理解促進部門9件(18名)、研究部門51件(59名)が受賞しました。熊谷客員教授は、滋賀県の琵琶湖を場とした青少年の地球環境科学に関する理解増進に関する業績を評価され、科学技術賞の理解増進部門での受賞となります。長谷川知子教授は、京都大学グループの一員として、気候変動と持続可能な開発の相互関係に関する研究が評価され、科学技術賞の研究部門での受賞となります。
熊谷客員教授は、長年琵琶湖を研究し、特に「琵琶湖の深呼吸」と呼ばれる「全循環」現象の研究や自律型潜水ロボット淡探(たんたん)による湖底調査などを実施。琵琶湖の環境問題にかかわる様々な事業へ協力・監修なども行っています。
長谷川教授は、気候変動の対策の評価、シミュレーションモデル開発を専門とし、気候変動抑制策と食料安全保障の相互作用の解明、両問題の同時解決に取り組んでいます。JST第5回「輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)」受賞やクラリベイト・アナリティクスのWeb of Science Groupが発表した“Highly Cited Researchers 2019(高被引用論文著者)”にも選出されています。また、令和3年度科学技術分野における文部科学大臣表彰では「若手科学賞」を受賞されています。
熊谷道夫 立命館大学総合科学技術研究機構客員教授のコメント
私は、長年琵琶湖をはじめとする世界の湖沼研究に携わってきており、その成果が評価されたものと思います。特に、近年では、湖沼における地球温暖化の影響が顕著になってきており、琵琶湖でも湖底環境の急激な悪化が懸念されています。現在、近畿圏の小中高生と共に琵琶湖の観察を定期的に行っており、多くの研究成果が出始めています。今後、ジュニア世代の若者が国際的に活躍できるための礎となれれば思っています。
長谷川知子 立命館大学総合科学技術研究機構教授のコメント
今回の受賞は、従来の気候変動問題に加え、貧困、飢餓、生物多様性など複数の問題を統合的に分析し、対策の提案をした研究を評価していただいたものです。気候変動問題だけではなく、途上国を中心に広がるこれらの国際課題をあわせて解決していくことが重要と、10年ほど前から共同研究者の皆様と進めてきたテーマです。このような形で評価していただき大変光栄に思います。審査員の皆様、共同研究者の皆様、日頃より研究のサポートをいただいている皆様に、心から感謝申し上げます。